10月になりました。10月というと思い出されるのが、さだまさしの『October 〜リリー・カサブランカ〜』。途中、歌詞に10月
というところがあって、その叙情、情景が胸に迫って、なんという切なさだろう。10月 午后の陽射し 愛はたおやかに 時計廻りに過ぎて
。この歌詞、また詞につけられたメロディが美しくて、それはそれまでの自分が知らないさだまさしの叙情だと思ったのでした。さだまさしは豊かな詩情、叙情も歌い上げる、そうした歌手ではありますが、その幅の広さも並大抵ではない、そう思わされたのでした。
私がはじめてこの歌を聞いたのは、さだまさしのベストアルバムでだったんですね。2枚目のベストアルバム。これはファンによる投票と理解してもいいのかな? 知られているとか売れたとかではなく、さだの歌を愛聴している人たちが、これが好きだ、そういって選んだものがまとめられている。そういう理解でいます。だから冒頭から『主人公』。これ、ファン投票のトップをとる歌なんだそうですね。ほんと、これ、すごくいい歌で、私も好きですよ。そして他の曲、他の歌もそう。私は、さだのファンというには聴き込んでいない、そんな程度なんですが、それでも半分くらいは知っていた。けど、『修二会』には驚かされて、へえー、こんな歌もあるんだ! いや、ほんと、さだの印象が変わるから。そして、そうした感想は『October 〜リリー・カサブランカ〜』に関しても同様だったのですね。
なんとダイレクトな愛の歌なんだろう。そう思った。そして、なんと深い悔いなのだろう。切なさは失われた愛というモチーフに、胸苦しく思ったほどでした。誰にでもあるのではないかと思う。誰かを愛して、なりもふりもかまわずその人を心を手にいれたい。そうした思いに突き動かされて、挙句その誰かを傷つけ、愛すらも失った、そうしたことは、多かれ少なかれ、誰しもが経験するのではないか。苛烈で自己中心的な愛のありかた。しかし時間が経って、愛も穏かに落ち着きを取り戻してみれば、なぜだったのだろう、あの頃の身勝手な愛のあり様、今さらなにを思おうと、もう取り戻すことなんてできないんですね。
愛は失ってもなお思う気持ちは残って、そうした心、その情景がこんなにも歌にこめられて、時折、心に寂しさや切なさが吹き込んだ時に、メロディをともに思い出されてくるのです。10月。そして今日も思い出されたのです。
引用
- さだまさし『October 〜リリー・カサブランカ〜』
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