2011年4月3日日曜日

ラッキー・ブレイク

 『ラッキー・ブレイク』は『まんがタイムきららキャラット』に掲載されている漫画、デザイン会社にて働くお嬢さんたちの漫画であります。ええ、社会人ものなんですね。『きらら』系には珍しい、そういってしまってよいものか少々迷いますが、 学生学校に基本まったく接点がないというのは実際めずらしいかも知れません。基本会社が舞台。あとは出張の工場の出勤途中のと、とにかく仕事がらみの社会人ものです。なのですけれど、ただのオフィスものとは一線を画していて、むしろ学生気分がよく残されている、そうしたよさがあるのですね。それは、やっぱりデザイン会社、クリエイティブ系だから? なんだか自由そうな社風で、けどだから即、夢の会社とはならないところがよいのですね。

主人公は野々川陸。芸術系大学にてデザインを学んでいたお嬢さんなんですが、初回、冒頭にていきなり学生生活が終了するという、まさに逆境からのスタートってのがしびれます。雑誌で読んでいたときには、不況の今日、実にわびしい話であるなあ、なんて思ったものでしたっけ。で、バイト先で見初められてはじめることになった仕事ですけど、これもどんな仕事かわからない。いや、もうどんな風になるのだろう、そんなこと思いながら読んだこと思い出します。

デザインを学んでいた陸が勤めることになったのはデザイン会社。デザイナーとして働くこととなって、同僚たちは皆なかなかに個性的で、明るく楽しい人たち。ああ、いい感じじゃん。学校をやめざるを得なかったのは悲しいことだけれど、それでも理想的就職ができたんじゃん。そう思っていたら、なんといいことばかりではないんですね。そう、最初にいってた、夢の会社とはならないってところです。ちょっとぎすぎすした人間関係が描かれたりするんですね。陸の才能に対する嫉妬なのか、敵愾心をあらわにする人がいる。きつくあたられる、ネガティブな評価、そうしたところにまたハラハラとさせられて、ああ仕事っていうのは大変だよね。とりわけ人間関係ってのが難しいよね。色々思ったんですね。

けれど、だからこそこの漫画はよかったと思うのです。きついちゃこ先輩と陸が一緒に出張にいかされる。豊岡の工場につめて、連日検品させられる。もう、見ているだけできついです。ああ、自分ならたえられないかも知れない。そう思った。けれど、この件をきっかけにして一気に関係が動くのですね。それまでに延々描かれてきたことがあった。また、この出張の間にもいろいろあって、ああ、それらはひとつの山に向かう道のりでありました。山をひとつ越えて、そうしたらその向こうにはまた違った景色が広がっていたというのですね。あれは素晴しかった。思いやり、やさしさ、ああ、よかったなあ。そう思って、ああ、やっぱりここは夢の会社なんじゃないかなって思ったんですね。

決していいことばかり、楽しいことばかりが描かれる漫画じゃないのだけれど、時にきびしかったり苦かったりする、それがアクセントになって、面白さに一味添えている。そんな感じであるのですね。いえ、ほんと、甘い楽しいばかりじゃなく、苦いつらい大変もあって、大人の毎日っていうのはできあがるんだなって思ったりするんですね。

あと、余談。舞台が大阪で、知ってる景色もいろいろ出てきて、おお、なんだかすごくいい感じ。やっぱり知ってる風景とか、わくわくさせられます。

  • 平つくね『ラッキー・ブレイク』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2011年。
  • 以下続刊

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