2008年11月26日水曜日

歌謡曲のすべて

  先日、『秋冬』をリクエストされて、これはもうそろそろ、ある程度の曲集は持っておくべきかも知れないなあ、そんなことを考えるにいたったのですが、その際に候補として取り上げたのは、全音から出ている『歌謡曲のすべて』でありました。私がこの本を知ったのは、図書館勤務時代のこと。しかしあの頃はあまり使っていませんでした。より以上に充実した歌謡曲本『歌謡曲大全集』も所蔵されていたものですから、こちらを参照する必要性というのがちょっとなかったのですね。ですが、個人で持つとなると、『歌謡曲大全集』は少々高すぎます。というわけで、『歌謡曲のすべて』を買ったのでした。

この本は上巻と下巻、そして歌詞集が出ていまして、私はずっと歌詞集の存在する理由がわからずにいたのですが、この度これを買うためにいろいろ調べてみて、ようやくそれを理解したのでした。かつて、流しという職業があった時、これを持って酒場酒場を回るなどして、頼まれて歌うこともあれば、歌唱の伴奏をすることもある。その伴奏をする際に、自分は楽譜を見て、お客には歌詞集を見てもらう、そういう仕組みになっていたのでしょう。なるほどなあ。巻頭の曲名索引、デュエット曲に星印がつけられているという理由も納得です。

この本に収録されているもの、それは楽譜でありますね。楽譜にはコードがふられているから、ピアノでもギターでも、伴奏をしながら歌おうという人向けということがわかります。さらに加えて前奏間奏などの譜も書かれているから、かっこうよく伴奏するのも夢じゃない。まあ、弾ければの話ですけどね。ギター一本で、伴奏もメロディもいっぺんに弾くっていうのは、結構難しいんですよ。できない時は、無視しちゃうのが一番ですね。私はもっぱら無視して、できるように弾いています。

さて、この本の便利なところ、それは楽譜がページをまたがないというところであろうかと思います。ピアノと違いギターで困るのは、譜めくりなんです。ピアノなら、片手で弾いて、もう片手でぱっとめくる方法が使えますが、ギターではそれができないでしょう。だから、私はページをまたぐような場合は、全部覚えることにしています。でも、この本だとそういう心配はいりません。ページの見開きに可能な限りたくさんの楽譜を掲載し、その見開きで完結させようという編集は真の実用主義を感じさせます。楽譜がぎゅうぎゅうに詰め込まれたレイアウトは、必要となるページ数を減らし、本をできるだけ薄くしようというためでしょう。軽く、持ち運びにも簡便。無駄を廃された装幀も好ましく思えます。本当に、質実剛健という語が似合う一冊であります。

私がこの度買ったのは、上巻のみ。とりあえず、必要な曲が載っている分だけを買っておいて、もし今後下巻が必要になったら、その時の最新の版を買おうと、そういう算段です。毎年、新曲を収録して改定されるから、下巻は少しずつ太っていくのですね。2009年版では12曲増えて、320曲収録となりました。毎年十曲少々増えるとすれば、中巻として独立するまであと数十年はかかるでしょう。だから、適当な頃合いに買うことになるのではないかと思います。いや、新しい曲は歌わないと決めたら買わなくても大丈夫、というのも多分むりだなあ。まあ、あと何年かしたら買ってるんじゃないかと思います。

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