ギターを弾く女の子が出てくる漫画、『けいおん!』が当たったことで企画が通しやすくなったとかもあるんでしょうか、結構たくさんありますよね。ぱっと思い付くものだけでも、『PLAY!』、『ちゃりこちんぷい』、『乙女たる』、そして『Eから弾きな。』。まだまだありそうですが、とりあえず思い出したのがこれくらい。ラノベだと『天使の3P!』、あと2冊ほど見付けたんだけど買えてなくて、今からでも買おうかなって思ってたり。ええ、なんか買っちゃうんですよ。この漫画も、ああ、また新しいバンドものの漫画が出たのか。と、この時点では女の子がギター弾いてるとか全然気付いてなくて、けどそれでも買ったのは、帯の惹句ですよ。まずは牛骨を削ろう!
え? ナット作りからはじめるの? もう、これは読んでみたいといかん、そう思わされたんですね。
この漫画、初めてシリーズ エレキギター編とのこと。ということは、ギター以外にも展開されてたりするのかな。全然わからないんですが、読んでみてわかったことは、表紙のやんちゃそうなギタリスト、この人、女だったのか! しかし、とにかく無茶な人。自分のバンドのギターが不埒なことをしたからと、とりあえずクビにして、主人公を新ギタリストとして抜擢。自分の父親が経営する会社に入社したところの社員。彼の履歴書、趣味の蘭にギターとあったのを見て連れ出したというのです。しかし、問題の彼、神谷三蔵、ギターなんて弾いたことがない。寂しい履歴書、空欄を埋めるために適当に書いた。なのにバンドの穴を埋めるために駆り出されて、ライブは1ヶ月後、それまでに弾けるようになれという無茶な使命を背負わされて、いうこと聞かなければ不利な情報流して、会社から追い出してやるから。いやもう、理不尽なのであります。
まあ、このあたりは実に漫画らしい展開、そう思ったら気にはなりません。むしろ、本当に三蔵はギターを弾けるようになるのか、そちらの方が重大で、実際、1ヶ月は無理だろう。ただ音を出すだけならともかく、バンドとして成立させないといけない。さらにはお嬢、武藤史子、フミのバンドはスリーピースバンド、ということはギターは一人だけ。これはきついなあ。しかもそのライブ、結構なレベルが要求されるもので、自分なら尻込みして撤退すべく策を講じるな。と、そんなことしたら話が続かないので三蔵はギターに挑戦することになるんですが、順番、おかしいでしょう。左利きの三蔵、けどレフティのギターはないので、今あるののナットを作りなおして、一本レフティ仕様をでっちあげるところからスタートする。初めてシリーズの初めてやることが牛骨を削るって、そんなの聞いたことないですよ。この意味わからなさ! けど、掴みとしてはよかったのだと思います。とりあえず一筋縄ではいかんだろう、そうしたことをしっかり伝えて、とにかくなにがなんでもやらんといかんのだ、そういった雰囲気もしっかり作り出されてた。ええ、ほんまにちゃんとできるんかいな、気になるんですね。
なんか間違ってる気もするけど、ギターの入門書も兼ねた漫画なのかな? そういうわけでもないんですよね。第2話は特に新しいことをやったわけでもなく、フミのバイト先のスタジオにて、がつんと一発弾いてみたというだけ。いや、展開的に重要なところもあったんですけどね。フミが三蔵のこと、仲間として大事にしようと思ってるとか、後、ギター的には、スタジオで弾くと気持ちいいよってところでしょうか。あの、三蔵の最初のストローク、あれはかっこよかったよ。なるほど、技術だけではないんだな。スタジオやライブ、それがどういうものか、バンド周辺のことも描いていくわけだ。技術に関しては、細かく説明していくのではなく、あのFコードの習得、Em7の次に簡単なコードだとか酷い嘘をつかれたものですが、押弦のコツを三蔵が気付いていく過程を描くことで、どう気を配ればいいかを解説する。また、バレーを使うのではなくて、簡易Fとかウエスタングリップといわれる押さえ方ですね、そこに決着させる。三蔵の習得していくこと、それは確かに簡単ではないんだけど、一般に難しいと思われる、そういうところに持っていくのではなく、できる範囲のことにとどめている。とにかく、難しく弾くんじゃなくて、簡単にしてでもいいから弾いて鳴らしてみなよ、そうしたメッセージを感じさせる構成になっていると感じたのでした。
しかし、問題は1ヶ月後のライブ、ええと、Fが弾けるようになって、そのフォームをスライドさせることで、メジャーコードなら大丈夫という状態になった時点で残り20日とちょっと。本当になんとかなるのか? 可能性があるとしたらジャンルだよなあ。カート・コバーンとかグランジ系とか、そういうこといってるから、がーっと歪ませてノイズで押し切っちゃうとかなのかなあ。ちょっとこのジャンルはよく知らないので、なんともいえないんだけど。
ともあれ、まだ第1巻、はじまったばかり。どうなるものかわからない、そんな状況でありますけど、1ヶ月という期限を切って、だからその期間で、ある程度のリアリティを持って決着させられるような落としどころを考えてあるはず。それがどのようなものになるのか、それが楽しみですよ。
あ、そうそう。出てくるエフェクターとかアンプとか、全部本当にあるものなんですね。あの薙刀のエフェクター、本当にあるんだ! びっくりしました。かっこいい! けど、踏むの躊躇するな!
- 佐々木拓丸『Eから弾きな。』第1巻 (イブニングKC) 東京:講談社,2013年。
- 以下続刊
引用
- 佐々木拓丸『Eから弾きな。』第1巻 (東京:講談社,2013年),帯。
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