2010年2月17日水曜日

『まんがタイムファミリー』2010年4月号

『まんがタイムファミリー』2010年4月号は不遇の子です。リニューアルされた芳文社の公式サイトは雑誌発売予定のカレンダーにおいて、すっぽりと抜け落ちてしまっていたのが『まんがタイムファミリー』2010年4月号であります。私はいつもサイトの発売カレンダーを頼りに雑誌と単行本の購入予定を立てているのですが、もしこのリニューアルが手帳に転記する前に行われていたら、買い忘れてしまうところであったかも知れない。まあ、雑誌の買い忘れくらいいいじゃん、気にすんなよ、といわれたら、まあたかが漫画雑誌だもんね、といって気にしないですませるくらい簡単なのですが、それがきっかけとなって雪崩のように四コマ誌の購読停止が起きてしまうような気がして、でもまあ、たかが一購読者だもの、気になんてしないよね! 雑誌買うのやめたら、単行本も買わなくなってしまいそうだなあ。

今月号は新連載が3つあるのだそうです。『働け!おねえさん』、『ガクブンッ!』、『はなまるドロップス』であるのですが、そのどれも結構気に入って読んでるので、よかったなあ、と思うのですが、なんでタイトル変わっちゃったんだろう。というのは、『くるっとまわって営業中』ですね。『働け!おねえさん』よりも『くるっとまわって営業中』の方がオリジナリティがあっていいと思うんですよ。『働け!おねえさん』だと、なんだか埋没してしまいそうで残念です。

けど、なんでタイトル変わったのかな。と思って読み進めたら、もしかしたらくるまわ以外にも登場人物を出すため? 営業以外のさ。というわけで、事務職の平井梨香さん登場です。26歳。充分若いよ! しかしこの漫画は、来島さんのおだやかな人当たりのよさもいいのだけど、馬渡の生意気でやる気いっぱいというところ、それもいいなって。いや、生意気なんですよ。でもそこが段々に可愛いじゃんと思えるようになってきて、ええ、だからこれからが楽しみです。

『ガクブンッ!』は、当初の綾乃の変人ぶりが少々弱められて、けれどその分あたりが柔らかくなったと感じられます。女の子たちがばたばたと楽しそうにやっている、その様子を眺めて楽しむような漫画であります。そして実際楽しくて、麻美子大好きのハナっぺがいいのかなあ。ええ、いいキャラクターであると思います。

そして『はなまるドロップス』。やまとに友人が! いや、実は男の子に見えて女の子なのですよ、っていうよくあるパターンなのかと思ったら、いやもう本当に男子だった。見た目はいかついやまとだけど、根はすごく優しい。対してその葵くんは、見た目美少年、ちょっと女性っぽくて、そしてなんだか肝っ玉の太い、そんなこと感じさせてくれるキャラクターです。実際、いいキャラクターだと思います。けど、くねっ、ぷりっは彼じゃなくて、是非やまとくんでお願いしたい。などと思ったのでありました。

新ゲストは『となりの工学ガール』と『いぶんかトリップ』だけなのかな? 『となりの工学ガール』は工科大学にはレアな女性がヒロインで、しかも大層な美少女であります。2年生。ロボット講座に入るべく研究室を訪れたそこで、下にも置かぬもてなしをうけるのでありますが、ひとり森山青年だけは女は駄目だといい張る。まあ女性に恐怖症があるとかアレルギーがあるとか、そういう話であるみたいなのですが、悪いがかなり印象悪いよ。ラブコメの典型なら、この先森山とヒロインがだんだん親しくなっていって、みたいなことになるんだろうけど、そのための前提を用意しましたってところなんだろうって思うのですけど、それにしても、ひとりの人間が自分の進路ひいては将来を考えてやってきたのに、女は駄目だとかいう理由で退けようっていうのはどうだろう。いくら苦手といってもさ、人の人生がかかってるんだよ? それこそ君が違う講座に移りたまえよ。というわけで、ちょっとこいつは駄目だ。第一印象としてはちょっと抵抗ありです。まあ、森山が女性に慣れるに従って、徐々に解消していくだろう抵抗ではありましょうけどね。

