2005年1月30日日曜日

Les Années 60

 ジャン・リュック・ゴダールに『男性・女性』という映画があるのですが、その映画でヒロインをやっていたのがシャンタル・ゴヤ。作品中では売り出し中の歌手マドレーヌを演じています。映画で使われた歌がこのアルバムに収録されているということで、思わず私は探し回って買ってしまったのでした。

いやあ、そんなにうまい歌手じゃないんですよ。ひいき目に見積もってもせいぜいアイドル歌手って感じでしかないですし、その上60年代のレコードだから、音質や編曲もそんな感じ。最近の音楽みたいなノリだとか、そういうのは期待できません。けれど、古きよきフレンチポップスという感じがあって、この当時の風俗だとかが好きという人ならば、きっとよさがわかるんじゃないかと思います。

しかし、改めて聞き返してみると、本当にうまくないですね。でも、そのうまくないはずのCDを、買ったのはなんでなのか。映画でその歌唱力についてはわかっていたはずだというのに、わざわざ探し回ってまで。それは、それは — 、うー、シャンタル・ゴヤがあまりに可愛かったからなんですね。そう、シャンタルが悪いんですよ。

人には誰にも好みのタイプというのがあると思いますが、そしてそれがフェティッシュなかたちで現れることも往々にあると思いますが、私にとってのフェティッシュは、どうやらおかっぱなんですね。ボブカットっていうんですか、あの髪形がどうやら私にとっての急所であるようで、例えば天羽さんとかがそうでしたね。

以前は気付いていなかったこの急所でしたが、その後のサンプリングや調査の結果から、私はボブカットに弱いということが明らかになって、そういえばシャンタルも実にいいボブじゃないですか。ついでにいえば映画でのシャンタルは、ジャケット写真以上に素敵な娘だったのですよ。だもんだから、そもそも私がその魅力に抗えるわけなどなかったのです。

けれど、これはこのアルバムに音楽的価値がないといってるのではありませんよ。歌というのは、その巧拙、技巧も問題ではありますが、それ以上にどれだけ独自の世界を作り出せているかのほうが重要です。そういう意味では、シャンタルはあのイエイエの時代を背負って、独特の雰囲気を醸し出しています。女臭さを感じさせない中性的な空気をまといながら、けれど時にコケティッシュな色合いをちらりと見せる。はっとして振り向くと、その時にはもう、普通の素朴な女の子に戻ってるんですね。

可愛らしいいたずらっぽさが、少女らしい残酷さを隠してすましている。この感じを魅力と感じられる人には、おすすめであると思います。でも、できれば映画も一緒に観たほうがいいかも知れません。

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