四コマの世界に姉一人妹一人、姉妹同居ものの風が吹いたとでもいうのでしょうか、東屋めめの『L16』が面白いなあと思っていたら、佐野妙の『Smileすいーつ』もなんだかやたら面白くって、これ、どちらも似たような構成、社会人の姉と高校生の妹がふたりで暮らしている、そんな四コマ漫画なんですが、全然その印象が違う、もちろん読後感も違う、それぞれに面白さ、楽しさ、読みどころがあるものだから、ちっともかぶっていると感じないんですね。そして、本日は『Smileすいーつ』の発売日であります。もちろん私は買って、読んで、この漫画の独特のあたり、甘々の姉妹生活ぶりにあてられて、なんだか姉妹っていいなあって思ったりなんかして、でもこれはきっと夢だ。この世には存在しない夢だ。だって、私の友人の姉妹、こんな感じじゃない……。いや、そうでもないかも。姉妹仲のいい人、何人かいますね。やっぱり姉妹っていいものなのかも知れないなあ、ちょっと憧れるのでありました。
しかし、『Smileすいーつ』を読む時は、いったい自分をどこに置いて読むか、それで得られるものが違ってくるように思います。可愛くて仕方のない妹に甘えっぱなしの姉として読むか、ちょっと手はかかるけど太刀打ちできない姉を持った妹の気分で読むか、それぞれにまた違った味、甘さというのがあるはずで、そして私はというと、お姉さん、塔子さんの部下である中津君のポジションで読んでいるような気がします。
仕事での失敗、お詫びの最中、下げた頭に置かれる熱いコーヒーカップ。セクハラまがいのお仕置き予告に、夕食自宅に誘っておいて一時間放置するなど、もう、最高じゃないですか。こういう上司があったら、私はきっと今以上にがんばると思う。そして、『ギャラリーフェイク』は翡翠に仕える瑪瑙のごとく — 、いや、こんな話はどうでもいいや。
ともあれ、この漫画は自分をどの位置に置いて読むか、その位置取りを工夫することで、様々に楽しめると思うんですね。積極的にはまり込んで、誰かのポジションに収まってしまう、あるいは傍観者に徹するなど、距離感の違い、関係性の違いから生まれてくる感情の濃淡、グラデーションが面白みを増さしめます。そしてきっと最も楽しいと感じられる濃度、ポジションというのは、自分の育ってきた環境にもとづいたものではないのかと思います。自分が慣れて、一番自然に落ち着けるポジションというものをこの漫画に見出せるなら、それは仕合わせなことだと思うのですね。
そして、私にとってのそれは、中津君のポジションであったというのでしょうね。
ちょっと余談。妹さん、果歩の彼氏である飯田君ですが、登場当初はちょっとがたいのいい兄さんという感じだったのが、どんどん丸々と福々しくなって……。
- 佐野妙『Smileすいーつ』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2008年。
- 以下続刊
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