2014年2月4日火曜日

スクール人魚

  すっかりメインは電子書籍に移ってしまいました。マジで。主に利用しているのは紀伊國屋書店のKinoppyなのですが、iPad、iPhone、Macintoshと、複数の環境で同じ書棚を利用できる。また、新着図書を一覧できたり、シリーズの新作が出たら教えてくれたりと、割と自分にあったサービスが紀伊國屋かなあ、そんな感じに思っているんですね。さて、紀伊國屋書店の新着電子書籍に気になる本を見つけたんですよ。それが『スクール人魚』。ぎょっとさせられる、そんなインパクトのある表紙、ええ、誘いこまれるようにして、お試し版を読んでしまったんですね。

ジャンルとしてはオカルトとかホラーとか、そういうのになるみたい。女学生たちの間で噂になっている人魚の伝説。学校のプールで呪文を唱えると、人魚が出現する。その人魚というのが、スクール水着を着た女学生たちで、胸にはアルファベット一文字書かれたゼッケンがついている。この頭文字が重要なんですね。自分の好きな人の名前と同じ頭文字の人魚を見付けて、その肉を食べると恋が成就する。なので、恋に目がくらんだ女学生が、次から次へと人魚の捕獲にチャレンジすべく夜の学校にやってきては、包丁やらバールやら振り回し、人魚を追いかけまわして肉を食らう。ええ、なんともいえない設定なのであります。

しかし、そんな漫画が面白かったんですね。人魚には秘密がある。捕獲に成功すれば恋愛成就、けれどまったくリスクがないなんてわけがなく、彼女らはある種高い賭け金を支払って人魚に挑んでいる。ひとりでは人魚を捕獲できないかも知れない。だから友達も誘っていくのだけど、なんとかして自分の恋を叶えたい、その一心で利己的な顔をあらわにすることもあれば、出し抜こうと画策する、そうした必死であるが故に見えてくる感情や欲望が、その人魚の伝説の奇怪さに一層の面白み、心理的な重みを加えて、よいのですね。

この漫画、2巻でとりあえず完結しています。本当の完結という感じでもないんですけど、なるほどこれで終わりと納得できるだけのラストは用意されていて、本当、欲望が次の犠牲者をひきずりこむ、そうした欲望の連鎖していく話であるのだな、などと思わされましたよ。ああ、犠牲者と書きましたが、本当にケースごとに状況、ラストは違っていて、悲惨なものあれば、ハッピーエンドあり、コメディっぽいと思えるものもあって、そうした読後感の多様さ。そいつが、最後まで飽きさせず読ませる、そうした原動力となっていました。

  • 吉富昭仁『スクール人魚』第1巻 (チャンピオンREDコミックス) 東京:秋田書店,2013年。
  • 吉富昭仁『スクール人魚』第2巻 (チャンピオンREDコミックス) 東京:秋田書店,2013年。

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