2009年11月2日月曜日

『まんがホーム』2009年12月号

『まんがホーム』12月号は本日発売です。表紙は『らいかデイズ』、らいか入浴中であります。今月のテーマは温泉なんでしょうね。『メルヘン父さん』のお父さん、『恋愛ラボ』主役のふたりは湯上り浴衣姿。『夫婦な生活』みえこさんは湯あたり浴衣姿であります。これから寒くなります、というか今が既に寒いんですけど、ものすごく寒いんですけど、こんな季節にはやっぱりお風呂がいいですね。でも、基本冷え性の私は、風呂に入ってもマキリコのように火照るというようなことがなくって、これが温泉だったらどうなのかなあ。寒くなると、指が冷たくなって、ギター弾くのに支障が出るので、あったかくしておきたいんですが、そうか、温泉地でギター合宿とかしたらどうだろう。いや、思っただけ。実現はしません。

『おしのびっつ!』。忍者の家系に育って、すっかりくノ一であることが自然になってしまっているくない。そんな彼女が脱忍者を図るのだけどけれど、それがなかなか難しいという基本の線を維持しながら、キャラクターの個性もうまく見せて面白い漫画であると思います。双子の兄しのぶがいいのかも。彼は身も心もすっかり忍者であるのだけれど、くないよりも要領よく振る舞うものだから、むしろ秘密の保持が危ういのはくないだという、そうしたところは王道ながらもとてもいいと思います。しかし、今回はカンペのネタが秀逸で、こういうのが次々くるとなると、きっといいだろうなあ。そんな期待もさせてくれる漫画です。

恋愛ラボ』、扉のマキは雰囲気作って綺麗だけれども、本編はいれば、なんだか非常におかしな感じになっていて、そうか、前回の話が後をひいてるのか。リコとも自然に向き合えなくなってしまうほどにやられてしまったマキ。そんなマキに戸惑うリコ。ふたりともにダメージを受けていて、そんな彼女らを導こうというのがサヨっていうのは実にらしくて、この人、いいポジションにいるなと、改めて思ったエピソードでした。サヨってちょっと引いた位置にいるけど、決して冷たく距離置いてるわけじゃないんですね。

さて、本編はなにやら重かったりするからか、今月は2本立て。なんと、スズの兄貴が、兄貴が。この兄貴、幼いスズを膝に乗せてたりすると、ちょっと犯罪ちっくだな。いや、まだ若いころだから、そこまでじゃない。けど、今の兄貴じゃアウトだろ。で、スズ姉。ふたりの妹大好きといった様子、それはすごく見ていて楽しくて、スズの取り合いで喧嘩してしまうほどだけれど、でもこの兄貴はこの妹のことも好きで可愛くてしかたないんだよなあ。普段ろくでなしっぽく描かれる兄貴ですが、こうして見ると、いい兄貴だなって、そんなこと思ってしまいます。

しかし、エノの兄貴は徹頭徹尾ろくでなしだな。

『東京!』。はじめて見た時よりもずっと面白くなってます。キャラクターに馴染んだからではないと思います。だって、秋葉原正親の印象が強すぎて、他があまり記憶に残らないです。土地の雰囲気に絡めたネタを出しつつも、そうでないネタも展開して、どちらも面白いと思う。バランスがすごくよくなってると思えて、それでキャラクターもいきいきと表現されて、とてもいいと思います。

『お江戸とてシャン』が、思いっきりの佳境っぽさを見せて、纏持ち、命よりも大事な名誉を手放しても女のもとに走ろうという虎吉、やっぱりこいつかっこいいなあ。男惚れったあ、こういうことだな。おヒナを助けに向かう虎吉の背には、艶やかささえ漂って、この漫画、やっぱり面白いと思う。すごくいい漫画だって思います。

『OHでりしゃす!!』、なぬー、これまだゲストなのか。今回は執事喫茶にいくという話。田尾ちゃんの乙女なところが全開になった回なのですが、うわ、なんだ、これ、めちゃくちゃ可愛いな。眼鏡だからじゃないぞ。序盤、割り切ってるように見せて、実はそうじゃないっていうところ。恥じるところ、気をつかうところ、雰囲気を楽しもうというその姿勢、すべてが素晴しい。実は私はそういうの苦手なんですけど、こういうごっこができる人って素敵だと思います。

