『まんがタイム』2010年3月号が発売です。表紙は桜餅食べるおとぼけ課長。もう雛祭りですね。っていうか、こうやって毎月表紙について書くことで、季節のイベントを意識するようになったのはいいんですけどさ、それが常にひと月先取りっていうのがですね、逆に季節感の混乱を引き起しまして、ついこのあいだまでは節分だバレンタインだっていってたもんだから、もう気分はバレンタインデー終了って感じになってしまっているわけですよ。いや、それは別に今年も例年同様に終了だろうって予測してるわけじゃない。ともあれ、表紙は雛祭り。一足はやく、三月桃の節句気分です。
『アシスタント!!』、最終回です。この漫画って、最初は姉の仕事のからみで漫画家のアシスタントとして働きはじめたヒロインの成長ものであったのが、気付けば内気な先生の成長ものの色合いも強くなってきて、この二人三脚みたいにして育つふたりの足取り、見ていてとても楽しかったです。そして最後にはともに互いを必要な人と思って、支えあいながら、けれどもたれかかったりはしないっていう、そんな関係、やっぱりいい漫画だなって思って、結構好きだったんですね。最終回では、あのあとがきのくだり、あれはよかった。先生、思い切ったことするねえと、なんだかにやりとして、そしてやるじゃん。有希、むくわれたねよかったね、そんな見せ場、読んでいるこちらも嬉しくなるような良エピソードでありました。
『たびびと』、最終回です。物語としての決着はもう既についているから、これは本当にエピローグといえるような回でありました。父親を探す旅を終え、そして故郷に戻ったふたりと一羽、けれど旅は終わらないのですね。スケールの大きな話。RPG、ゲーム風とでもいえばいいのか、そういうノリがありました。長い連載。それまで読んでいたものとは違う印象、雰囲気に、こういうものも描かれるのかと、新鮮な気持ち持ちながら読んだものでした。
『すいーとるーむ?』、前回登場したバイトの新人さん。いい感じに場をかきまわして、っていうか、永井君をしいたげる人がひとり増えただけか! そう考えれば、この漫画の状況、新鮮味を加えながら、基本のかたちはなんも変わってないんだ。でもって秋さんは、永井君をしいたげる側でありながら、同時に永井君と同様の感情を持つ立場にある。だから、やっぱりちょっと新鮮ですね。きっと共闘したりはしないんだけど、それでもむくわれない同志といったところ、ちょっと面白い関係です。
『わさんぼん』、面白い。バレンタインのイベントがらみで話すすめるのだけど、尻込みする牡丹、うん、気持ちはわかる。相手プロやもんなあ。それでもって、草太大活躍。よく考えれば、製菓学校を出てる草太は当然チョコレートの扱いも心得ているわけで、それどころか、この店のスタッフの中では唯一洋菓子を作れる人間であるかも知れないわけで、ゆえに大活躍。かっこええやないか。試作している菓子を作っている姿なんぞは、実際格好いいものだと思います。普段があれやなかったら、熱心で腕も悪くない、いい男の条件かなり揃ってるのに。残念な男だと思います。
ところで、けどチョコやで 溶かして固めるだけや
とかいう舐めた考えが、バレンタインデーに不味いチョコレートを蔓延させるのですね。テンパリングがされてないチョコレートはめちゃくちゃ不味いぞ! 正直なところ、可愛い女の子の作った不味いチョコレート食べるくらいなら、草太のこさえたちゃんとしたチョコレートの方が数百倍いいです。
『はこいり良品』は、商店街ではやるボード、立て看板がテーマ。ああいうの、ケーキ店とか喫茶店、レストランとかで見ますね。ちょっとした雰囲気づくり、それを古書店からお茶屋さんから、豆腐屋も? あちこちのお店でやって名物にしてしまうようなところは、実にこの商店街らしいです。こういう、いろいろやってみようという心意気。読んでいて、前向きな気分になれて、いいなあって思うのですね。でもって、爺さん、どんな罠をかけようというのか。いつだって味わいの深いお爺さんです。
『トイザんス』、3と#でお願いします。
- 『まんがタイム』第30巻第3号(2010年3月号)
引用
- 佐藤両々「わさんぼん」,『まんがタイム』第30巻第3号(2010年3月号),107頁。
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