2008年4月9日水曜日

ももこんティーチャー

 人生において、確かに根性というのは必要であるかも知れないなあ、なんて思うことがありまして、したたかさって言い換えてもよいかと思うのですけれど、ちょっとやそっとの失敗で挫折してしまわないような、これだと思ったものにはしっかりと食らいついていくような、そういう気概は必要なんじゃないかなと思うことがあったんですね。いや、私のことじゃない、いや私も実際そうなんだけれど。というようなわけで、今日は『ももこんティーチャー』です。お嬢様家庭教師育成派遣センターからやってきたプロ家庭教師、松坂もも子が主人公だ。いや、違うか。主役は三郎だわなあ。なにをやっても駄目だと思っている、その気概がすでに駄目な少年であります。

けど、簡単に駄目っていいますけど、人間っていうやつは、駄目だ駄目だといわれ続けると、本当に駄目になってしまうもんなんですよ。まず気持ちが駄目になってしまう。そうなると、逆転のチャンス、力を振るわねばならないその時に力を振るえなくなって、引っ込んでしまう。上を向けなくなってしまう。よっぽどのきっかけがないと、前に出られなくなるんですね。

主人公三郎はそんな風にして育ってきたんだろうなあって、そういう描写がちょいとあって同病相憐れむ気分です。すっかりへこたれてしまって、ひねてしまって、おいおいちょっと元気出しなよなんて思ったりするような、ある意味放っておけないキャラクターであるんですが、なんというのかなあ、時々そのいじけっぷりにいらいらしたりすることもあるくらいであるんですが、そうした気持ちを代弁してくれるのがもも子先生です。見た目清楚なお嬢様にして、中身はおっさんじゃないのかというギャップヒロイン。あらゆる困難に対し根性で乗り切れとアドバイスする、その気っ風、侠気が素晴らしい。というか、インドア系の三郎にはミスマッチだろうという気もするんですが、それがそれでなんだかうまくいっているのは、やっぱりもも子先生のど根性あってのものなのでしょうか。ああ、あらゆる問題をど根性は解決するんだと、もも子先生自身が手本を見せてくれているのだと思います。

こんな具合に、あらゆる物事に根性見せろというもも子先生、この人自身にも問題はあると思うんですが、理不尽なところ、それどうよっていうような部分ですね。けれどそうした欠点もろもろが、無理矢理を押し通すというギャグ、笑いの要素を後押しし、あるいは欠点もあるからこそ人間臭くもあるいう、おかしな魅力を生む源泉になっているように思います。完璧じゃない。欠点だらけだ。だがそれをすべて根性でカバーしている、いや、押し切ってるだけか。いずれにしても、この無茶なキャラクター。引っ込み思案の三郎に対しあまりにポジティブすぎる性格、理不尽すれすれのもも子先生を面白いと思うか、ついていけんわと思うかで、この漫画の評価も決まるように思います。そして私は、割と嫌いじゃないって感じでいるんですね。いやちっとも萌えませんけど。けど萌えだけが漫画じゃないもんな!

ナンセンスをベースに三郎の駄目さを少々、そして目一杯のど根性を加えてみたというこの漫画。ポジティブを叩き込まれたいという人にはおすすめかも知れません。日頃無理に耐えていっぱいいっぱいになってる人にはたまらんかも知れないけれど、疲れ、ストレスにへこたれそうという人には意外によいところもあるんじゃないかって思うんです。肩ひじ張らず、大きな声で押忍! 根性!! ほら、割と悪くないキーワードでしょう? 実際、気持ちが上向きになる気がしますよ。

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