サンドイッチはまあ普通、デザートは美味しいというところ、女性向けのツボを押さえてるって話だそうですが、男性向けのツボは食べ物にはないのか、以前一度だけいったメイド喫茶は酷かったよ! しかも壁に向いた席に座ったものだから、ただ高くて不味い安普請喫茶でしかなかったっていうね! でも、ああした雰囲気を楽しもうという気持ちはよくわかりました。私が、もっとごっこできる、趣向を楽しめるたちだったら、きっと違ったんだろうなって思いました。

ところで、古い趣きのある建物で、きちんとサービスできる執事っぽいウェイター置いて、ちゃんとした食事、飲み物を提供できたら、ちょっと高くてもいく人はあると思う。流行り廃りを超えて生き残るのは、意外に執事喫茶なのかも知れませんね。執事なら、年配の男性でも働けるでしょう? 色物だけど、色物というには惜しい、そんなところもあるんじゃないかなあ。あるのならいってみたいものだと思います。

『みそらスマイル!』、ゲスト、再登場です。離婚した夫婦が再婚。元の鞘へ収まったわけですが、離婚後オーストラリアで暮らしていたため、日本語が6歳時点でとまってしまった姉という設定が面白いです。言葉が子供っぽいので、なんだか残念な娘みたいに見えてしまうけれど、そうじゃないってところ。意思疎通はしっかりできるし、ちゃんとお姉さんでもあるんだけど、まだそんなに大きくない弟と、対等っぽくつきあえて、いいなって。いいお姉ちゃんだなって思えて、すごくいいです。

ところでカレーですが、日本のカレーは世界にはばたく優秀な日本料理、それもがつがつとスプーンで食べられる! どういうことか知りたい人は、この素晴しい記事を読んでください!

  1. 「日本のカレーライス」を熱愛する米国人記者が語る『ゴーゴーカレーNY店』 | WIRED VISION
  2. 「日本のカレーライス」を熱愛する米国人記者が語る『ゴーゴーカレーNY店』(2) | WIRED VISION

『ときめけ!女塾』、前回も結構面白かったけど、今回もよかったです。今回は、心配性の夫に手を焼く美女さんがメインになって、なにやっても優秀、毅然として、立派で、けれどそんな美女さんが夫にかけた一言、うわ、泣くほどなんだ! けど、この展開は面白く、それでまたなにか心に訴える、ほろりとさせるような、そんなところ、とてもよかったです。この漫画は、途中のうんぬんも面白いけど、最初の振りと、それを回収する大落ちのコンビネーション、そこにこそ味があるように思います。実際、私はおだてられるのは苦手だけど、でも悪い気はしないんだろうなって。そう思った。そして、美女さんの夫、おだてとか作為なしに、素直に妻を褒められるっていうところ、そうしたところはとても素晴しいと思う。いい夫だなあって、ちょっと思ってしまいました。

あ、そうだ。四足歩行する猿は、性的に成熟したことを尻の腫れでアピールするのですが、二足歩行を獲得した人間は尻に目がいきにくので、かわりに胸の盛り上がりでアピールするようになったとかいう話ですね。だから、あの講師の言い分は非常に正しい。それは本能、古い脳にインプットされた行動だから、男が女性の胸に目をやってしまうのは仕方ないんです。と、なぜ私はこんなこと力説してるんだろう。

そして、物より思い出を大事にしたいから、ガラクタを集めてしまう。これは、男によく見られるけれど、女性も同じだってことが巻末に載っている漫画からもわかります。

『物持ちがいいにも程がある』、佐波まおの漫画、最終回を迎えて、これまでを振り返ろうというのですが、いい話でした。この漫画は、ものもち自慢ではあったけど、ただ古いものを持っている、レアもの持ってるぞってだけではなかった。そこがよかったんです。最終回にいう、

