多分、本当だったらこの間のミュージカル・バトン企画で取り上げるべきだった曲。
私がフランスの歌手パトリック・ブリュエルの歌を聴いたのは、NHKラジオのフランス語講座入門編でのことで、昔、ラジオフランス語では毎週木曜にフランスの歌を取り上げて紹介していたのでした。この企画は私にはすごく嬉しくて、このBlogを読んでいくとその証拠を見つけられるのではないかと思いますが、ひとつ言葉を学ぼうと思うごとに私は聴く音楽の範囲を広げていったのです。なかでも中国語とフランス語は私のうちに大きな割合を占めていて、そのどちらもが私にとっての大切なものとなっています。あの時取り上げたのが中国語の歌だったからといって、私の中でフランス語の歌、パトリック・ブリュエルの『それでも君に言おう』の価値が劣っているなんてことは断じてなく、この歌は、今も、昔も、等しく私の愛してやまない歌であることに変わりません。
私がこの歌の収録されたアルバムを探したのは1999年のことだったのですが、この時点ですでにアルバムは廃盤、入手不可能という状況でありました。ですが私はあきらめが悪くできていて、中古レコード店や海外ショップなどあちこちを探してみて、けれどそれでも見つからない。手に入りそうな気配さえもない。正直、一度はあきらめてしまったのでした。
ですが、2001年に再び探してみたところ、なんとか見つけることができて、こうしてやってきたAlors Regarde。あの時は、頭っから見つからないものだと決めつけていましたから嬉しかった。本当に嬉しくて、支払った額は結構なものでしたが、けれどちっとも惜しいとは思いませんでした。
この歌は、本当に静かに、語りかけるように歌われる名曲で、すごく素敵なのです。それでも君を愛していると言おう — 、もう別れようというそのときに声を荒げるでもなく、感情をむき出しにするでもなく、本当に静かに告げられる « Je t'aime » の一言。この言葉が心に沁みるのは、ブリュエルの歌声に感じやすく傷つきやすい心を見てしまうからかも知れません。あるいはフランス語という言葉の力でしょうか。いずれにせよ、私はこの歌に繊細なる青年の像を思うのです。
蛇足
今、Patrick Bruelで調べてみたら、結構アルバムが出ていて驚きました。以前は本当に情報が少なくて、パトリックで調べたらパトリック・ヌュジェばっかり出てきてまいったものです。このときのことを、後にヌュジェ氏に直接文句いったらば、ブリュエルについていろいろ教えてもらえてちょっとラッキー。
パトリック・ブリュエルは一時期調子を悪くしていたのか、メディアに登場しなかったのだそうですが、復帰後は活躍されているようで私も少し嬉しくて、だからちょっとずつでもアルバムを買い集めてみましょうか。そんな気持ちになっています。
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