2013年10月30日水曜日

女子大生生活様式

 もう、ほんと、ねねが最高だと思う。『女子大生生活様式』、同じアパートに暮らす女子大生3人の日常を描いた漫画、なのですが、ほんと、この娘たちが可愛くってですね、そのどうってことない日常がなぜこうも魅力的と感じられるのだろう。そう思ってしまうくらいに面白いんですね。主なる登場人物は、真面目で厳しくも可愛いもの好きのねね、真面目で厳しくも怖がりでちょっと寂しがり屋のこよ、そして落ち着きなくて甘えんぼうのことねであります。

もともとはことねが中心となって、エピソードを動かしていく予定だったんじゃないのかなあ。ねねとこよは役割としてはつっこみで、ことねが困ったことをいう、困ったことをする、そこにつっこむ、こうした形式は基本変わらずずっと続いているんですが、ところがですよ、ねねの特質が花開きました。ふわふわした雰囲気のある女の子、ねねはですね、ぬいぐるみはじめ可愛いものが好きなんですね。その妥協のなさがすごいんですよ。ぬいぐるみをぞんざいに扱うなんて許さない。一体一体に個性を認め、当然名前だってついてる。真剣そのものといった眼差しは、ほんと、ぬいぐるみ好きなら共感するんじゃないでしょうか。ええ、ぬいぐるみはそれぞれに個性があって、誰が美人、どっちが愛嬌あるなんていって選んだりしますよね。しませんか? ちょっと気をつけて見てみてください、ほんと個性いろいろですから。

全体的にのんびりした漫画なんです。特にイベントらしいイベントもなく、こよの部屋に集まってしゃべったり、普通に大学にいって授業受けたり、それだけで終わってしまうことも多くって、けれどその穏やかな時間、ゆったりした雰囲気におかしみ、楽しみ、心地よさが感じられる。普通にいろいろやってる、そんな様子を見てるだけでなんだか嬉しいといいますか、よいな、楽しいな、そう思えてくるのですね。ところがゆったりした雰囲気とはうらはら、時間は季節どおりに刻々と進んでいくからもどかしい。1巻だけで1年が経過してしまう。おかげでといっていいものでしょうか、柚ちゃんの参加もなったというのですが、メインの3人プラス柚。そして友人の渚と佳奈。またちょっとずつ違う個性が加わって、誰が中心というわけでもない、皆がそれぞれの個性をもって、彼女らのらしさ発揮して、ほのぼのと楽しい、そうした場をすぐそこに開いていってくれるんですね。

誰が中心というわけではない、というのは、誰もが中心になれるということでもあるんです。その時々のエピソード、きっかけを作ったり、お話しを引っ張っていったりするのは、その時々、状況に応じた個性を持った誰かなんです。中心が固定されないことで、状況、関係の描かれ方に多様性が生じて、その多様性は状況に強い方向性を与えず、いうならば和気あいあいとした雰囲気を作り出す、そうした力になっているんですね。和気あいあいとした空間、それはまさに『女子大生生活様式』の持つ暖かみ、穏やかさそのもの、なのだと思うんですね。そこにあって心地よい、安らげる、そうした源泉はまさに彼女らの関係、その描かれ方にあるのだと思っています。

  • オゲ『女子大生生活様式』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2013年。
  • 以下続刊

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

女子大生生活様式は本当に素敵な漫画ですよね〜。
ゲスト一回目から引き込まれました。
なかなか連載にならないのにゲストとしての掲載回数は着々と増えていくので、第7話が掲載された頃からアンケートに連載昇格を願う意見を何回も書いた程です。
最初はねねが可愛いとだけ思っていましたが、途中からはこよやことねも好きになりました。

matsuyuki さんのコメント...

素敵な漫画、本当にそう思います。
長かったゲスト時代、私もいつになったら連載になるのかと、やきもきさせられていました。それだけに、連載になった時は嬉しかったし、単行本発売も嬉しかったです。
序盤にぐいぐい引っぱったのは、妥協のないねねだと思いますが、誰が可愛いか、誰が魅力的かといわれると、皆がそうだというの、本当におっしゃるとおりだと思いますよ。