『まんがタウン』2015年8月号、発売されました。表紙は『新クレヨンしんちゃん』、しんのすけが新刊の告知をしていまして、おお、かすかべ書店のエプロンかけて、書店店員ですね。バイト? 手伝い? なかなかにお似合いです。そして、『鎌倉ものがたり』、『ちょい能力少女あゆむ』、『ままごとと人造人間』、夏らしいカットが並んで、『コミックハイ!』からの引っ越し『あいたま』のカットもございます。
『ちょい能力少女あゆむ』は球技大会の後半。歩が黛と組んで卓球のダブルスに参加するんっていうんですが、どんだけ黛、怖れられているのか。卓球ダブルス、2組しかいないっていうんですね。歩の能力、結構知れわたっている。それで卓球台が動いたのを見て、ズルしたと勘違いされて、でも実際はもっと切ない理由でした。正々堂々戦うと約束した、それでミスばかりだった歩が、食べ物でつられると一変活躍しはじめる。食い意地の異常さ。ともあれ、黛と歩、いいコンビになって、クラスの皆も黛にちょっと打ち解けはじめた? と思ったら、またもとどおり。あの歩のちょっといいすぎちゃうところ、それがいけないんですけど、悪気ないってわかってるからでしょうね、コミカルで、おかしいんですよね。
『押しかけ時姫』は、なんとちょっと状況を動かしてきましたね。海斗が時姫のこと、その時代に興味を持つ。というか、遅いよ! 今ごろかよ! と思いはしても、海斗が海斗だけにしかたない。そうも思えるのが彼の人徳でしょうか。大内の娘に教えられて、町の歴史の本を調べてみる。野々江安望、この人についての記述があるだけで、詳しくはわからない。この安望なる人物が他ならぬ時姫の父上で、そして郷土資料館にて聞いてみれば、なんと、安望、野々江城の最後の城主。ここからがショッキングですよ。大内に攻め込まれて討ち死に。おおう……。家族についての説明も受けるんですが、それは描かれず、けどやっぱり悲しいことなんだろうなあ。ほんと、戦国の世は我々の時代とは全然違っている。そうしたこと、あらためて思わせてくれるエピソード。今の姫がしあわせそうに暮らしてるだけに、その歴史、姫の本来の現実の重さ、ずしりとくるように感じました。ああ、姫は戻れない方がいいんじゃないのか?
『恋するヤンキーガール』、アヤメちゃん風邪ですよ。熱っぽいのもダルいのも、食欲がないのも、ナギへの恋が原因と思ってた。アヤメちゃん、乙女だなあ! というか、ちょっと待て、それくらいは気付こう。ナギ、彼氏というの、もう否定しないんですね。そしてアヤメのこと背負って、家へと送っていく。いいやつだよー。あの、家にいたの、お婆ちゃん? 祖母ひとり子ひとりの家庭? そのあたりはまだよくわからないんだけど、いろいろ試そうとする祖母の眼鏡に、ナギくん、かなったっぽいじゃありませんか。最初は押し切られるようにして付き合うことになったナギ。けど、ふたりのつきあいは、だんだん本物になってきてるように感じられる。その足取り、すごくいいと思いますよ。お婆さんは不安とかいってますが、いやいや、いけます、いけますよ、これ。
『あいたま』、引っ越ししてきましたよ。というわけで、これがはじめてとなる読者もあるでしょうから、前提となる状況やら登場人物の紹介などばっちりされまして、ああこれはありがたい。けど、のっけからいろいろヤバい暮巳あいのその様子。もう、ばっちりですよね。見事ですよ。完璧に読者のこの子のらしさ、こういう人なんですよって伝えてくれる。素晴しいです。登場人物、それぞれを紹介して、そこにちゃんと面白み付与して、それもまたさすがの一言です。そしてテーマを、自己アピールの練習にすることで、それぞれのキャラクターに光を当てていく。そうかあ、樹里は天使だから人間の言葉がまだあまり話せないのかあ。なんか、先生とあいのヤバさばかりが引き出されていっている気がしましたよ!
- 『まんがタウン』第16巻第8号(2015年8月号)
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