『まんがタイムきららミラク』2013年5月号、発売されました。表紙は『スイートマジックシンドローム』、甘子とプリンがふたり一緒に花の下。甘子は桜模様の傘さして、ふる花びらを受けている。手には桜の花、こちらは花の子でありますね。そしてプリンはといいますと、団子の子。手には三色だんごと桜餅。ひとつ桜餅を口にくわえて、ええ、可愛らしい。あの、頭にちょこんとのっかった桜の花、それがさらに可愛いさを感じさせますよ。しかし華やかなお嬢さんたち。好対照? けどマッチしてる? きれいないい表紙であると思います。
『城下町のダンデライオン』は、なんだろう、巻頭からすごいインパクトであります。茜がスカートを履いてない!? というか、こんな絵、なかなかないな、そんな序盤にびっくりなわけですが、肝心なところ、どうなってるかはわからない。で、ページを開けばさらにどーんとインパクトあるイラストがあって、ああ、茜様は素敵スレンダーであります。しかし本編、スリリングですよ。誰もがこの異常に気付きつつも、あまりにもありえない状況に、自分の方がおかしいのではないか? 指摘するに指摘できない状況が生じてしまい、見過ごしにされたというんですね。ええ、これは正常性バイアスとかいうやつか? なんかおかしいなと思いながらも、まわりが普通にしてるから、なんとなくその状況を受け入れてしまうという心理状況。いや、この周囲の気持ちの持っていきかた、指摘すべきかどうか迷う花蓮とかね、めちゃくちゃ面白かったです。噂が校内を駆け巡り、姉奏も心配したりね、あと男子どもが欲望に忠実で、君ら最低だよ! いや、ほんと、しかし、面白かった。ほんと今回は、花蓮が光ってました。
『Good night! Angel』、面白いですよ。友達との放課後寄り道、そのためのプランを綿密にたてるユリ。分単位での行動計画。トラブルを想定した代替プランもしっかり用意されていて、ほんと、この子は変に真面目すぎて大変です。そして白霜あやめ。ユリにべったり、部屋に忍び込んだりね、いろいろやってるわけですけど、すっかり嫌われてしまった? でもこの子の一途さ、守ってあげるというその言葉、なにかのたとえとかではなく、本当に守っていたんですね。ユリを狙うエージェントを返り討ちにし、報われなくともかまわない、そんな彼女。いや、けれど、最後にその気持ち、ユリに通じて、よかったですよ。ちょっとやりすぎな人ですけどね、それでも本当にユリのため、ユリが一番。そしてユリにとっても大切な友達なんですね。
『幸腹グラフィティ』、リョウが中学校を卒業です。すっかり大きくなりました。ス、スカートのファスナーがしまらないのか……。いや、成長したんですよ。伸びざかりですよ。卒業式で思い出すのはおばあちゃんのこと。入学式にきてくれたおばあちゃん、リョウの制服ブカブカで、そして入学祝いのご馳走。振り返ったら父兄席にお婆ちゃんいるんじゃないか、そんな気になって後ろを見れば、きりんがきてくれていたっていうんですね。そして帰宅すれば明さんからエプロンが渡されて、おばあちゃんが割烹着をリフォームしておいてくれたんだそうですよ。あのね、明さんにエプロンを託すおばあちゃんの優しげで、けれどちょっと寂しげな笑顔。ああ、胸に刺さります。わかってたのかも知れない。その言葉は、ただ切ないというには深い。わかっていた、予感していたからこそ、自分の形見としてエプロンを贈りたかった? わからないです。けれど、この時間を超えたプレゼントは、今のリョウにとって、掛け替えのないもの、支えともなろうものであるのでしょうね。そしてきりんの言葉、思い出は振り返るばかりでなく、増やしていくものでもある。ほんと、ぐっとする話。最後の最後の平謝りまで含めて、ほんといい話でありました。ええ、怒ってるリョウさん、素敵です。
『飛ぶことを許された迷路』は、どんどんこの世界の置かれた状況、あるいは彼女らの暮らしている世界、環境を伝えてきて、なるほどなあ、面白いですよ。ちょっと説明過多、そんな感じでもありますけど、学校ごっこ? そうした体裁をとっているから無理に説明を押し込んでいるといった感じはなくて、都市の構造や、それが結局完成しなかったこと、住んでいる土地のこと、世界の滅びた理由はわかってないことなど、うまいこと整理してくれたと思います。しかし、地下鉄はもう使えないんですね。歴史の授業、その風景も楽しそうで、説明が単調、退屈にならないよう、工夫されていてよかったと思います。
『らくれすがーる。』、ゲストですよ。ヒロイン、アコ。高校生の女の子、たくさんのお守りを持っていて、ええ、運がないというか、むしろ積極的に不運というか、そんな感じの女の子なんですね。アコにはユリという友達があって、いろいろ面倒みてくれる? 横断歩道で人にぶつかり、車道に押し出されてしまうような子ですからね。ユリがいてくれることで助けられている。そうかと思ったら、なんだなんだ、正義のヒーローみたいのが出てきましたよ。青空太陽。アコはこの人のこと、気になってるのね。城井百合子。黒峰アコ、でいいのかな? ユリはアコのことがただただ好きであるようで、なので太陽はライバルであるんですな。で、太陽は誰彼かまわず、ピンチと見れば助けにいく。ヒーロー体質、ヒーロー気質? ちょっと非常識っぽいのは面白いなあ。そしてアコの不運の理由、ああ、これらはヘマであって、運のよしあしではないんですな。髪がその理由と知りつつ、今のままの方が可愛いからと、それを指摘しないユリもなかなか欲望に忠実なお嬢さんであります。
- 『まんがタイムきららミラク』第2巻第5号(2013年5月号)
0 件のコメント:
コメントを投稿