思えばこれが私らの間で流行していたのは、四年ほど前の話になるんですね。ついこの間のことのように思っていましたが、時間が経つのは驚くほど速い、矢の如しですね。
このゲームがリリースされたのは1997年だから、私が手に入れた当時でもすでに入手困難な状況でした。でもまあそれでも持ってるということは、つまりはあの手この手を使ったということでありまして、まあ、私にも狂った季節があったということであります。やっぱりインターネットは頼りになるなあと、オークションやら中古ソフト取り扱いサイトやらを駆使して、けれど今オークションを覗いてみたら、結構出物がありますね。しかも初回版で新品なんてのまで出てて、あぶねー、入札しちゃうところでした。
思ったよりレアじゃないみたいで、ちょっとショックですね。いや、レアだから欲しがったわけじゃないので、別にかまわないんですけどね。
このゲームはどういうゲームかといいますと、ボードゲームタイプのギャルゲーという理解で正しいと思います。ライバルがあって、女の子が十二人出てきて、好かれるためにあの手この手の策を弄する。ただ作者が、あの『俺の屍を越えてゆけ』の桝田省治だから、結構二転三転させられて、ひとりプレイでも面白い。けど、多分一番楽しいのは対人戦だと思います。普段は笑った顔の向こうに隠している攻撃性を、思わず露呈させてしまったりしましてね、そんな人だと思わなかったなんていわれるんですね。いや、そんな人です。江戸の敵を長崎で討つ。目の前に弱ってる敵がいたら、とりあえずそいつも討つ。そんなタイプの人間なんですね。
このゲームのいいところは、女の子のキャラクターが一筋縄ではいかないというか、結構ずるくていいかげんというか、桝田省治の女性観がそのまま出ているところかと思います。とかいっても、彼女らもただのパラメータに過ぎない人たちですから、それなりの対処でもって遇していたらそれなりに好いてくれる、— 現実の女性たちほど剣呑ではない — のですが、それでもいわゆるギャルゲーに出て来るような自動的な感じはなかった。人の悪さはその人の魅力であると常々思っている私ですが、そうした人の悪さが感じられるところは、さすが桝田製であります。
いや、あれは桝田省治の人の悪さかも知れんとも思います。
このゲームの雰囲気は、主題歌にうまく表されていて、こういうところもやっぱり桝田省治のうまさです。女の子がね、私をものにしたかったらせいぜいがんばってね、ってそそのかして、貢がせて、男の尻を叩いて、って歌なんですね。いや、違うわ。聴き直してみたら、そんな歌詞、みじんもなかった。けど、そんな風に思い込んでたのは、ゲームの内容のせいなんでしょうね。ええ、ゲームの内容っていうのは、基本的にそういう感じなのです。
ああ、たまには私もそんな風に高慢ちきな態度でもって、尻を叩かれたいもんですわ。って、これが現実の話なら、多分五分と持たないと思いますけどね。
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