『まんがタイムきららMAX』2013年7月号、発売されました。表紙は『きんいろモザイク』、カレンがソロで登場ですよ。ヘッドホンを耳に、音楽を聴いているんですね。その表情はいつものものとはちょっと違って、やわらいだ中に高揚も感じられる。また流れる髪、その姿勢からも動き、その音楽の雰囲気が感じられて、ええ、美しい表紙、美しいカレンであると思います。
『ホームメイドヒーローズ』は、これまで描かれてきたヒーローサイドのエピソードに加え、ついに悪役登場。麻凛の悩み、正義ってなんだろう。授業で習った人と戦争の歴史。なぜ戦争はやまないのか。それに対して話を聞き、アドバイスしてくれた先生。なんとこの人が悪の手先だっていうんですよ。なんてこった、眼鏡だよ! しかし正義の味方が妙に小市民的で、こじんまりとして、正義の執行と平和との合間に揺れるジレンマを吐露したり、そうしたおかしみ抱えてると思えば、悪は悪でやっぱりやたら小市民的。いつか一発あてる日まで目立ってはならぬと、ひっそり平和に暮らしている。しかも悪といっても悪人じゃない。悪の組織、その幹部として振舞いたいだけで、犯罪に手を染めたいわけじゃないんですね。いや、悪の幹部の活動が犯罪になるのかならないのか、それはわからんのですけど、純粋に無目的な悪を働くというのは不思議な響きであります。
さて、こうして正義サイドと悪サイドが揃ったわけですが、つい最近もいったんですけど、これは状況次第ではかなりのインパクトをもたらすのではないか、私に。というのは、私、ご町内ウォーズといった感じの漫画、アニメがかなりくるのです。例えば『元気爆発ガンバルガー』。世界の滅亡をかけて戦っている2勢力が、同じ町内に拠点を構え、普段はなんだか顔見知り。わきあいあいと仲良く喧嘩してる、そういうコメディものが好きなんですね。この点『ホームメイドヒーローズ』は、なおさらぐっとポイントを絞ってきていて、町内どころか校内ですよ。次女麻凛の通う学校の先生、この人こそが悪の幹部。名前だって菅部阿久乃ときた。このご近所どころじゃないミニマム感、これは展開次第ではがつんときそうだな、そう思わされたんですね。
なので、是非ともがつんといっていただきたい。秘密のヒーローと秘密の悪の幹部の激突!? ええ、期待してしまいますよね。
『こずみっしょん!』は幽霊屋敷の話題で持ち切りですって! 火の玉を見るとか変な悪寒に襲われるとか、穏やかでない噂がたっていて、じゃあみんなで幽霊屋敷の調査にいこう。って、まさかの? やっぱり? 部長の家だっていうんですよ。そこで知る部長の過去。憂いのある美少女。それが黒瀬ハナと出会うことで明るくなった。いや、いい話ですよ。自分の霊感が人を傷つけてしまう。そうした憂いからハナが解き放ってくれたんですね。ああ、なんていい話。って、あのこちょこちょはそれでいいのんか? なんか違わないか? ハナと奈央の関係、それが再確認されて、ふたりともに大切に思いあっているんだなあ。ほんと、いいエピソードでした。で、あの落ち! これは鈴子とハナの関係に新たな一ページが追加される、その布石なのか!? いやはや、もう、楽しみですよ。
『LSD — ろんぐすろーでぃすんたんす』は100m走五〇本! あの垂れ幕、半切、よいなあ。勢いのあって素敵な字。ブタのワンポイントもキュートです。さてさて、前回柘植ちゃんがいってたこと、椿と晶が一緒に練習メニューを考えるっていうの、それが描かれて、なるほど、椿、負荷の高いメニューが好きなのか、って、これ以前も指摘されてましたよね。それを冷静に指摘していく晶、この子、真面目なだけじゃなくて、そうしたところ、きっちり評価していくことができたりするんですね。ハイスペックだなあ。部員からのメニューの評価、それも面白い。なるほど晶のメニューは、部員から見てもバランスがいい。けど、バランスのいいメニューが常に好まれるわけじゃないっていうの、なるほど面白いなあ。ジャンクフードみたいなの? ちょっとアンバランスでも、がつんとボリュームあったり、わーっとお祭りみたいだったりするのも目先が変わったりして面白い。私らのジャンルだと初見大会みたいなものかな。ストイックばかりじゃつまらない、ってことですね。
しかしそれで100m五〇本。無茶するな、って、ロックなのか! ロックなのか椿さん! かっこいいな! 短距離からも志願者が出て、いやもう面白いなあ。インターバルトレーニングの亜種、ハード版、みたいなものと考えてもいいのかな? 走るのは3人一緒に、ということで晶は短距離の友人ふたり、恵と崇子と競うかたちになって、上級生組の表情も楽しそうですごくいい! 晶たちも、勝って嬉しい花いちもんめ、喜ぶ恵、崇子と、悔しい悔しいつまらない、晶との対比。それがあるから、トレーニング後半の逆転展開の爽快さが生まれるわけで、いやもうめちゃくちゃ面白かった。晶の感情の高ぶり、これランナーズハイもあるんだろうけど、それだけじゃないよね。めちゃくちゃいい笑顔! 足ぷるぷるで、あの笑顔! 最高ですよ。君、どんだけハイやねん! しかし本当に楽しそう。これも競って勝つだけがすべてじゃない陸上の一側面なのかな。まあ、晶は勝って嬉しいってところもありそうですけど、でもね、もう、ほんと、あの笑顔。最高だな、素晴しいな、面白かったですよ。
