2005年2月19日土曜日

かもめの歌

  杉山先生のフランス語講座で紹介された『ホテル・ノルマンディ』聴きたさにパトリシア・カースのアルバムを買ってみたら、立花先生の講座で紹介されてた『永遠に愛する人へ』も収録されていてベリラッキー! ものすごく情感にあふれた歌い方が魅力で、そりゃアルバムを探してしまったわけです。前述の二曲以外もものすごくよくって、一時期はポータブルCDプレーヤに入れっぱなしにして、聴きまくっていました。それでも、全然飽きない。なんという深さであるかと思いましたよ。

このアルバムには日本版のみのボーナストラックが入っていまして、それというのが本日紹介します『かもめの歌』です。最初は何の気なしに聴いていたのですが、あるときライナーノートを見てみてびっくり。なんと、この歌は中島みゆきの作詞作曲なんですね! しかも、調べてみればパトリシア・カースのために書き下ろされたものであるとのことです。いやあ、まさかフランスの歌手のアルバム、それも日本では一般に知られていない人のアルバムを買って、そこに中島みゆきの歌があるとは思いもよりませんでしたよ。

中島みゆきの作詞作曲といいましても、フランス語での歌詞はちゃんとむこうの人(『永遠に愛する人へ』のJ. Kopf)が書いてまして、それも翻訳というよりは新作といったほうが正しいでしょう。日本語でのタイトルこそは『かもめの歌』ですが、フランス語の歌詞にはかもめはおろか鳥すら出てきません。歌詞が大幅に変えられたためか、聴いてみても、日本語をベースにできた曲とは思えない。もう、最初っからフランス語で発想されたような曲のようで、しかもそれがパトリシアにマッチしているんですよ。

これは、中島みゆきの歌が、言葉を強く志向しながらも言葉に引きずられていないためなのでしょう。音楽が言葉に頼るのではなく、それ自体で独り立ちできるだけの膨らみを持っているのです。だから、歌詞がフランス語になろうと揺らがない。強い言葉があって、音楽は言葉に負けない強さをもって、両者が互いを支えあっている。これが中島みゆきの魅力であると思うのです。

中島みゆきの絶妙の歌詞は心をえぐり、そしてその音楽は心の最奥に深く響き渡って、やっぱり中島みゆきはいいな! と私はパトリシア・カースを聴いて再度確認したのでありました。

Patricia Kaas

中島みゆき

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