人もものも永遠ではないのです

ものには「ものがたり」があります

ひとつにちゃんとひとつずつ
思い出すたびホッとしたり
きゅんとしたり
いつか手放す時がきたとしても
「ものがたり」だけは大切に憶えていたいと思います☆

じんとしました。そのものを大切に思うのは、そのものを通じて思い出、かつて出会ったあの人やできごとと対話できるから、なんですね。ええ、この連載とても好きでした。私と同じような人がいる。他人からしたら、どうしようもない、くだらないものにしか見えないとしても、その所有者にとっては掛け替えのない大切な思い出の品である。そうした様子を、楽しいなと、面白いなと、自分のことのように読んできたんですね。人もものも永遠ではないのです。それがわかっているからこそ、ものに心を置いてしまうのかも知れませんね。

だから、私もずっと憶えていたいと思います。佐波まおというお名前と一緒に、この漫画のあったこと、大切に心の奥にしまっておきたいと思います。

『3×ROOM』、なんか不穏な終わり方をした第1話、その雰囲気にあんまり好きでないと思ったものでしたが、第2話はそうした雰囲気見せず、素直で無邪気とも思えるヒロインの様子や、個性の違う女性三人、それぞれの関わり方など、これだけ見てると悪くないなって思います。けど、なんかやっぱりいやな予感がするんだ。あの野菜のくだりとかね。だから微妙に距離を置きがちになって、あの不穏なほのめかし、どう決着させるんでしょうね。吊り下げられた状況が落ち着かないです。

『ミライカナイ』、連載になりました。未来からきたお嬢さんとの同居もの。これは、あれなのか? ある日突然異世界から美少女が現れボクの家に強引に居候しお風呂や着替えを偶然見ちゃったりの都合の良い生活ってやつなのか!? この漫画、今のところ、お姉さんの未来からきたという設定がいきてないように思えるのだけど、特に異文化ってわけでもなく、普通の綺麗で天真爛漫なお嬢さんとの同居ものって感じ。でも、まあこれはこれでいいんだろうなとも思います。

『イエス・マスター』、ちょっと大きな変化がおこる気配を感じさせて、それはいつぞやの妻の話、それが関わってくるのでしょう。旦那様の思いにひとつの区切りがつくのか、どうなんだろう、なんかすごく気になるんですね。不穏な展開なのか、それとも、ふたたびここに帰ってくるのか。この漫画こそは、時の止まったような、永遠の現在を志向する、そんな雰囲気をたたえていて、それが悪くないなと思っていたのだけれど、その安定が揺らぐ。読者としても、ちょっとした事件であると思います。けれど、あまりに永遠の現在を求める姿勢も不健全で、だからこの動きのあとにどういう結果が描かれるのか、それはちょっと興味深いと思います。

『ちまさんちの小箱』。これ、よくよく考えたら、タイトルの小箱、作者は雪宮。ということは、タイトルロールはちまさんというよりもむしろ雪宮なのか! さて、とり子からプレゼントをもらったゆーちゃん。ちょっとの誤解のあとに、ちゃんと和解があって、いいなあ、ふたりの関係。で、知らないうちに雪宮が傷ついてる。そういう雪宮がすごくいい。小箱の作者がゆーちゃんに知れて、知らぬはとり子ばかりなりという状況になったわけですが、とり子と雪宮の関係、今後どうなっていくんでしょう。ちょっと敵対してたようなこと、すっかり忘れてましたけど、今やなんだかいい感じであるんだから、ばらしちゃってもいいだろうになんて思うんですが、そうなるとどうなるんだろう。

今は、このままでいいのかも知れません。ただ、いつかは知られる日がくるんだろうな。それはこの漫画が終わる時なんじゃないかって思いますけど、純情雪宮の本領が発揮されるのかな、なんて思うとその日もなかなかに面白そうだと思ってしまいます。だから楽しみは、ずっと後にとっておきましょう。

  • 『まんがホーム』第23巻第12号(2009年12月号)

引用

  • 佐波まお「物持ちがいいにも程がある」,『まんがホーム』第23巻第12号(2009年12月号),179頁。
  • 安堂友子「天子様が来る!,同前,53頁。

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