『まんがタイムきららMAX』2013年6月号、昨日の続きです。
『√中学生』は操ちゃんの秘密ですよ。おはぎ、甘ったるそうで苦手、そういう操ちゃんに、どうぞとかいって、おはぎ渡すわけですよ、月が! あの意地悪そうな笑顔で! そうしたら操ちゃん、ショートヘアになって、こっちの私だと甘いのは好物なんだって。髪形で性格が変わる操、そうなったきっかけが、嫌いなものを食べるためだった、みたいな話。そしたら月が食い付く食い付く、椎茸食べられるようになるだろうかって、ほんとこの子にとって椎茸は重大なんですなあ。ロングの操、ショートの操、それぞれについての印象を皆が語るの、あれも面白かった。ロングの操ちゃんについて語る月のあの悪い顔! 最高です。この子は、こういう顔が最高に可愛い。素晴しかったです。そして操の変身、得意教科が違うというの、そのトリックとか、なるほど! うまいことやってるなあ!
『LSD — ろんぐすろーでぃすんたんす』は、部のみんなでテーマパークですよ。おおう、ネズミック、なんともいえん存在感! あの風船貰ってる晶ちゃんの可愛さったら! もう、ほんと、この子、素晴しいな。絶叫モノ得意組と苦手組にわかれて、けど椿は絶叫モノ得意どころかむしろマニアだったりするんですか。またひとつ椿さんのピースが埋まった、うん、あんな風に熱く語る椿ははじめて見た気がします。素敵! さて、絶叫モノの得意不得意があれば、ホラーものの得手不得手もあるんですね。椿、怖いの駄目なのね。一気に駄目だめになっちゃう、ほんと、表情豊か。椿と晶、ふたりの仲もすっかり深まってるみたいで、同じものに喜び、そして絶叫モノでリベンジ。こうした風景に読んでるこちらも和んでしまって、そう思っていたら、ああ、晶の抱えているもの、それが吹き出してしまうんですね。安食先輩のバイト、それがなにかバレた。しかもそれをきっかけとして、なにを目標として陸上をするのかという問題が再燃してしまった。晶にとっては大きなひっかかりなんですね。それを解決するために柘植さんが一肌脱いで、はたしてどうなるか、この先のことも気になりますけど、こうしたひとつのテーマ、彼女らにとっては陸上ですね、それがひとつ同じところに収斂するものではなく、多様な広がりをもっていると示唆されるところなどは、なかなかにすごいなって思います。だって、競技となると、勝つ、上を目指す、それが当たり前となって、他のありようなんて霞んでしまいがちなものでしょう? それをこうして取り上げる、それは意外やこれまであまり語られてこなかったところに分け入ってるのかも知れませんね。
ところで最終ページ、右の四コマ、あの見せ方、あれはよかったです。1コマ目2コマ目を柘植ちゃんがぶち抜いて、そして優子も一続きに描かれることで、これがひとつの繋り、まるでティルト・ダウンして見せる、そんな絵になっていて、ただふたりが話している、それだけのシーンに映像としての動きを感じさせる、大変に印象深い流れが生じていました。思えば、最後の1本なんかでも、最初にロングでとらえてアップショットに持っていく、状況含め見せてから、ぐっと主題に踏み込む、そういう見せ方の工夫が効果的で、そう思って見返すと、随所要所にいろいろなテクニックが見られるんですね。これまでそれと意識することなく見ていましたが、自然に使われている表現のための手段、それらが、映像、画面から多くを伝えるための力となっているのだなあ、そう思わされたのですよ。
『スイーツどんぶり』、おおう、池神の失禁とか、なかったぜ! というか、冒頭でいきなり勝負が決する。すごいな酒井暁美。けど、これで酒井がハートブレイク、裏切られたと知って、すっかり腐っちゃうんですね。いや、面白かったですよ。酒井がすっかり落ち込んで、そんな彼女を立ち直らせるよう、自分たちの過ちを心から詫びようというんですね。そのための手段が料理というのがこの漫画ですけど、そこでの池神栗原のやりとり、それが面白く、また面白いだけじゃない、結構な人情ものじゃありませんか。ジャッカルのいう、酒井は普通なんだという一言、その含蓄の深さ。この漫画は過激な表現、インパクトのある見せ方、突拍子もない展開が魅力でありますが、そうした表現に人の情がしっかりと沁みている、そうしたことを改めて思わされました。しかし池神、彼はここでフェードアウトですが、また出てくる日もあるのかな? なんだか思った以上にいい奴、いいキャラで、またのご登場を待ちたい、そんな気持ちになりましたよ。
『ソラミちゃんの唄』、ぐっときましたよ。いまやすっかり引きこもりのソラミだけど、大学学祭のステージに乗ることになってしまった。その当日、どうにも不安で、ただでさえお外が怖いというのによりによってステージ。吐きそうとかね、うん、大変だ! けど、こうした紆余曲折、いけそう? 駄目そう? ハラハラさせる、そんな前段があったから、ソラミのこと、余計に親身になって見ることができたのかも知れない。ずっと緊張に震えていた彼女が父のギターに語りかけたその一言、その変化に彼女の気持ちの変化、彼女がこれまでとは違う場所に踏み出した瞬間というものを感じさせて、そしてあの語り。自分の唄は誰かのためのものではなく、どれも自分のためのものなのだ。そうした言葉には、リアルを超えたもの、アクチュアリテを感じさせられて、それだけに絵のみで表現されたソラミの唄、その力、その伝わり広がるモノの存在感がありありと、あたかも自分自身がソラミのステージを見ている、聴いているかのように感じられるほど豊かに響いたのですね。これは漫画で、絵に描かれたものにすぎなくて、けれどソラミの気持ち、観客皆の感情、そしてソラミの友人たちの胸に兆したもの、それらは作りものじゃない、確かにそこにそれら心のあるということが感ぜられて、暖かでした。素晴しかった。心の底からそう思います。
- 『まんがタイムきららMAX』第10巻第6号(2013年6月号)
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