2012年5月5日土曜日

坂道のアポロン オリジナル・サウンドトラック

 坂道のアポロン』がアニメになるよ、これはあんたにこそおすすめだよ、っていわれたものだから、見たのでした、アニメ『坂道のアポロン』。そしたら、もう面白い。こういう話、こういう雰囲気だと思っていなかった。昭和の昔、長崎を舞台にジャズに青春を燃焼させる少年たち。普通なら接点なんてなかったかも知れない。そんな高校生ふたりの、出会い、ジャズを通して育まれる友情、って、なんじゃこりゃ、めちゃくちゃ面白いよ。素晴しいよ。もう、はやくもまいってしまったのでした。というわけで、ジャズが重要なファクターとなっているアニメ、サントラもばっちりジャズアルバムです。

サウンドトラックなので、このアニメのために作曲された音楽が収録されている、それは当然のことなのですが、それ以上にスタンダードなジャズ楽曲がふんだんに収録されていて、それはすなわち劇中にそれだけの曲が演奏されるということに他ならないわけですよ。千太郎にお前の演奏はジャズじゃないといわれ、発奮した薫がコピーをした Moanin' 、これを手始めに Bags' GrooveBlowin' the Blues Away 、ジャズスタンダードですよね、耳にしたことあるなあ、そんな曲が続いて、普段ジャズを聴きつけない人にも、あ、これは知ってる、そんなメロディを見付けることはできるのではないか、それくらい親しみやすいジャズアルバムに仕上がっています。

演奏はもちろんこのアニメのために収録されたもの。劇中の展開を予想させる、というかライナーノート見てたらネタバレくらって凹み中、みたいなところもあったりするのですが、そうした演奏なんかもありまして、なるほど、間違いなくサウンドトラック盤だ、納得いくアルバムになっているのも好感触です。サントラとしての魅力は、もちろん菅野よう子により新たに作曲された音楽、ここにもあって、ジャズを感じさせる、そんなスタンダード曲に寄り添い溶け込むキャラクターをもった楽曲たち、さらにそれらに加えられた新たなテイストは、スタンダードというよりもフュージョン、それも古きよきフュージョンのタッチを感じさせて、大変に面白い。耳に触れて優しく、けれどスリリングな側面も確かに持つ、そんな魅力的な一枚。これは、アニメを見ていない、原作だって知らない、そうした人が聴いたとしても、いいなと思えるものに仕上がってるんじゃないかな。だったら、原作の読者、アニメの視聴者が聴いたら、いうまでもない、なおさらでしょう。

6月にはアウトテイク集も出るんですね。これもまた楽しみ。サントラに収録されたのとはまた違ったテイク、表情に触れられるんじゃないかな。まさにその場に生起する、ジャズの醍醐味、それが感じられたら面白そう。今から楽しみにしています。

これは原作の、いわばイメージアルバムらしい。これもまた面白そうだなあ。

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