2012年12月23日日曜日

『まんがタイムスペシャル』2013年2月号

『まんがタイムスペシャル』2013年2月号、昨日の続きです。

『どろんきゅー』、今回は佐倉さんとアキちゃん、別行動ですよ。佐倉は生徒会長織部さんにクリスマス会に誘われて、アキはというと臨時のバイト。しかし、アキ、すごいですよ。ゴミ捨て場にて地縛霊と会談、成仏すればとアドバイス。お店の席に居座る霊にも、ばっちりしっかり料金請求、立ち退かせるのに成功するとか、この子、どんだけ強いんだろう。対して佐倉はいつものごとく、霊に好かれ、そのあまりべたべたと取り憑かれそうになってる。最後にはアキに助けられるんですけどね。このアキの側の様子、こういうのもよいなあ、そう思いますよ。あの、ケーキにつられる霊というのも、またなんかおかしくてよかったです。めちゃくちゃ嬉しそうですよね。

『ひかり!出発進行』、ひかりの働いてる駅、スイッチバック駅なんだ。ほんと山の駅なんですね。しかしこの子の仕事にかける情熱、勉強にもやる気がでるというところ、実によいですよ。そしてひかりの駅の仕事に頑張るその理由。あの精神はとてもいい。またお金に関する感覚も、倫理観が高い、そういってもいいのかも知れないんだけど、なんかちょっと違う。素朴に物事の価値や意味を見つめて、それを尊重する素直さがある。難しい理屈じゃなくて、彼女の実感、それが自然と共感できる、そういうところがいいんでしょうね。ほんと、ひかり、いい子だと思いますよ。

『先生のすみか』、ゲストです。まほろば荘に引っ越してきた青年、西大寺ヤマトが管理人さん高取あすかに恋をする。登山のため海外にいっちゃった祖母にかわってまほろば荘の管理している、健気なお嬢さんですよ。他の住人は、お茶の先生? 香具山まりさん。茶道の家元の娘で、高校時代のヤマトの同級生。生徒をたくさん持っていて、よい先生になれるよう頑張ってる。そんな彼女を見て、自分は空っぽだと気落ちする。そんな彼にあすかがいうんですね、本が好き、なにが好きであるか知ってることはすごいことだと。ええ、これをきっかけとして恋を知ったヤマト。恋愛もので下宿ものですね。

『メー探偵フワロ』、サンタは本当にいますよ。そういうフワロ氏とアーサー。意外なこというと驚くミスレモン。いや、これが本当にいい話なんですよ。物語はアーサー8歳の頃にさかのぼり、クリスマスの夜に出会ったサンタクロース。まあ、フワロ氏なんですけどね、アーサーもわかってるんですけどね、もうとにかくこれが酷いの。とりつくろうにしてもトナカイ肉生産卸とか酷い嘘つくし、プレゼントはびっくり箱だし、けどアーサーの望みを聞くというんですね。そうしたらアーサー、遠くの学校にいきたいという。その理由ですよ。重い! いろいろ考えているんですね。うつむきがちのアーサー、彼にサンタはいるんだよと説くフワロ氏の言葉、これが実にしみたのです。誰かを喜ばせたくてプレゼントを贈ればみーんなサンタなの。ああ、誰かの喜びやしあわせを思う気持ち、その暖かさ、それが一気に打ち寄せるようで、胸を打つ、そんな瞬間が確かにあったんです。だからボクもおじさんのサンタになるね メリークリスマス。アーサーの笑顔、それが本当にやさしげで、なんていい話なのだろう。ナントカはシニカルで、時にブラックで、けれど人情の機微、人の弱くけれど助けあい悲しさもわかちあう、そうした心の暖かさ、やさしさを描かせるととてもうまい。素晴しいクリスマスのお話でありました。もう、大好きです。

『アテナの初恋』、面白いですよ。ヴィーナスに誘われてやってきたバーは、婚活バーなるものらしい。けれどアテナ、全然わかってないから、なんだかピントのはずれたこといって、やって、男性がくれば緊張して逃げる、話すどころが酒ばかり飲んでるっていうんですね。そしてアルテミス、この人がいい。お近づきのしるしにプレゼントとかいうんですが、狩りたての鹿、って、まだ血が出てるじゃん! 狩猟の女神、もうほんと、めちゃくちゃ面白かったです。鹿のように逃げていく男性、さすがに矢を射掛けたりはしないんですね。

  • 『まんがタイムスペシャル』第22巻第2号(2013年2月号)

引用

  • ナントカ「メー探偵フワロ」,『まんがタイムスペシャル』第22巻第2号(2013年2月号),164頁。
  • 同前,165頁。

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