さてさて、長距離はMっぽいというの、じゃないや、ええと、校外LSDのこと、アスファルトは負荷が大きい、これはまずいかも知れない。というのは、自分はたまに軽く走ってるんですが、薄いトレーニング用シューズ(NIKEのFree 3.0)でアスファルト。まずいかも知れないなあ。膝を壊してしまうかも知れない。晶ちゃんの指摘じゃないけど、ちょっと考えないといけないかも知れません。
『みことの一手!』、ゲストです。囲碁が大好き、そんな女の子たちの話です。天才の蛍ちゃんと、凡、いや努力の天才のみことのふたり。幼稚園のころから一緒に碁を打ってきたライバルで、って、幼稚園のころに囲碁をやってたかどうかは描かれてないな。ともあれ、ふたりはライバル。けど、みことは蛍に勝てないでいるんですね。負けてくやしい花いちもんめ。それでみこと逃げ出してしまって、でも囲碁からは離れられない。囲碁は、その用語や形とか、なかなか一般的とはいいがたく、実際私もさっぱりだったりするんですが、今回だったら大斜定石、それがどういうものであるか、みことのモノローグにて自然に説明されていた。受ければ乱戦必至、ツいで逃げれば無難、どうする? それに対するみことの評価、その変化でもって彼女の気持ちの変化を描いたっていうんですね。簡単には勝たせてもらえない。けれど逃げではなく、挑戦することで違って見えた囲碁の景色。その変化を一歩にして、変化していくみことの囲碁、あるいはみこと自身が描かれていったりするのかなあ。囲碁ものは割と珍しいテーマだと思います。それを真面目に描こうとしている、ひとつのことに打ち込む、そうした姿勢や勝負の場に生じるコミュニケーション、新たな気付き、それがどのような広がりを生むのか、楽しみに思います。
『らぶ・おーる!』、連続ゲストの一回目です。卓球ものの漫画ですね。珠華と綾はずっとおんなじクラス。中学に入っても同じクラスになれて、ここまで一緒なんだから部活も同じのをやらない? そういう綾は卓球部に入りたいっていうんですね。そこからですよ、珠華の酷いこと、酷いこと。一般に卓球は暗いとか派手じゃないとか、そういういわれ方しますけど、珠華はまさにそれを代弁するかのようで、それを同じクラスの津川さんに咎められてという、なるほどなかなかの導入です。しかし、綾ちゃん、よいなあ。大人しい女の子、そんな印象だったのに、つっこみはやたら厳しいな。あはは、つまんねー、って! しかし徹頭徹尾卓球を馬鹿にしてる珠華、彼女が津川さんと試合するようになる流れ、これはナイスでした。どんだけ舐めてるんだ、ですが、思いっきりのハンデ、1点取れれば勝ちとします。いや、これ、無理だよな。未経験者が経験者、それもかなりの実力者にポイントとるって、よほどの運でもないと無理じゃない? で、実際珠華駄目そうで、ラリーさえ続かない。あれ、綾、明らかに手加減してくれてる。返しやすい玉を送ってくれてる。なのに無理。いきなりの絶望的状況ですけど、卓球のスポーツとしての難しさ、それをちゃんと描いて、今後も卓球のこと、いろいろ紹介してくれる、そういう漫画になりそうだなあ。
単純に、知らない世界、というほどではないんだけど(実は、弱いながらも卓球やってたことがある)、いろいろを知ることができるのは嬉しいことだと思います。また、そうしたことが、ただ知るだけにとどまらず、取り組むこと、その面白さを描くものであったらより嬉しい、そう思います。加えて、漫画としての面白みが加わったら、もうほんとによいだろうなあ。そう思って期待するんですね。
今回初ゲストの両漫画、囲碁と卓球、違ったものを描きつつ、取り組むということ、それを描こうというものに思います。よくよく考えれば、『MAX』はそういう漫画が多いような気がする。ひとつのテーマ、ひとつのモチーフがあって、それをめぐるいろいろが、コメディタッチであったり、あるいは時にシリアスに描かれて、そこに生じるキャラクターの気持ちや感情。好きなんですね、こういうのが。だから双方にその持ち味を発揮して、『MAX』を彩るタイトルになってくれたらいいなあ、そう思います。
ああ、今回はなんだか改めてこんなこと書いちゃいましたけど、基本、自分はいつもそう思ってます。ほんとですよ。
- 『まんがタイムきららMAX』第10巻第7号(2013年7月号)
2 件のコメント:
TVアニメきんいろモザイクの放送開始が今から待ち遠しいですね。
7月からですよね。今から心待ちなんですが、きっとあっという間ですよ。
どういう感じのアニメになるのか、楽しみです。
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