『大家さんは思春期!』、ええ、思春期なのであります。中学生になったばかりの女の子。セーラー服で、店子の面倒もしっかり見てくれる、それがチエちゃん。ちょっと苦労人? で、チエちゃんの赤いぽっちりふたつ、下駄履きやったら完璧だな、そう思ってたら、なんとプロトタイプチエちゃんは関西弁だったとか。なるほど。けれど大家のチエちゃんは、スレたところなんてまったくない、びっくりするほど素直で無垢な子。今風なんてもんじゃない。平成どころか昭和にもいなかったんじゃないのか? それほどにオーソドックス女学生なのであります。
そのチエちゃんが、店子の世話を焼く。主に焼かれるのが店子の前田さんなんですね。23歳社会人。六畳一間のアパートに越してきたら、清純素朴女子中学生が大家さん。チエちゃん、やけに距離が近くて、いつの間にか食事の世話を焼いてくれたり、掃除やなんかもやってくれるようになったりと、ああもうなんだそりゃ、パラダイスか。もうひとりの店子は麗子さん。ホステスさんをやってる、綺麗どころのお姉さん。前田さんの部屋にも足繁く通ってくれて、なにその状況!? パラダイスどころじゃないぞ! とはいうものの、麗子さんのお目当てはチエちゃんなんですね。皆から愛されてるチエちゃん。素直で頑張り屋で、見ていてほのぼの可愛らしい。ええ、ほんと、チエちゃん、素晴しいんです。
そんなチエちゃんと店子たちのほのぼの日常が面白い、のですけど、たまにですね、え!? これほのぼのじゃないよね!? そういう回もあったりして、そしたらそれがもうべらぼうに面白いの。チエちゃんのこと好きになった男子は、たいていというか、今のところもれなくというべきか、酷い目にあってるし、まあ男子も悪いんですけどさ、いつもニコニコほがらかなチエちゃんの、想像以上にシビアな側面、もう最高でしたね。もっと好きになった、そんな具合ですよ。そして学校での友達たちとのもろもろ、これがまたすごい。いじめ疑惑を払拭! まさかのキャラ弁から料理同好会の発足にいたるまで、怒涛の展開が最高に面白かった。というか、料理同好会ですよ。これはもう、先入観抜きで読んでもらいたいから詳細は書かない! けど、ほんと、最高。笑いっぱなしでしたね。もう、最高のコメディでありましたよ。
最初は、わりと駄目っぽい大人が中学生大家さんに世話を焼いてもらってる漫画、そういった風だったところが、だんだんと大人も頑張り見せましてね、チエちゃんのこといろいろ面倒見たり手助けするようになって、ええ、いい感じに持ちつ持たれつ。いいご近所もの、みたいになってきてますよ。チエちゃん、いい兄、いい姉がいるって感じで、そんな毎日が実に楽しそう。そして見守られてる安心感、それがいい味になっているんですね。
- 水瀬るるう『大家さんは思春期!』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2013年。
- 以下続刊
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