2005年2月22日火曜日

ペンゴ

 ペンギンが出て来るゲームといえば、コナミの『けっきょく南極大冒険』、ハドソンの『バイナリーランド』を思い出す人も多いでしょう。けれど、私にとってのペンギンゲームとは、セガの『ペンゴ』なのであります。

『ペンゴ』は、迷路を造る氷のブロックを利用して、敵をやっつけるというシンプルなゲームではありますが、私の子供の頃にはこれが画期的だったんですよ。だって、喫茶店にインベーダーゲームを内蔵したテーブルが残っていた時代だったんですよ。考えても見てください。無機質な砲台でかくかくしたインベーダーを追っ払うのと可愛いペンギンを操るなら、どっちがいいですか? そりゃもう、ペンギンのほうが楽しいに決まってるじゃないですか!

とか熱く語りながらも、私がペンゴを遊んだことっていうのは、ほんの数えるほどしかなかったんですよね。当時はゲームというのは非常に金のかかる遊びでして、もちろん今でも金はかかりますが、物価とかそういうのを考えたら、きっと昔のほうがずっと高価でしょう。そいでもって、まだ貧乏があちこちに残っていた時代だから、ゲームをしようとなると、本も買えない、漫画も買えない、プラモデルなんて絶対買えない。節約しようにも、そもそも買い食いなんてしない、買ってる漫画はドラえもんだけ、じゃあいったいどこを削ろうっていうんだー!

ゲームというのは、本当に高価な、大人の遊びだった時代があったのです。

こんな時代でしたから、ファミコンというのはまさに福音といってもいい機械でした。一度ソフトを買えば、あとはずっと遊べるんですよ。1プレイ百円なんてことはないんです。親からしたらファミコンなんてのは金のかかる遊びではあったでしょうし、いろいろ問題視する声も多かったのですが、けれどゲームセンターに子供が入り浸ることを考えれば、きっとファミコンのほうがいいという考えもあったのではないかと思います。

けれど、ファミコンも万能じゃないんですよ。ファミコンを出していたのは任天堂です。その頃セガはまだばりばりのハードメーカーで、自社でゲーム機を出していました。つまり、ファミコンにはセガのゲームは供給されなかったんですね、基本的に(基本的にというのは、ファンタジーゾーンとか、一部は出たんですよね。サンソフトからでしたが、確かに出たんですよ)。なので、『ペンゴ』はファミコンでは遊べなかったのでした。

けど、なんで子供の頃の私は『ペンゴ』を知ってたんでしょうね。多分、ファミコンが出る前のゲームウォッチの時代に、『ペンゴ』が出てたんだと思うんです。出てたといっても、ちょっと大きめの、携帯向けじゃないやつだったような記憶があるんですが、あんまりにおぼろげなので、さすがによく思い出せません。なんか赤っぽい画面だったような気もするんですね。

あとは、学研の科学とかに『ペンゴ』がのってたのかなあ。いや、さすがに学習雑誌にはのらんか。じゃあ、あれだ、友達んちで読んだ『ゲームセンターあらし』かも知れない。でも、やっぱりあんまり自信がない。

とにかくこんな風に、当時ゲームにテレビに邁進していたわけではない私は、細かい情報を少しずつ集めながら、『ペンゴ』というゲームへの憧れを膨らませていったのでした。

ゲームコーナーで、一度だけ『ペンゴ』をプレイしたことがあります。忘れもしない吉祥院ボウル。なんでその時吉祥院ボウルにいったのかは思い出せないのですが(アイススケートかな? 吉祥院ってスケートリンクありましたっけ?)、吉祥院ボウルのゲームコーナーに『ペンゴ』があったのですね。

ゲームセンターなんかにいくと、クレジットなんて入ってないのに、レバーだけがちゃがちゃいわせてゲームしてるつもりになってる子供っていますよね。ちょうどそんな感じだったと思うのですが、『ペンゴ』の筐体に近づいてボタンを押してみたら、ゲームがスタートしたのです。1クレジットで三回できるような設定だったのだと思います。けれど一回のプレイだけで放置されていたのでしょう。

こんな風にして、私は念願の、本物の『ペンゴ』をプレイすることができたのでした(しかも二回も!)。

最初に紹介しました三大ペンギンゲームは、今やすべて携帯電話で遊べるようになっています。携帯電話を持っていない私には、携帯電話でゲームをするという感覚がいまいちつかめずにいるのですが、ですがもし私が携帯電話を持ったら、『ペンゴ』をダウンロードするのではないかと思います。

子供の頃に手の届かなかったものを、もう一度やりなおすみたいにして、ダウンロードするのではないかと思います。

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