2008年4月1日火曜日

Parker Duofold Cloisonné

 やっぱり私という人間は、どこか歯止めが利かないようにできているようなのです。昨年末に、迷った末に万年筆を買った。そこまではまあいいですよね。人間、一本くらい万年筆を持っていてもおかしかないです。その後、持ち運び用書きなぐり用に追加した。まあ、これもいいですよね。ちょっと微妙ですけど。そう、ここで踏みとどまっていたらよかったんですよ。けれど、一本持って、二本持つと、その差に気付くんです。三本持つとなおさらです。安いのがすなわち悪いわけでもないということを理解し、しかし高価なものはそれだけの理由があるのだということもわかる。そうなると、もういけません。より上位のペンとはどんなものなんだろう……。ああ、自分の好奇心が憎い。興味を止めることができない性格を憎みます!

買っちゃったんですね。Parkerの最上位モデル、Duofold。しかも通常ラインではなく、限定版です。クロワゾネと銘打たれた、黄色のモデルですよ。もともとにマンダリンイエローのデュオフォールドがあって(1920年代)、その復刻版が1990年代にあって、そしてそれのまた復刻なんだとかいいますが、鮮やかな黄色が目にも鮮やかで、綺麗なペンね。それにお高い。胴軸中ほどにDUOFOLDなんたらかんたらと刻印があって、ちょっと昔風。この昔風が私にはちょっとよかったんですね。

現行品を選ばず、あえて限定に手を出したのは理由があります。ひとつは、今のエースの模様のついたデュオフォールドではなく、その前の矢のデザインされたものが欲しかったから。Parkerのカタログ見ながら、いつかデュオフォールドをなんて思っていた、そのころのデザインを手にしたかったということなのでしょう。天冠こそはCloisonnéって書かれちゃって、懐かしの、憧れの、って感じではないんですが、まあそれはしゃあないと思いましょう。

そしてもうひとつの理由。それが限定品であるということから、質のよさを期待できるかもしれないというものでした。一般的に通常のものと限定品、特注品を比べると、あとのもののほうが質がよくなることが多いです。シリアルナンバーが振られ、またそれだけに注目もされやすいものだから、気を抜かない。特注品ともなるとそれ以上でしょう。もちろん一概にはいえないんですけどね。限定品でも、特注の一点ものでも、外しているものはあるかもしれない。けれど、そういう傾向はないでもないって話であるんです。

とはいっても、やっぱり高い買い物だから、試筆はしています。最初出てきたものは、ちょっと書き出しで線が引けないことがあって、筆圧が弱すぎたから? あるいは散々色んな人が試したから? ちょっと疑問に思うような感じで、でも先にインクつけただけの試筆だものな。実際にちゃんとインクを吸えば違うかもと思ったら、奥からもう一本出てきたのでした。多分、散々首ひねってたのを見られてたんだと思います。そちらも試していいですか、と聞いたら、いいですよとのこと。書いてみて、かすれるなんてことは皆無、筆圧かけず、ペンの重さだけで書けることに気を良くして、こちらをお願いします。シリアルナンバーは1400番台。かくして、私はデュオフォールドのオーナーとなったのでした。

なんと分不相応な! ほんと、なんか、すまねえなあ。

デュオフォールドで書いてみて、このペンは先がMしかないんですけど、ちょっと先が平たくなっているのか、左はらいなど、斜めの線が細くなるのが印象的。Pelikano Juniorなんかに近いかな(えらい比較だな、おい)、なんて思っていたんですが、そう思っていたのは最初だけで、今は普通に書けてるなあ。なんでだろ。なれたか? ともあれ、Sonnetよりごつい書き味です。ペン先の大きさもあるのかも知れないけれど、硬く、しっかりとした感触で、そりゃ悪くないけど、日用にするにはごつすぎるかもなあとも思われて、どうしよう、現行品のデュオフォールドも欲しいんだけどな(うわ)。日用に使うのなら、Sonnetとかの方が取り回しやすいし、手ごろであるのは確かだけど、大振りのペンを扱う面白さというのは確かにあるなあ、そんなこと思われて、それが値段の価値かどうかといわれると正直私にはよくわからないのだけど、でもこの価格のペンを持って、後悔の気持ちはないですね。むしろもっと興味が強くなって、やばいなって思う、そんな状況であります。

Sonnetよりもデュオフォールドが面白いと思うのは、毎日日記つけるのに使っているSonnetを普通の感触と思うようになっているからかも知れません。エスプリのこじんまりとしたペン先の、こつこつと紙面に触れるダイレクト感も面白いけれど、大きなペン先が紙面をすーっとスライドしつつ線を残していく感触もまた面白い。その合間にSonnetの、癖なく、静かに書ける感触があるといったらいいのかなあ。三者三様で、実に面白いと思います。

さて、PILOTボーテックスはまたそれらと違う感触で、ペン先がステンレスでまた一番細いこともあるのでしょう、擦過している感触が手にきますね。もしかしたら金だとこの擦過感が減るのかも知れません。Perkerの三本、その違いをみてみても、サスペンション効果みたいなものはあるのでしょうね。

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