2013年3月23日土曜日

『まんがタイムきららフォワード』2013年5月号

 『まんがタイムきららフォワード』2013年5月号、発売されました。表紙は『がっこうぐらし!』。グランドピアノ、そこにいるのはショッピングモールに立て籠ってるあの子です。凛々しい目、ショートカットも、靴下どめも、この子のシャープさ引き立てて魅力的。そしてゆき。このイラスト、ふたりの出会いを思わせる、そうした含みがあって、ええ、これ、まさしく本編への繋がりを持っている。遠足と称し、街へ、他に生存者がいないかと探しに出たくるみたち。彼女らが訪れた先、ショッピングモールに暮らしていた彼女と、ついに出会えるのか!? いや、出会えないわけなかろう、そうは思うんですけど、気を揉ませる展開に、この表紙でありますよ。

『がっこうぐらし!』。しかし、こんなに難航するとは思わなかった。もうすぐそこにまで辿り着いていたのに、迫るゾンビたちから逃げるため、階を下っていく。サイリウムを投げながら、こうして距離は離れていき、今回は会えない? くるみたちは、生活の痕跡を見付けながら、ここに立て籠っていた人たちがみんな死んでしまったと思ってしまったんですね。それで撤退、しかし生き残りの彼女はくるみたちの残したサイリウムを見付け、追う。待ってというその言葉に、ずっと孤独でいたこの子の絶望と、ついに見付けた希望、それが浮かぶようで、切なかった。そして邂逅。ようやく出会えた、その思いの大きさは相当なもの。それを伝える場面の連続は、つらさを刻むようでありました。

夢喰いメリー』、ついにエルクレスの無敵の秘密が失われ、メリーたちの反撃の番ですね。もしかして、まだまだなにかある? そう思って読んでいた、ええ、エルクレス、切り札を隠していたんですね。エルクレスの能力、これはただ夢魔の能力を使うというのではなく、媒体に残った夢魔の記憶を再生する。まさかここで漉座刀、ひいてはパティが呼び出されるとは。エンギに対する揺さ振りをかける、そう考えればエルクレスがここでパティを利用するのは当たり前といえば当たり前、しかしそうは単純にことは運ばず、エンギとパティの別れ、そしてエルクレスの撃破。痛ましい、そう思わせるエンギの様子があっただけに、ほんと彼女の側に由衣がいたこと、それがなによりであったと、思わされたのですね。ずっと、長い時間をかけて描かれてきたエンギと由衣の関係。由衣がエンギにいい続けていたこと、強くありながらもうちに弱さを抱えていたエンギと、非力でありながら強さを秘めている由衣、ふたりの支えあい、助けあう、その関係がここに見事に花開いた、そう思わせる展開、画面を前にしびれました。

もうこれで完全にエルクレスに出る目はないでしょう。次号決着、ついに終わるのかと思うと感慨も無量ですね。いや、そう思わせてまさかの? わかんないですけど、そのどちらに向かおうと、きっと辿りつく岸は豊かだ、そう思わされる、ええ、いい漫画です。

『はじおつ。』、向日葵、よいですよ。甲斐くんを騙していることに耐えられなくなっている。なので、本当のことをいおう、そう思いながら、これをいったらもう会えなくなる。そのことにも耐えられない。ほんと、ジレンマに苦しんでるわけですが、今回はそのジレンマの整理ですね。甲斐くんに話しかける見知らぬ女の子、その状況を見て揺さぶられる向日葵。ほんと、素直に好きと認めればいいのに。いや、否定してるんじゃなくて、気付いてないんですよね。向日葵に、それと気付かせよう、配慮してるふたりはいい友達だと思います。そして向日葵、思い悩んだすえに自分の気持ちの正体に気付く。ええ、丁寧に描かれた向日葵の好きの発見までの道のり。大変によかったです。いよいよ向日葵の恋、本格始動ですね。

はぢがーる』、こっちも面白い。愛の天使の凶悪さ。これまでは、なにかをせよ、そういう命令だったわけですが、今回はその逆。するなときた。しかも、本田くんの誕生日なんて知らないのに、プレゼントを渡さない、ときた。なにこの狡猾な命令。気にしないではおられない。誕生日がいつか、知ってしまった以上、なにもしないではおられない。揺れ動く気持ち。真木さんはあげるだろう。ほんと、紗江のドキドキを糧として成長する天使、こいつのドキドキを最大限に増大させて獲得しようとする意図が感じられて、いやあ、ほんと、悪い天使ですよ。で、紗江、やっぱりなにもしないではおられなかったんですね。素晴しかった。最高に面白かったし、紗江の可愛さも最大限でした。

『ブラックラック』、面白いですね。色を集めている魔女、せっかく集めた白雪の色を、その白雪本人に取り返されて、魔女子さん、白雪から再び色を取り戻そうとする。そこで出てくる白雪の母とか、壊せといわれていた鏡のこととか、なんだ、魔女子さん、いいやつじゃないか。童話、メルヘンを下敷にして、新たな展開、違った味付けを加えてくるこの漫画。その一味が面白い。白雪と母の和解、ふたりの心情など、とてもよく描かれて、楽しく面白く、さいわいな感じ。ナイスですよ。そして色、カロンって呼ばれてるそれですが、あれって取り出されて問題ない、そういうもんじゃないのんか。なにか用がある、役があるのか。まだまだわからないところがあって、けどちょっとずつ明らかにされていきますね。その情報の出し方が適切なんだと思います。ただ色を集めて終わりじゃないんだ。なるほど、先が楽しみになりますよ。

『球場の令嬢』、実は期待してる。まだチームもできていない。期待の新入部員、松井千鳥、この子頼りの状況みたいに考えていいのかな? 彼女を欲しがる部が集まったところに、生徒会長野村冬華が争奪戦をしようといい出すんですね。これ、どう考えても野球部をサポートしようとしてるよなあ。だって、まだ実績もない、それどころか人数も揃っていない野球部が、他部活に堂々協力を要請できるようにしようっていうんですから。松井千鳥に関しても、連れていかれるわけじゃない、レンタルですし、ええと、金とるの? ともあれ、この部員集めが成功して、いや、正式の部員ではないかも知れませんけど、チームが結成できるようになって、さらなる動きが出て欲しい。そしてもっと伸びていって欲しい。そう思って読んでます。ええ、期待してるんですよ。

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