『まんがタイムきららフォワード』2014年4月号、発売されました。表紙は『夢喰いメリー』。おお、素敵表紙でありますよ。柊とメリー、ふたり肩組んで不敵な笑み。ちょっと上目にこちらを見る挑発的な眼差しが、もうたまらん可愛さです。いや、いいですね。小道具の眼鏡、ちょっとフレームにかけた指、その仕草も気位の高さ感じさせるものがあって、メリーは真似事っぽいですけど、でも面白がってやっている、そんな内心が感じられるようで実にいいイラストです。そして『ハナヤマタ』。ハナに引率される娘たち。あの表情いろいろ。なんかタミだけやたら嬉しそうなのがいい感じです。
『オンリーロンリーヴァンパイア』、新連載であります。吸血鬼を狩るヴァンパイアハンターを養成するという葦原退魔専門学園にて繰り広げられる演習。追われているのは姫倉純。模擬訓練での吸血鬼役というんですが、実際に彼女は吸血鬼だったというんですね。ということは、この子も人類の敵と見なされているわけか。聖水が苦手、お祈りも駄目、ニンニクも十字架も嫌いという彼女にとっては暮らしにくい、そんな環境であるわけですが、しかしなんでこんな学校に通うことになったのか? スパイ? って、違うのか、姉ちゃんの手違いっていうのか。吸血鬼にも課題があるっていうんですね。眷属を作らないといけない。血を吸って手下にしたらいいのかな? それで親切にしてくれる男子、灰城睦を狙って失敗。ああ、自分が吸血鬼とバレた、そう思うも大丈夫で、ええ、これは異種族間の恋愛ものになっていくのでしょうか。けど、この灰城睦って少年、ただの天然とは思えない。なにか秘密? 裏があるんじゃないか、そんな感じがしますよね。
『バカな彼女の108式の間違い方』、津留崎優の新作、ゲストです。ゲストなのは、とりあえず反応をうかがってということなのかな? 女子高生と娯楽小説書いて生活してる青年の恋愛もの、といいたいのだけど、こう、愛がガーッ! と盛り上がったり、恋がグーッ! っと心揺さ振ったりはしないみたい。うん、なんかアホっぽいお嬢さん。人の話を聞かない? ものごと、あんまり頓着しないたちのようで、結果記憶がやたら危ういんですね。ベ、ビ、ベーグル犬! って、違うから! そんなお嬢さんなんですね。けど、彼氏のマサ君。そんな彼女の存在に、その気持ちの根っこみたいなところ、支えられているんですね。ほのぼのカップル。おっさんがクールというよりちょい枯れ気味だから、こう気持ちが燃え上がったり! はしないけど、そのほのぼのにやりとりのおかしみ加わって、なんかこう、マサ君の気持ちを支えるもの、それがじんわり伝わってくる。ええ、やっぱりうまいなあって思わされるのですよ。
『トリガーハッピーウィッチ!』、新連載であります。こちらは吸血鬼じゃなくて魔女のいる世界でありますね。学内でなにやら怪しげな儀式を、って、これ錬金術なのか。スナック菓子を金に変えようと画策し爆発、部屋どころか建物レベルで破壊しちゃうというんですね。首謀者チー、共犯はメイ、取り締まるのは生徒会長五十嵐五十鈴、五十五十だ。五十鈴はなんだかんだいってチーのことが好きっぽいですね。なんだか適当にチーにいいくるめられて、チョロいとの評価が定着しているっぽいですよ。チー、わりと悪辣なんですね。部室棟を破壊して、その修理を請け負ったら大儲けできる。その魂胆で天候を操って部室棟を破壊。アリバイは怪しげなゴーレムを使って、工作は完璧だというんですね。基本、気楽にチーの無茶を楽しむのがよさそうな漫画です。部室棟再建のために呼び出した魔物は、なんかアロハの似合うコボルド助八。で、魔法で直すのかと思ったら、ばりばりの職人じゃないか。使役に対する対価も、チョコレート。駄菓子か……。普段は角砂糖なのか……。けど、助八、嬉しそうだからいいのか……。強欲魔女、チーの悪巧み、それが成功する日はこない模様。なので、安心して彼女の暴走と失敗を楽しむのがよさそうですよ。しかし、助八、よいなあ。その勤労の尊さ。レギュラーになるのかな。
『夢喰いメリー』は、チビ柊さん、よいなあ。漫画を描いている。デビュー目前である。けれど最後の最後、あと一歩のところでデビューにこぎつけられない。なんでか? その理由が描かれた回であります。ああ、大本にはこの子の好きがあった、描きたい世界というものがあったのだけど、クラスの子らに受けるもの、誉められるものを、要求されるまま描き続けた、それでいつしか受けないもの、誉められないものは表に出さないようになってしまったっていうんですね。あのキラキラした柊の笑顔が曇る、その機微、切なさ感じさせますよね。気分転換先の動物園の風景、面白かったですよ。鳥に嫌われるメリー。羊と見つめ合うメリー。なんだろう、変に面白いぞ。そしてここで柊の根源に触れるんですね。彼女の大切にしている世界。受け入れられないかも知れないという想像に、ひとり傷付いてきた。けど、それが受け入れられて、あの目が開いたかのような柊、いい表情でしたよ。勇魚の好きそうな感じですよね。ぽっとハートが浮かんでる。うん、あのコマはしあわせなコマでした。そして、ここで夢魔登場。ああ、白儀がなにか関わってました。鉢合わせも困る。メリーのことか、あるいは夢路か。ええ、彼のなそうとすること、見えそうで見せない、そんな状況にずっと宙ぶらりんです。
『理想のあの子』、ゲストです。シンプルな感じ、けど悪くないかもって思いましたよ。子供の頃に助けてくれた女の子の記憶。好きなアニメの主人公に似ていた。その記憶の彼女? 転校生に既視感を感じたっていうんですね。感じた人、尾上此方。転校してきた人、碧野彼方。校内の案内を買って出て、けど彼方はそんな記憶はないっていうんです。いじめられている女の子を助ける。自分にはそんなことできる勇気はなかった。けど、彼方はまぎれもない此方の思い出の彼女だったっていうんですね。ふたりとも、困った人、状況を見たら、考えるより先に動いてしまうたちみたい。似たもののふたり? 彼方の記憶の中では、決してかっこうよくなんてなかったあの時の行動が、此方の記憶の中ですごくかっこよく変質してたりね、そうした記憶の違いも面白かった。ちょっと苦笑まじりで、けどこうしてしっかり仲良くなったラスト、その感触、悪くなかったと思ったのでした。
- 『まんがタイムきららフォワード』第8巻第4号(2014年4月号)
0 件のコメント:
コメントを投稿