『いぶんかトリップ』は以前掲載された『つれづれいーの』の井ノ上ふきの四コマで、やっぱりなんだか不思議というか変な漫画であります。旅行会社をやっているお母さんがうちにホームステイのお客さんを送り込んでくる。しかしそれが縄文人っていうのはものすごいなあ。タイムトリップありの設定なのか、なんて思ったのだけど、言語とか通じているというの、もう考えた方が負けだなと、ただただ描かれるものを、その雰囲気を楽しんじゃおうかと、そんな気になったのでした。ものとしては異文化交流ものでいいのかも知れませんが、印象としてはちょっと気分を休めてリセットしましょうという、そんな感じの漫画です。そのゆるさが許せない人もいるかも知れないけれど、私はわりと嫌いではないです。

『ダブルパティシエール』が最終回です。先日『まんがタイムジャンボ』でも終わったところですが、今回はまさこねーさんの結婚式の風景描いて、『ジャンボ』のものよりもドラマチックさにはかけるのだけれど、その分、これまでに登場した人々の状況、よく表現されていて、しんみりと、そして楽しく読み進められました。川原先生、一目で見抜くとか、そういうの実によく、そしてウェディングケーキ飾り付けに本気を出す参列者とかね、実に楽しかったです。これまで連載されてきた、その時間を愛おしく感じられるような、いい最終回でありました。

『うのはな3姉妹』は南田君がとにかくいいですね。最初は、なんだか潤いのない男だななんて思ったものだけれど、こうして読んで、そのキャラクターが見えてくれば、なんという素直でない野郎だろうと。なのに、好きという気持ちがだだもれで、なんといういじらしさ、なんという可愛らしさであろうかと。彼もそうだし親父さんもそうなんだけれど、愛する人からの無茶な贈り物、必死で食べるという、その様子にもまたいじらしさ感じちゃって、この漫画はつくづく男どもが可愛いと思います。

Smileすいーつ』、塔子さんはまたも吐くまで飲んだというのか。しかしそれを見て、なお好きだと思い続ける中津君は健気です。しかし、こうもはっきりと意思表示して、しかし肝心なことはいわせてもらえず、それで気をもたせられたままキープされる。いや、意地悪な見方したらそうだなって。でもこれはこれで、大きな一歩だなって思えて、驚きながらもよいなと思っています。

『教師諸君!!』、以前からちょこちょこ話題になっていた前埜先生登場です。復帰のあいさつがなされて、なんだかすごくいい性格をしている、そんな彼女の活躍が見られるのだとしたら、これはすごく面白そうかもと思わされます。そして深沢先生の内示が出た? 季節は3月。卒業というか、学校においては年度の終わるひとつの区切りです。ちょっとそうした雰囲気も感じさせつつ、またきたる新しい年度が楽しみであります。

『美大道!』、なんだか頼りない、放っておけない、そんな女の子だった彩が、なんともいえない面白キャラクターになってしまっていて、今の彩、こういう娘さんは大好きです。コリアンダー! 意味不明なんだけどさ。カルダモン! 実にいいです。こういう勢いのいいのに私は弱いみたいですね。

『ちゃのま!』、友人たち三人で住んでいる話。そこに従弟の少年が加わったようですよ。少年への関わり方をもってお姉さまたちの個性を見せていく。なかなかに面白かったです。そしてヒロイン深雪の父の家を出ている理由、その馬鹿馬鹿しさ、最高に面白かったです。なんという主体性のない冒険なのだろう。見事にやられてしまいました。

『おかいあげ!』、ランドセルのお店に並ぶ季節であります。その様子を描いて、しかしモデルをやらされる大丸、同僚先輩にも子供と思われてしまう大丸、こういうどたばたしたところ、おおた綾乃という人の見せ方の面白さが発揮されていてとてもよかったです。お客様の気持ちを受けて、一生懸命になる大丸とかいいじゃありませんか。そしてその一連の騒動をもって、成長を決意させるという、その流れもとてもよかったです。

『よめ×ヨメかなたさん』は、この漫画の基本とでもいえばいいでしょうか、同姓同名ふたりの嫁の取り違えコメディをしっかりと展開してみせてくれて、実に面白かったです。ただ取り違えるだけでなく、そこにかなたさんの、おおっと昭和のかなたさんのナイーブな乙女心が表現されていて、実に楽しかったです。いや、ほんと、昭和のかなたさん、とてつもなく可愛いなあ。そう思わせるものがありました。いい話です。

  • 『まんがタイムファミリー』第28巻第4号(2010年4月号)

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