『まんがタイムきららMAX』2014年7月号、発売されました。表紙は『ご注文はうさぎですか?』からチノでありますよ。ひとりって珍しいな。梅雨の晴れ間、さしていた傘をたたもうとするその様子。飛び散る水しぶきが射し込む陽光に照らされて輝いて、そしてチノ、逆光を受けて、その輪郭を縁取る光のラインも美しい。ええ、雨の季節に晴れ間、明るさ取り入れて、また切り取られたこの一瞬に動き、躍動が見事に封じられている。日常のスナップショット、チノの表情も自然さ感じさせて、魅力的な仕上りです。
『ご注文はうさぎですか?』、ココアのお姉さんがやってきましたよ。モカさん。サプライズを狙うモカと、到着の遅れる姉を探しに飛び出していくココア。見事にすれ違い。しかし、それでモカと、チノ、リゼが予備知識なしに出会うというハプニングが成立するんですね。面白かったですよ。リゼに静かにつっこむチノって、ああ、成長なさった。そして姉の実力発揮ですよ。もちもちが足りない! ああ、ココアのパンではまだ不足なのか。さらに美味しいパンを作ってみせるわ、頼れる姉オーラでチノ、リゼをとりこにするわ、素晴しい! いつものココアさんが茶番のようだって、ほんと、おかしかったです。今回はリゼの常には見られない表情とか、妹全開のココアとか、なんだろう、すごく感情を揺さ振られる。そして最後にココアの見せたサプライズ、ああ、サプライズというテーマがぴしっと通って見事でした。あのココアの表情! 最高ですよ。最後の一本も、寝てる! から実はそうでなかったモカ? うん、いい雰囲気でした。
『もののゆ』、温泉宿ものですね。祖母の旅館「かんこどり」を手伝うことになった巴、彼女が出会った座敷童が金髪ゴスロリのふたり組。あまりにイメージと違うふたりに当惑する巴でありました。まあ、そりゃそうだよなあ。お婆さんも子供のころは見えてたんですね。けどその時の姿はおかっぱ、着物。それが今では全然違う。座敷童も欧化する時代なのか。和室にこたつに、イングリッシュティータイム。うん、ミスマッチです。モッコとヤシオ。ネットオークションに手を出したりしてる現代っ子風。けど、洋食に憧れてたり、そうした様子はなかなかにいい感じでした。けど、このふたり、座敷童としての力を失ってる? みたいで、なので巴の料理の力に期待する。ええ、座敷童も宿のこと心配してるんですね。
『軍師姫』、もしかしてタイムスリップもの? そう思ったら、どうも違う模様。妹が歴史好き? 歴女ってやつなのか、そうも思ったけれど、いわゆる歴女でもないみたい。姉を起こす妹の、その手段が一打ち二打ち三流れ、山鹿流陣太鼓。あの格好も、ちゃんとコスプレしとるのか。登校初日、姉妹が同じクラスってことはつまり双子なのかな? 妹はクラスに歴史好きの子を見付けて、なんとか友達になりたいと思うけれどもうまくいかない。姉の様子をうかがえば、なんだかひとりぽつんとしてる。中学の頃の友達は皆隣のクラス、そうした事情があるのだけれど、妹には通じてない。それで、姉のピンチを打開しようと策を講じるのですね。いやはや、不思議な雰囲気の漫画でしたよ。けど、その妹の行動、それを見て孫子の兵法と理解するクラスメイト、その眼力が逆にすごいな! ちょっと他にない雰囲気ですよ。これは面白いやも知れません。
『ねこと白衣と、』、アメリカからやってきたオタク娘? パンをくわえて曲がり角でぶつかる、いわゆるお約束をやってみせんと挑戦しているこの子をさして、また出たぞ金髪クラウチング幼女、この表現がおかしくて、ええ、悪くないんじゃなくって? この子、ステファニー。知り合ったのは江釣子藤音。そうか、藤音、友達少ないのか。ステファニーの知識は、基本的に漫画やアニメからのものだから、偏ってたり大げさだったり。あの購買に対する憧れなんかもそう。いやもう、確かに漫画アニメの購買ってやたら手広かったり、やたら争奪が苛烈だったりしますよね。こうした描写の誇張を誇張と否定してみたり、また別のところでは漫画的誇張を見せてくれたりと、この不思議なさじ加減、なかなかによかったですよ。ステフに藤音、あとはHENTAI不来方沙紗。この三人、それぞれ癖があるのがいいですよ。
『食レポの星』、これ、よかったな。食レポ、テレビとかで料理を食べてレポートする、それですね。ヒロイン、久留米つぶら。食レポの星なる番組で、B級グルメのレポートをしているのですね。この子が、いろいろおかしくて面白い。キャラクターとしてチャーミングなんだろうなあ。まだまだいたらないけど、ディレクター睡子さんの期待を背負って頑張る。落ち込んでは復活し、復活しては失敗し。そんな様子がよかったです。見せ方としては、食べます、超食べます、から超食べなくてもいいからレポートしてね、これがうまいこと生かされてた。また失敗の数々もバラエティ持たせて、工夫があってよかったです。そしてつぶらの、なぜこの仕事をしようと思ったか、そのモチベーションの提示、シンプルなんだけど、いやいや、それで充分、それがよかったと思ったんですね。これ、うまいこと発展したらよいなと思います。キャラクター皆も、表情豊かで魅力的でした。
- 『まんがタイムきららMAX』第11巻第7号(2014年7月号)
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