2005年7月18日月曜日

E. T.

 昔の映画パンフレットを出してきて、なんだか懐古的気分に襲われてしまったので、今日は『E. T.』でも取り上げてみようかと思います。あ、大丈夫。明日は『フラッシュダンス』とかいうことはありませんから、安心してください。

E. T.は、もはや説明不要のSF古典映画であると思うのですが、若い人だと知らなかったりわからなかったりするでしょうか。一人地球に残された地球外知的生命体を、大人の手から守ろうとする少年たちの奮闘がみずみずしくも感動的な、素晴らしい映画でした。E. T. ウチカエル (E. T. Go Home)は流行語にもなりました。そして、あの指先を合わせる印象的なしぐさを皆してまねして、ええ、あの頃の日本はE. T.に夢中でした。

どれほど日本人が『E. T.』という映画に夢中であったかは、その配収を知ればわかるのではないかと思います。その記録的配収は96億円! 1150万人の動員を記録したのでした。この記録は1997年公開の『もののけ姫』に破られるまでの十五年間、まさに映画の金字塔として燦然と輝いていたのでした。ちなみに『もののけ姫』の配収は113億円。1350万人を動員しています。

ちなみに、邦画の記録は『南極物語』の59.5億円。邦画、洋画のチャンピオンを見に行った私は、さながら当時の標準的な日本人であったわけですが、『もののけ姫』は見に行きませんでした。この十年あまりの間に、私の身になにがあったのでしょうか。ま、そんなのはどうでもいいことです。

『E. T.』は、主役のエリオット少年がけなげだったんですよね。子供たちで集まって、E. T.を隠すというそのギャングエイジ的シチュエーションもわくわくするのですが、そんな中で深くE. T.と心を通わせていたエリオット少年がやっぱりよかったのです。

エリオットは、本当にE. T.のことを好きだったことが伝わってくるのですね。うちに電話したいというE. T.とともに通信機をこさえ、そしてE. T.の危機には憤然と食い下がり、そして彼ら子供はE. T.を自転車のかごにのせ、大人たちの世界から逃げだすのです。

こうして、言葉にすれば陳腐かも知れません。あまりにありきたりのストーリーと思われるかも知れません。ですが、見ればきっとわかる。見ればわかるのです。彼らの間にあった絆は言葉で語れるものではなく、それは実際に見て、その細々としたしぐさ、表情のやり取りの中に見つけ出されるべきものなのです。そして一旦その友情の深さに気付けば、もう引き返せませんよ。我々視聴者はE. T.、エリオット少年とともに空を飛び、そして切ない別れを経験することでしょう。

あのとき、まだ子供だった私は泣きました。映画館で、大人子供の区別なくすすり泣く声を聴いたのを、私は今も忘れません。

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