一時期私が、インコ飼いたいインコ飼いたい、それもコンゴウインコが飼いたい、体長は一メートルくらいあって、八十年くらい生きるらしいけど、それでも欲しいんじゃあ、っていってたのは、この漫画が原因です。だってさ、この漫画を見ていると鳥との暮らしも悪くなさそうだと思うんですよね。なにより楽しそうで、私の生活が変わるかもという感じがするじゃありませんか!
といっても、この漫画はこれまでに紹介したたかの鳥漫画とは違って、脚色ばりばりのコメディです。なので現実のコンゴウインコは、漫画に出てくるオトコのようにはいかないでしょう。けれど、実際のインコも楽しいと思ったんですね。だから欲しいと思ったんですね。
私はたかの漫画全般のファンですが、なかでも『オトコのいる部屋』が好きで、これが一番面白く、誰にも薦められる漫画であると思っています。主人公は平凡なOLで、たまたまコンゴウインコを拾ったというだけの女です。できる女でもなければ、ましてや超人的な活躍などあろうはずもない。けれどこんな普通の主人公であるアキがオトコと出会ったことで、どれほど変わるかというその変貌っぷりが面白いんですね。
変貌というけれども、むしろ開き直りといったほうがよいのかな。たかの宗美らしい破天荒ぶりが、現実的の線を越えるか越えないかといったところで発揮されて、それがすごく爽快なんです。いやあ、悩む主人公ですよ。自分のあり方に悩み、行く末に悩み、だからすごく親近感がある。私が職を探して暗かった時期に、アキもリストラの憂き目に遭ってみたりして、いや会社も倒産したんだよな。ともあれ、そういう境遇が二転三転する面白さに、オトコがいるからがんばれるという前向きさも加わって、すごくいい漫画に仕上がっています。ええ、今の暮らしがつまらないんだという人にも、今まさに苦境にあるという人にも、同じくおすすめできるよい漫画であると思います。
さて、冒頭のインコを飼いたいという話が頓挫した理由とはなんだったのかといいますと、第一に、鳥はトイレのしつけができません。これは結構私には大きい理由かも。なにしろ大きな鳥ですから、籠を用意するというのも難しいでしょう。だからといって屋内放し飼いなどしたら、えらいことになりそうです。
第二に、オウム、インコの類いは木をかじるんですね。ギターは木でできているわけでありまして、もし我が愛器が鳥にかじられることにでもなれば、と思うと、ちょっと鳥を導入しようという気にはなれませんでした。
第三に、コンゴウインコは高いんですよ。それこそ雛で十万とかあるいはもっとしますからね。いや、払おうと思えば払えない額じゃないですよ。けれど、導入にそれだけかかって、さらに育てるのにもお金がかかります。私が金持ちだったらよかったんですけどね、なにしろ甲斐性がないですからね。甲斐性なしには鳥を飼うのも簡単ではないのですよ。
とまあ、こんな情けない理由で、コンゴウインコを飼うという夢は夢のまま終わったのでした。今では、不幸な鳥を増やさずに済んで、よかったんだと思っていますよ。いや、負け惜しみじゃないですから。ほんまですよ。
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