『inote! — アイノテ!』の表紙、ちえがどーんと川に飛び込んでる! と思ったら、これ、放り投げられてたのか! いやね、表紙はこんなにもダイナミックに見せつけて、その状況は裏表紙にて語られる。そして、カバーをはずせばその後の状況まで描かれて、いや、もうこれが面白いの。いえね、表紙に見える携帯電話、iNoteですね、これ、ちえと一緒に飛び出たんじゃなくて、誰かがこっそり投げたんだ! なんという悪辣な所業。表紙ではあんなに楽しそうなちえですけれど、きっと自分のiNoteが宙を舞う様を見て慌てたに違いない。ケータイ守ろうと必死のちえ、あたかもまぶたに浮かぶよう。そんなこと思わせる展開がきっとあったというんですね。
さて、『アイノテ!』でありますが、このタイトルは第3回にてちえが入手した携帯電話、iNoteからきてるんだ。そう思っていたら、それとは別の理由もあったのですね。いなかの i 、私を意味する I に、ノート、日記、学校を思わせる note を組み合わせたのだそうです。なるほど、ちえのいなか暮らし、といっていいのかな? 京都は琴弾にてのメモリー、を意味するタイトルなのかと妙に納得したのでした。実はですね、iNoteが一向に活躍する機会がありませんからさ、携帯電話のもろもろはタイトルに痕跡を残すのみで、後退しちゃったのかな。そう思っていたら、むしろこれはタイトルから発想されたもの? iNoteを出したいからタイトルが『アイノテ』だったわけじゃないのかも知れないって思ったんですね
さて、今こうして最初から読んでみて、ああ、ちえは最初田舎暮らし、嫌がっていたっけな。なんだか懐かしく思ったのでした。だって、今となってはそんなそぶりまったくなくて、むしろ最初っからこの土地に暮らしてるかのように溶け込んで、いやもう元気元気。持ち前の明るさといったらいいのでしょうか、あるいはちょっとおバカなだけかも知れませんが、猪突猛進気味に、後先考えず行動してるっぽい、そうした姿が楽しくて、またたきつけるカーコ、謎めいてること、そして唯一の良心? さくら。さくらのポジションがいいなって思うんですよ。なんというのだろう、彼女のまわりだけ空気がちょっと違う。日だまりのよう、ちょっとほっとさせられる、そんなおだやかさがあって、そしてそんな彼女の存在が、わりとやかましいちえたちのどたばたの緩衝材となり、また一層にぎやかさを際立たせる、そんな効果も生んでいると思うんですね。
しかし、そんなさくらが、カーコと一緒に、雨に降られた橋の下、エロ本を漁るっていうのですから、あの展開、さすがにちょっと驚いて、けどちょっとドキドキさせられたのも事実です。いえね、エロエロってほどお色気ふりまかれる漫画じゃないんです。けど、ちょっとしたところにドキっとさせられるところがあって、ちょっとしたしぐさとか、表情にですね、ひきつけられる、そんなところがあるんですね。
それと、これはもう余談なんだけど、舞台は京都琴弾っていうんですが、具体的に取材してるのは大原なんだそうですね。なんと、大原三千院。『キャラット』最新号で、カーコのうちが温泉旅館と判明しましたけど、実際大原には温泉もあるんですね。調べてみると、ラドン泉? 1kgあたり2.5ナノキュリーだそうだから、ベクレルに換算すると1kgあたり92.5ベクレル? 放射能泉の基準には満たないんですが、結構いい数字が出てますね。
大原なら、2時間ちょっとでいけるかな。日帰りでもいいし泊まりでもいいし、ちょっといってみても面白そう。そんな気になっています。いわゆる聖地巡礼ってやつですか? あと、ちょっとiPhoneが欲しいです。
- 夕仁『inote! — アイノテ!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2011年。
- 以下続刊
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