2013年10月31日木曜日

PILOT 万年筆 カクノ

 思いもしないタイミングで、面白いものが発売されたなあ、そう思ったのですよ。文具のPILOTから新しく万年筆が発売されましてね、カクノっていうんですが、千円という安価なもの。見た目にもシンプルで、けれどグレーの軸に色とりどりのキャップがポップで可愛い。これはひょっとしたら当たるんじゃないかなあ、みたいなことを思ったのです。というか、自分が欲しい。安さも魅力ですが、ただ安いだけじゃなく、太さを細字と中字用意して、ああ、これは結構な本気を感じるな、万年筆の利用者を育てていこう、そういう戦略的商品だなって思わされるのです。

本気だなあ、そう思うのは、カクノってコンバータも使えるっていう、そこもですよ。PILOTは色彩雫というインクのシリーズも出していて、青系、赤系、黒系、様々な色合いを楽しめるんですよ。私は月夜だけ持ってるんですが、こういうインクを色とりどりに使いわけたい、そういう人はやっぱりいて、それはつまりインクを入れるための万年筆が必要で、となれば、カクノなんて最適なんじゃない!? そう思う人がいても不思議ではないでしょう。ええ、自分もそう思った。きっとインクマニアな人で、束でカクノを買った人はいるはずです。

万年筆はちょっと時代遅れ、あるいは趣味の道具、そんな風に思われがちの筆記具ではありますけれど、使ってみれば万年筆ならではのよさというのもまたあるんですよ。筆記に力を加える必要がないとか、ボールペンとかシャープペンシルだと、どうしても筆圧高めにして書かないといけないから、長時間筆記すると、指とか手が痛くなっちゃうでしょう? それが万年筆だとずいぶん楽なんです。大学の頃、私はParkerの45でノートをとっていたんですが、心理学のテスト、小論文みたいのを書かされた時に、シャープペンシルだと手が痛くてつらい、途中で教師に断って万年筆を使わせてもらって、最後まで書ききることができたのでした。今では手書きする機会もぐんと減ってしまいました。PCで、ワープロで清書しちゃう、そんな時代ですが、けれど手書きが必要な場面も残っているはずで、そんな時に力を抜いて書ける万年筆が使えると使えないではやっぱり違うんじゃないかな、そんな風に思ったりもします。

カクノは、首軸が半透明になっていて、インクがどういう風にフィンに蓄えられるかなど、目で見てわかるようになっていますね。また首軸が三角になってるとのこと。自然にきちんと持てば、ペン先がちゃんとした方向を向くようにもなっている。ええ、万年筆ってペン先の向き、重要ですからね。ボールペンみたいにくるくる回しながら書くのは無理なんです。かわりに、正しく先を向けてやればすらすらと書ける。そうした万年筆の基本的なところや、あるいは構造を知って理解できるようなペンとしてデザインされているのは、非常に好感の持てるところであります。

そうそう、このペン先も可愛いですよね。笑顔マークがついてて、切り割りが鼻になってるの。楽しくなる笑顔なんていってますけど、笑ってる顔がそこにあるのはちょっとおかしくて、確かに楽しいなあ。カクノのロゴ、kakunoのuもウムラウトみたいのがついて笑顔になってる。ええ、格式高い万年筆を、ではなくて、気軽に手にとって、楽しんで書いてね、そういうメッセージが伝わってくるデザインです。

そんなわけで、自分もちょっと欲しい。いや、小学生にあがったチビすけに買ってやるべきか? ええ、子供にも大人にも、初心者の導入用にも、文具好きのコレクションにも、多様多彩にマッチするペン、それがカクノだと思います。

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