せっかく買ったものだから、まずは遊んでみよう、そう思って『脅迫』のプレイを開始しました。なぜ『脅迫』なのかというと、まずは知っているものからやってみようと思ったから。けど、これは駄目です……。正直、陰惨で見てられないんですが……。昨日にもいっていたことですけど、『脅迫』をリリースしたメーカー、アイルのゲームで私の知っているものといったら『瑠璃色の雪』くらいなもので、だから私にとってのアイルのカラーとは『瑠璃色の雪』的なもの、純愛系との認識でいたのですね。ところが『脅迫』には、そうした要素はかけらもない模様です。
でもさすがに『脅迫』というタイトルが付いているわけですから、どんなものかは予測します。それに『脅迫』は『瑠璃色の雪』にも少し出てきて、主人公博士が途中入手するビデオがあるんですが、それが『脅迫』なんです。ヒロインの目に隠しが入っています。この仕掛けについて、当時はそれほどどうとも思わなかったのですが、実際に『脅迫』をプレイしてみるとその意図するところが見えてきます。『脅迫』のヒロイン、明日香の強要された行為が撮影されて流通しているという設定なんですね。つまり、『瑠璃色の雪』の時点において、『脅迫』において描かれた陰惨な出来事は事実として確定しているのだということです。
がおー、もう寝込みそうだ。
このゲームが収録された本『遊べる!!美少女ゲームクロニクル《PC98編》』に、アイルではないのですが、ちょっと面白いコメントがありました。
たまに、TRYのアンケートハガキで鬼畜ゲームは苦手って書いてくる方がいらっしゃいます。「苦手なんで明るいの作って下さい」って。パッケージの裏見て下さいって言うしかないんですよ。それはブランドを間違えてるから。
うん、その意見はよくわかります。アイルの得意とするジャンルは、私には向いていないのでしょう。アイルにおける異色作であった『瑠璃色の雪』が、たまたま私にマッチした。というだけの話であるのでしょう。しかし悔しいなあ。繰り返しいいますが、私はリバ原あきの絵は好きなのです。そりゃちょっと、いやかなり? 神村良介の立ち絵がおかしいとか、まあ男キャラはどうだっていいんですが、妹未来が微妙とか、笑顔がどう見ても「ゆっくりしていってね!!!」だとか、友人綾がもっさりとして重そうだとか、まあ思うところはいろいろあるんですけど、はっとするようなイベント絵があるのです。それが本当に魅力的で、思えば『瑠璃色の雪』で私を魅了したのもそれだったのかも。川から子猫を助けるイベントでの絵がすごく魅力的でした。おそらくはあれは16色グラフィックならではの味、256色以上の環境では出せないに違いない。私がなおも16色最強を唱えるのは、きっとあの絵があってのことだろうと思います。とはいっても、一度は投げたんですけどね。
全然『脅迫』に触れませんね。なんか、へこむらしいですよ。最初こそはちゃんとテキストも読んでましたけど、途中からCtrlキー押しっぱなしになって、それでもちゃんとシーンやエンドを回収できるのは、充実のヘルプ機能のおかげでしょう。というか、答機能を早々に有効にして、とにかくだだだっと勢いで終わらせちゃうことにした。だって、つらいんですよ。なんか、陰鬱な気持ちになってきて、まあそれはゲームが悪いというんじゃなくて、ジャンルとの相性の悪さのためなんですけどね。いやだってさ、制作者がこんなこといっているんです。
当時のゲームはレイプとかされててもどこか明るいんですよ。実際にひどい目に遭わされたら帰っても眠れないし、次の日から陰鬱な気分になるし、楽しいことなんて何もなくて、そこにたたみ掛けるように次から次へとやられると精神的に沈んでいく。普通ならこうだろう、って考えたのが『脅迫』だったんです。
うん、その考えは正しいと思います。それは『瑠璃色の雪』でも感じられたことで、普通この手のゲームでは感情値が達していないとイベントは発生しませんが、『瑠璃色の雪』では強引に推し進めることができるようになっていて、そうしたらもうめちゃくちゃ後味が悪いの。陽子なんて、私博士のこと好きだったのに……、なんていって泣いてる。でもって『脅迫』というゲームは、この手の展開でもって畳みかけるんですね。ええ、ヒロインも沈んでいくかも知れませんが、プレイヤーも沈んでしまって、もうどうしようもない感じでありまして — 。制作者の意図するところは功を奏していると、私が確かに肯いますよ。
- 脅迫
引用
- 「BLACKPACKAGE 佐藤貴行、KENJIインタビュー」,『遊べる!!美少女ゲームクロニクル《PC98編》』(東京:コアマガジン,2007年),49頁。
- 「紀の国の若大将 アイル(森田商店)」,同前,26頁。
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