2012年5月6日日曜日

きものなでしこ

 私は『コミック百合姫』は購読していないので、ともない『きものなでしこ』についても知らなかったのですね。知っていたのはタイトルだけ、アニメになった『ゆるゆり』の、番組途中のCMで、丁度『百合男子』とこの漫画『きものなでしこ』がプッシュされていて、その名前の響きがよほど印象深かったのでしょうか、しっかり記憶に残っていて、それが購入に繋がった。ええ、世は広告、知ってる知らないの差は大きいなあ。書店で見つけて、ああ、これ、あの時の! 可愛い表紙にきものなでしこの文字。迷いなく手にとることができたのでした。

さて、『きものなでしこ』、てっきり着物好き女の子たちが、あれこれ着物を着よう、ほら最初は憧れてるだけで、気付けなんてわからないところに、ひとり詳しいお姉さんがいたりなんかして? と思ってたら、わお、びっくりした、全然違うじゃん。舞台は撫子衆と呼ばれる女子校風紀委員。メンバーは主人公かの子の他は外国人、フランス人のサーヤ、アメリカ人のアンジェリカ、そして中国人の雀。黒髪はふたり、サーヤにいたっては素晴しき金髪、そうした彼女らがやまとなでしこ的美を目指すのだな! そう思ったら、あれれ、なかなかそういう風にならないな。どころか百合姫掲載ということで、この四人の中で百合的カップルが成立するのかな? そう思ったらこれもなかなかならなくて、ええ、主に学校のイベントや季節の話題と、それに発するおしゃべり、がメインです。

で、このまんまで続くのかなー、とのんびり読んでたら、なるほどだんだんに百合っぽくはなっていくんですね。フランス人の紗綾がかの子のことを好きだという。あるいはかの子のおさななじみの女の子、かごめもなんだかそうっぽい? いや、けれどやっぱりメインとなるのは紗綾とかの子でありまして、冒頭カラーページに描かれたふたりの出会いの風景、姉にいわれて高校デビュー、髪を染めようかどうか迷ってたかの子を思い止まらせた紗綾。美しい黒髪なのに、憧れなのに、今のあなたが好きだから染めるのはやめて欲しい、そうした見た目からはじまった気持ちだけど、それだけじゃなくなっていってるんですよ、っていうんですね。ゆっくりと深まっていくのかな? きものについても、1巻時点では準備中、2巻でいよいよ花開く? これからですよと作者もあとがきにおっしゃっている。なので、期待しつつ2巻の発売を待ちたい、そう思います。

で、読んでみて、アンジェリカはアメリカ人だけどあえてスレンダーに設定されていて、ああう、素晴しいな! 夢のような女の子だ! なんて思ってるのですが、実際登場する女の子たちは皆可愛くて、あの子もこの子も素晴しい! ほんと、彼女らの可愛さも2巻において花開いてくれれば嬉しいと、百花繚乱、咲き誇っていただきたいと、そんな風に思わせる第1巻なのであります。

  • 八色『きものなでしこ』第1巻 (百合姫コミックス) 東京:一迅社,2012年。
  • 以下続刊

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