2004年10月25日月曜日

タイプフェイスとタイポグラフィ

私は今や書字が書字がといって、手書き文字を愛するようになっておりますが、その根本大本は活字が活字がといってタイプフェイスを愛していたのでありました。いや、もちろん今でもタイプフェイスは好きですよ。よく組まれたタイポグラフィは目に優しく美しく官能的でもあります。特に洋書にみられる、伝統的な欧文タイポグラフィの美しさたるや、整然と並び天と地を繋ぐ知の命脈を感じさせます。アバンギャルドな近代のタイポグラフィには、新しい秩序を模索し挑戦する気魄気概がみなぎっています。

ああ、なんて素晴らしいんだろう。私もタイポグラフィを学びたかったというのはついこないだもいったことなので繰り返しません。

さてさて、この本が私の最もしっかりしたタイプフェイスの教科書でした。この本はもともと1984年に刊行された『文字の歴史とデザイン』が解題改訂されたものでして、今年、更なる改訂が加えられたようですね。こうして長く綿々と読み次がれているということは、つまり内容は決して古びないということの証拠でありましょう。

さてその内容はというと、活字体の歴史が中心です。どのように活版が開始され、どういう字体がいつごろ生まれ、改良され、今に至ったかがよく説明されています。基本的な字体の区分やレタリングの基本、組みについても解説説明はなされていますが、やはりこの本の中心は歴史でしょう。字体の歴史にはその文字が生まれるにいたる経緯や意図が含まれるのでありますから、やはり歴史を知るということは重要なのです。

昔、Macintoshを買ったとき、そしてプリンタを購入したとき、字体が充実しているのに感動しました。特に欧文書体の充実は素晴らしく、基本となる字体はすべて揃ってたんじゃなかったかな。ほんと、このときの感動がタイポグラフィに興味を持たせることになったのでした。

いい道具はいい発想を生みますが、まさにコンピュータはそういう道具であろうと思います。後はその発想を裏付ける知識や経験が重要。こうした本は知識や理屈を支える一助となってくれるものと思いますよ。

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