2008年10月14日火曜日

Bossa Carioca

 コンピュータを修理に出していた間、ポータブルCDプレーヤーで音楽を聴いていたということはもういいました。その時、一番最初に聴いたのがThe Memory of Treesだなんて風にいっていましたが、思い返せば、違いました。初日に聴いたのは、小野リサのアルバム、Bossa Cariocaでありました。これは、私の友人が貸してくれたものです。ギターを弾いている人にはお勧めだろうということで、ボサノバ。確かにボサノバはギターが重要な役割を担うジャンルであります。そして小野リサという人は、よくギターを弾き、また歌をうまく歌う人。さすがに私も知っていますよ。そしてボサノバ。聴けばすごくおしゃれな響きで、美しい、素敵、そういった感想も出るジャンルでありますが、弾いてみればわかる、これがめちゃくちゃ難しいんだ。私がやると、なんちゃってにしかなりません。

私の友人は、自身も音楽をする人で、音楽に関していうならば、私よりもずっと真っ当、というか、スタンダードを押さえた人です。なので、この人のお勧めなら安心して聴くことができます。そしてそれはBossa Cariocaに関してもそう。収録曲を眺めてみれば、So Danço Sambaくらいしか覚えがない? そう思っていたんですが、Chega de Saudade知ってます。Ela É Carioca知ってます。わお、まさしくスタンダードなのではなくて? むしろアントニオ・カルロス・ジョビンの偉大さがよくわかる。なおこのアルバムにはジョビンの息子、パウロ・ジョビンが参加していて、さらにその息子(つまりA. C. ジョビンの孫)であるダニエル・ジョビンも参加している、ってなんだかすごいな。ボサノバ直系、ボサノバ本流じゃんか。

けど、小野リサという人もすごいのですよ。この人はブラジルはサンパウロに生まれて、音楽関係の仕事をしていたお父上の影響で、自身も音楽をするようになったんでしたっけ? なんか、バーデン・パウエルとか親交があったとか聞いてますが、まあそういうエピソード聞いてもすごいななんて思うんですが、それよりもブラジル音楽を聴いて育ったという、そこが大きいんじゃないかと思うのですね。音楽というのは、学んで身に付くところもあるけれど、それ以上に環境から吸収するところというのが大きくて、例えば私たちは日本のリズムを身に付けている、反対に西洋的リズムにはちょっと肉薄できないところがあって、けど若い人とかだと違うのかな? ともあれ、文化環境によって、リズムから節回しから、少しずつ、けれど決定的に違ってくるものなのですよ。

日本で生まれ育って、クラシックでもジャズでも、そしてボサノバでも、たいそううまく弾く人はたくさんいます。だから環境なんかはいいわけにしちゃいかんのだと思うのですが、しかし小野リサの自然なボサノバは、その成育環境にも関係あるんでしょうね。もちろん、ボサノバ聴いて育てば、誰でもうまくボサノバ歌えるようになるだなんて、口が裂けてもいいませんけれど。

このアルバムには、私でも耳に覚えているような有名曲があって、そして小野リサやパウロ・ジョビンによる曲など、新しい曲もあって、それらがそれぞれに個性を発揮しているのがいいのだと思います。明るい曲、心浮き立つような曲があれば、メランコリー、気だるい憂鬱感を感じさせるような曲もあって、けれどそれは陰鬱なんではなくて、さみしげだったりするけれど、ゆったりした心地よさを感じさせる、そうしたものだから、聴いて暗くなったりはしない。明るい曲も物憂げな曲も、そのベースにひとつの情感を抱いているように思えて、それはいったいなんなのでしょう。サウダージと呼ばれたりする、おそらくは日本語でこれと捉えることが難しいものなのだろうと思うのですが、もしこの感情を理解することができたら、いや、同じ感情を抱くことができたら、ボサノバをうまく歌えたりするのかな?

馬鹿なこといっています。その前に、まずは練習ですね。ええ、ちょっとギター弾きたくなってます。

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