先日のぶしつけきわまりないミュージカル・バトンのパスをこころよく受け取ってくださったtsawada2さん(感謝します!)のミュージカル・バトンに、気になる文言をみつけました。その文言というのはアニソンという言葉でくくってしまいたくないです
。ええ、この言葉には私も同感することしきりです。
世の中にはアニメを頭っから馬鹿にしてるような人が少なからずいるのですが、そういう人には見つけられない素晴らしいものがアニメにはたくさんあります。それは物語であり、劇であり、絵であり、そして音楽も然り。アニメには隠れた名曲が多いというのはおそらく多くの人が知っていることで、アニメから離れてもなお輝きを消さないだろう名曲もまれではありません。ですが、これは本当に口惜しいことなのですが、アニメの曲だからという偏見がそれら輝きを隠してしまっていること数多く、人口に膾炙することなく過去へ過去へと送られていってしまう — 。
うう、本当にくやしい。宮崎駿とデーズニーばかりがアニメじゃないぞ、ギャピー、とでも叫びたくなるではありませんか。
『勇者警察ジェイデッカー』は、勇者シリーズの第五作目。続発するロボット犯罪に対抗すべく、警察が変形合体ロボットを導入するというアニメなのですが、ロボットの製造現場に迷い込んだ少年との出会いにより、心を持たないはずのロボットが心を持ってしまった — 。このプロットがそのまま物語のテーマでありました。『ジェイデッカー』は、心とはいったいなんなのかという、決して簡単じゃないテーマに真正面から取り組んで、しっかり描ききった名作中の名作です。
このアニメの挿入歌が『もしもあなたに会わなければ』。男性ボーカルによるスローなバラードで、『ジェイデッカー』のプロットやテーマをしっかりと反映させながら、それだけにとどまらない深さ、豊かさを持つ名曲です。
『ジェイデッカー』を知る人間が聞けば、この歌には警察で働くロボットの心情がそのまま表れているとすぐさま気付くことでしょう。あなたと呼びかけられているのは、それぞれのロボットに深く関わっている人であり、ロボットはそうして人と関わる中で心を深め、その心に戸惑いながら、大切な人のために戦います。この歌にはそうした情感がたっぷりとしています。
ですが、大切なあなたを守りたいという気持ちから困難に立ち向かうのは、彼らロボットだけではなく、それは心を持つもの誰もに共有される感情です。そして、 — こうした感情を扱って、この歌は普遍性を勝ち取ることに成功しています。
『もしもあなたに会わなければ』は、さながらラブソングであり、その愛は実直で紛れもなく純粋です。自分の大切な人の仕合せを思い、その人とともにあることを喜び、そして不幸がその人の心を曇らせないようにと願う思いは清く、けれどあまりにまっすぐなものだから口に出すには照れがあります。
ですが、こういうことが、照れも気後れもなしに歌われているのはいいものですよ。
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