『まんがタイムきららミラク』2014年2月号、先日の続きです。
『城下町のダンデライオン』、今回は茜様、脇役ですね。光のアイドル活動のエピソード、アイドル米澤紗千子と一緒にステージに立つことになるっていうんですが、この紗千子が実に厳しいんですね。光様、らいとという名前でアイドルをやってて、才能はある、けど努力が足りない。プロデューサー兼マネージャーの松岡からも指摘されてるんですが、同じことを紗千子からいわれ、それ以上に迷惑とまでいわれて、光、一念発起するんです。長い下積み時代を経て努力でここまできた紗千子には許せないんだろう。けど、そんな紗千子に負けまいとやる気出して、学校の勉強も、アイドルとしての活動も、光、頑張ってみせた。けどその頑張りが紗千子をちょっと追い込んでしまってたっていうんですね。いいライバルで、いい友達になれたこのエピソード。そのプロセスがよかったなって思ったんです。今は紗千子は、らいとが光様ということを知らないわけだけれど、さらにいえば、年下ということも知らないわけだけど、こうしたこと、いつか明かされる日がくるのかなあ。だとしたら、それは実に楽しみです。
『アンネッタの散歩道』、素晴しいですね。暗い森のなか、気味の悪い音が聞こえる。すすり泣きみたいだと、やたら怯えるモリーにディンク、けどメイヴはちっとも怖がらないんですね。おどろおどろしい廃墟を見つけても、よしいってみよう、小船を即席で用意して、とっととひとり廃墟に向かうっていうんですね。しかし、残された方が怖いと後を追うモリーとディンク。メイヴのしっかりした船と違い、いつ沈んでもおかしくなさそうな船で、この慌てっぷり、実に面白かったです。見事なのはここからでした。廃墟の洗濯場。そこの小窓を通る風が音をたててたんだ。科学的に考えたら、なにも怖いことないよ。そういっていたのですが、ここで出会った妖精、バンシーの悲しい思い出を聞いて、ずっとあっけらかんと明るかったメイヴの気持ちに、わずかに感傷がさして、ここでもまたモリーとディンクに対照的なんですね。ちょっと切ない愛情の物語。豊かでした。そしてアンネッタの復讐。あのばあは可愛かった。そしてメアもすっかりしてやられて、ええ、メアも可愛かった。ほんと、妖精サイドも人間サイドも、とてもチャーミング。素晴しいです。
『大正幻想奇譚あやかしちらり』、これも実にいいですよ。狐の紅子と同室の薫。ふたりで手紙を交換したりしましてね、そしたら紅子、ものすごい達筆なのか。すごいな、お狐さま。今回は大正の女学校ものらしくエスがテーマでしたよ。お姉さま、妹のちぎりをかわして、手紙をやりとりしたりする。薫はちょっと憧れがあるみたいですけど、手紙がじゃんじゃん届くのは、エスとか面倒そうだからと興味を持たない紅子の方だっていうんですね。さて、学校ではそうした手紙が破られてしまうという事件が発生して、傷付いたり、いぶかしがったり。そんな中、我らが紅子さんが事件解決に乗り出すというんですね。ええと、自分も被害にあったから。うん、紅子さんの徹頭徹尾自分が中心って態度、好きですよ。うん、すごくいい。でもって、どんだけ薫のこと好きなんだろう。ええ、ほんと、紅子さん、すごくいいです。そして、犯行の瞬間を押さえてからの薫、ここも実によかったです。同じクラスの淡路小夜…さん…? 信じられないものを見た、その驚きと、そこからの薫の気持ちのまっすぐにして情愛深い様、心情の変化、移り変わりながら芯の強さを見せるその様子、本当に素晴しかった。紅子と薫、全然違う個性を持ったふたり。それぞれのよさが、それぞれに生きて、ほのぼのも、ちょっとシリアスも、どちらもよく彩られて素敵でした。
『寄り道ファミリ』は、ひとりの秋の過ごし方。さな子もお父さんお母さんも、用事があるからと帰ってしまって、今日はひとりの史夏です。いつも誰かしらいるから、ひとりだとなんだかもてあましてしまう。それで校内うろうろしたり、街に出てみたり。いつもの家族以外との会話も面白いんですね。学校だとみっしー、レンタルDVDショップでは南条さん。けどそうした会話にも、家族の皆のことが出てきて、ほんと、史夏にとって大切な家族なんだってわかる。そして後半は家族勢揃い。あのなんでもない会話、けどそれが落ち着くという感覚。これがこの漫画の味だなあと思わされましたよ。最後には、さな子の残していったゲーム、犬の名前がおかしくて、おかげで秋の夜長もさみしくない? 翌日のふたりの様子、あれもほのぼのでした。さな子、嬉しかったんだな、きっと。
- 『まんがタイムきららミラク』第3巻第2号(2014年2月号)
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