2005年2月11日金曜日

鳥のカタログ

   『鳥のカタログ』という曲名の美しさ。鳥を愛したフランスの作曲家オリヴィエ・メシアンが、採譜し分析した鳥の歌を、ピアノの鍵盤の上に写し取ったのがこの曲集です。それぞれの曲名は、テーマとなった鳥の名前がそのまま用いられていて、十三の曲中に七十七種の鳥の声が収録されています。まさにカタログというにふさわしい充実ではないですか。

鳥の歌をそのまま、あたかもスケッチするようにピアノに写し取ったとはいいますが、けれどこの曲を聴いてすぐさま鳥を思い浮かべられる人というのもいないんじゃないかと思います。というのもですね、鳥の歌はあまりに高い音域で、素早くちちちちと歌われるものだから、人間の楽器であるピアノに表すには困難すぎるのですね。だから音域は下げられて、速度も随分とゆっくりになっています。

じゃあ、これを早回しにするともとどおりになるのかと、実際にこれを実験した人がいらっしゃいましてね、以前偶然インターネット上でその成果を耳にすることがあったのですが、見事に鳥のさえずりに聴こえて感動しました。今回、『鳥のカタログ』を取り上げるにあたって、もう一度探してみたのですが、見付けられませんでした。もしご存じの方がいらっしゃったら、教えてください。

以前、鳥を飼っている人に、『鳥のカタログ』のCDを差し上げたことがあったのでした:人間には非常にわかりづらく、[中略]ですが名曲です。人にはわからずとも鳥にはわかるらしく、どうぞ鳥たちにきかせてあげてください

確かに、鳥達の反応は上々との返事をいただくことができ、私もちょっと嬉しかった。差し上げてよかったと思いました。

手紙では、人にはわかりにくい曲だみたいに書きましたが、私はそもそもどんな音楽にしても人にわかるものではないと思っていますから、『鳥のカタログ』にしてもおんなじで、だからか、普通の音楽と同じように聴くことができるのです。日頃耳慣れた音楽とは確かに違う種類の曲ですが、ですが、この曲が素晴らしく美しいことは鳥ならずともわかります。

この曲を自然の中で流すと、鳥たちが集まると聞いたことがあります。この曲をもって野山に入れば、鳥たちも集まるのではないか。そんなことを考えては、なんだかわくわくします。

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