2005年1月14日金曜日

天気予報の恋人

    『天気予報の恋人』は、仲間内で不思議に人気の高かったドラマで、普段はドラマなんてあんまり見ない私も、毎週楽しみにストーリーを追って、来週はどうなるんだろう、二人いるヒロインのどちらが最後に仕合せをつかむのだろうかと、口々に続きを予想し合ったり、感想を交換し合ったりしたものでした。

思い返してみると、なんだか懐かしいですね。ドラマは2000年放映で、あの頃は今とは全然違う環境で、今とは違う楽しみがあった。振り返っても仕方がないけど、たまには来し方を思うのもいいもんじゃないですか。

二人のヒロインは互いに友人同士で、同じ男性を好きになるんだけど、いがみ合ったり取り合ったりといったいやらしさがなかったのがよかったのですよ。私にとってのメインヒロインは深津絵里演ずる金子祥子、ラジオの人気パーソナリティだけど、なんだか容姿にコンプレックスがあるかなんかで、その正体を隠しているという設定がGoodでした。

この、コンプレックスというか男性に対する自信のなさというかがいいじゃないですか。一昔前の少女漫画のヒロインってのは大抵みんなこんな感じでしてね、美人で女らしいお姉ちゃんとか友達とかに比べてなんで自分はこうなんだろう、わたしもお姉ちゃん(もしくは友人)みたいだったらもっと自信が持てたのにみたいに思ってましてね、けど普段の行動はそんなそぶりをみじんも見せず、明るく元気で、憎まれ口聞いたりしましてね、金子祥子もまさにそんな感じ! 素晴らしかった、実に素晴らしくキュートでした。

けれど、途中で私は気付いてしまったんですが、キャストのクレジット順が深津絵里トップじゃなくって、その前に稲森いずみがいたんですね。いや、私稲森いずみも結構好きなんですよ。深津絵里を十好きだとしたら六から七くらい好きかな? 稲森いずみ演ずる原田早知は美人でかわいくってという役柄で、けれどこちらにも男性に対する負い目がありまして、— シングルマザーなんですね。

こんな風に、それぞれ男性に積極的になれない二人が、屈折してみたり、譲り合ってみたりしながら、それぞれの恋愛に揺れるというドラマだったのでした。

金子祥子は、ラジオパーソナリティ — 唯川幸として表立つことを嫌がって、原田早知を影武者に立てた。これがこのドラマの面白さでした。声の唯川幸と容姿の唯川幸がいたわけでして、唯川幸に恋した男が、唯川幸が二人いることに気付かず振り回されるというのがよかったんですね。

けどさ、原田早知が唯川幸と思っているこの男がですよ、だんだん知り合っていくうちに金子祥子こそ本当の唯川幸なんじゃないかと気付いていくわけなんですけど、こういう展開を見せられたら、やっぱり最後に仕合せをつかむのは真実の唯川幸 — 金子祥子だろうと思うじゃないですか。いや、実際私はそう思い込んでいたのです。一歩引いて陰に隠れていた人が真実の思い人であるとわかって、恋は怒濤の急展開、成就しないと思われた愛がかたちを成して、最高のカタルシスをともにドラマは幕をおろすのです!

少女漫画だったらそうですよね、けれど、このドラマは私の予想(いや期待といっていい)をあっさりと裏切ってしまったんですね。クレジット順から稲森いずみが正ヒロインとわかって以来、おぼろげに覚悟はしていたとはいうものの、私、正直なところ、ショックでしたよ。

ドラマは徹頭徹尾コメディタッチで、だからこそ揺れ動く二人の恋心が切なく感じられたのだと思います。それでもって私大好きだったんですが、けれど私の好きなのは常にマイナーといいますか、大ヒットという感じにはなりませんでした。大ヒットしていたら、今もDVDで見ることができたのかも知れませんが、しかし現実はビデオしか出てない上に絶版、さらにいえばビデオは異常に高いという三重苦です。

再放送して欲しいんですが、期待できないもんでしょうか。私は、いつまでも待っているんですけどね。

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