2011年9月22日木曜日

『まんがタイムスペシャル』2011年11月号

『まんがタイムスペシャル』2011年11月号、発売されました。表紙は『恋愛ラボ』、サッカーしているリコであります。制服で、ボールとたわむれる。ボーイッシュなリコの魅力、とてもよくあらわれているイラストであると思います。しかしこれは、自分でボールを後ろに蹴り上げたのか、それとも飛んでくるボールにあわせようとしているところなのか。見た雰囲気では、ひとりでリフティングしている、そんな感じがあるのですが、いや、あの視線の向こうに誰かがいたりするのかな。そしてリコのほかには、新連載告知カットですね。『OLはとぽっぽ』、『踊る!アントワネットさま』のイラストがございます。

『OLはとぽっぽ』、以前ちょこっと掲載されたのが連載化したんですね。目次四コマでしたっけ、ぶつかった鳩が脳に融合して、共存せざるを得なくなった。って、えらいシュールな設定やな。そう思っていたのですが、それが連載化。頭に鳩が乗っているOLとか、見るだにナンセンスで、けどそれでなんとなくうまいこと生活してるっていうのが面白いというか、この作者風の味わいですよね。突然の鳥との出会いと共存というと『オトコのいる部屋』なんかもそうでした。あれもちょっとナンセンス、けど鳥と暮らす喜びみたいなのも溢れている、実にいい漫画だったんですね。『OLはとぽっぽ』は、『オトコ』以上にナンセンス、というか、まずもって普通のシチュエーションじゃないんですが、これはこれで面白そうだなあ。そんな感想持ちました。

『踊るアントワネットさま』も連載ですね。嬉しいなあ。しかし、のっけから大泣きのアントワネット。ああ、なんてエレガントにして可憐なのかしら。あの口の表現、あれがいいな。見た目には美しいお姫様ですが、まだまだ少女の部分を残しているっていうのがよくわかる導入です。でもって肖像画描けた、というわけでマリーが宮殿にやってきて、御目通りするまでのあれこれ。マリーはいつも質素だけれど、ああしたエレガントなのも素敵だなあ。この漫画は、女性が可愛い、それも魅力のうちですが、その皆さんお召しのドレス、それも華やかで、美しいなあ。すごくよいと思います。で、助けてくれた人が公爵というので驚くマリー、と思えば今度は王太子。いや、ほんと、マリーの気持ちの穏やかでいられない、その小市民的なありかた、というのはちょっと時代が違う気もしますが、それも実に素敵です。

シュガービーチ』は体育祭のメインイベントなのか? 部活対抗障害リレー、って、おいおい、ただ走るだけじゃないんだ。学校を飛び出して、海を泳いで渡る。しかも部活にまつわる衣装を着けて、道具をバトンに、って、剣道部とか無理だろう。それに写真部、カメラ持って泳ぐとか、壊れるぞ! ものすごいハードなイベントです。で、これ、最初がかりもの競争っていうの、ただ速く走れればいいわけじゃないというかのようで、一種フェアでありますね、ってイベントを面白くする、ネタの幅ひろげるための趣向でありましょうけれど。で、エミが沖ノ島先生から白衣を借りるというのだけど、この人顧問だっていうのに、まったく協力する気がないなあ。で、エミさん、乙女ゲームするんだ。実にいい、実にいい感じです。そしてナコのSPたちもいつもどおりといいますか、大盛り上がり。面白いわ。スキューバダイビング部の猛攻と凋落、バレー部荒井とみなとの心の交流など、シンプルだけど、それだけにぐっときますね。リレーの勝者も、ほんと、これなんなんだ。めちゃくちゃ面白い。そしてラストの沖ノ島先生。はまったんだ! いや、ほんと、この落ちも素敵でした。

『21時のシンデレラガール』、アヤさんがとみ子の家に泊まりにくる、って、この子の家、突然泊まりにいきますっていっていけるような距離じゃないですよね。というわけで、帰るに帰れなくなったアヤさん。驚いた父ちゃんに締め出しくらってみたり、あまりに綺麗だからといって一番ダサイ服着せられてみたり、けどそれでも陰らない人だなあ。見事です。で、見事、とてもいいと思うのは、やっぱり父ちゃんでしょう。あの分からず屋、とみ子を束縛している、そんな印象もあった父ですけど、実はそうじゃない。アヤさんに深く頭をさげて娘のことをお願いする。ああ、本当は応援してんだよ。言葉が少なかったり、いろいろ意固地だったり、それで損してるけど、本当は情の深い人なんだって、あらためて思わされました。父の心配と愛情がよくわかる、いい話だったと思います。

  • 『まんがタイムスペシャル』第20巻第11号(2011年11月号)

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