『まんがタイムスペシャル』2010年1月号、発売です。1月号とはいうけれど、実際には12月をうかがおうという表紙であります。12月、師走。師走といえば冬子と続けたくなるのが人情かと思われますが、いや、だってね、大そうじの途中でしょうか、ちるみさん、彼女にそうようにして師も走る、師も笑う
というコピーが踊って、おお、師走! おお、冬子! だってしょうがないじゃん、思っちゃったんだもの。しかし、年末を前に忙しさの増す、そうした雰囲気があらわれた表紙。なかなかににぎやかで、いきいきとしています。
『21時のシンデレラガール』は、あいかわらずあの親父さんの態度、しめつけに、かなわん親父だなあと渋い顔してしまうんですが、いや、しかし、この親父さん、親父さんなりに娘のことを信頼して、娘のことを応援しようとしているんだなということがわかって、いや、いい親父さんじゃないか。子から嫌われることを怖れて、あたりさわりのないことしかいえない親に比べれば、頑固で価値観押し付けてくるこの親父さんの態度は悪くないものかも知れない。そんなこと思ったものですから、最後がもう不憫で不憫で。でも、まあしかたないよね。
『恋愛ラボ』。こちらはこちらでリコの嘘が露呈して、しかしナギ、いい男だなあ。先月株を暴落させたヤンとは違い株を上げた、そんな感じなんですが、そのヤンにしても決して悪いやつじゃないんじゃないか、そんなこと思わせる横顔、言葉、いったい彼の真実はどんなだろう。男子たちの様子も気になります。
『笑って!外村さん』、連載になりました。外見と不器用が災いしている外村さんの話です。基本的なパターンでもって進めるのですが、それがなかなかに悪くなくて、そしていい娘さんである外村さんが気の毒だなって思えてきた頃に、ちょっとほっとできるエピソードがくる。悪くないって思っています。
『秘密告白スペシャル』。乙佳佐明の話、イベントの性質がわからないからなんともいえないんですけど、プログラムの途中でトイレにも立てない、プログラムを進行する側の方が圧倒的にえらいみたいなイベントは、正直私は御免だなあって思って、いやね、演奏会とかいってね、どうしようもなくってトイレいったりすることってあるでしょう。楽しみたくていってるんだから、それはもう残念極まりないんだけど、それをイベント主催側から、出演者に対して失礼なやつだみたいな反応あったりしたら、きっとショックに思うだろうなって思ったりしたのでした。いや、これは漫画として面白おかしくするために、ああした誇張、失敗しちゃったっていうことが強調されたのかも知れないから、どうともいえないことはわかってるんですけど、でもあんまり気にされちゃだめだと思ったのですね。
でもって、安堂友子、友人のIちゃん、なんか面白い人だな。安堂友子だったら、お笑いやっても、それはそれで軌道にのったりしたんじゃないか、みたいなこと思いますけど、そうだったら私はきっと出会えませんでした。だからといって、Iちゃんに感謝とかいっちゃうのはいけないような気もします。ところで香川の人って、よその土地のうどんを完全否定しますよね。いや、香川のうどんがおいしいのは私も力一杯同意するところです。
『ゆたんぽのとなり』、最終回を迎えました。私、吉谷やしよの漫画では、これが一番好きでした。面白かったし、楽しくて、なんだか気持ちがやわらぐような、そういったところが気にいっていたのですが、この最終回などはまさにそんな感覚がいっぱいで、そうかあ、これは非常識お嬢様が成長していく、変わっていくという話だったんだなって、あらためて思わされました。いい話だったと思います。終わりよければすべてよしとかいうけれど、その道のりもよかった、最後もよかった。じゃあそれは、とてもとてもよかったということでいいのだろうと思います。
『アトリエB』、『ジャンボ』でゲスト掲載されていた漫画です。アメリカからやってきたベルが、ななみと一緒に絵を学ぶという漫画です。日本の風物が微妙にわからなかったり、そうしたカルチャーギャップのようなものを押し出しつつ、ななみとベルの関係に楽しみを見出すとよいのかなって思いながら読んでいます。
『はっぴぃママレード。』、最終回です。卒業後の進路を真面目に考える時期がやってきた。息子をはじめ、クラスメイトは自分の進む先を決めていこうという中、さなえさんはそうではない。ラストにおいて、さなえさんは今を欲張りたいのかも知れない、そうしたように見せて、けれど本当は、かつて過ごしたくて叶わなかった、掛け替えのない時期、それを取り戻そうとしたさなえさんです、今という時期の貴重であることがわかっているのですね。さなえさんのそうした思いは、今その掛け替えのない時期にある若い人たちに向けられて、ともにありつつ、あたたかく見守ろうという、そうした気持ちに結実しているのかも知れません。いや、それってやっぱり欲張りってことなんでしょうか。そうなのかも知れません。けど、それは悪いことじゃないって思うのでした。
『空に唄えば』、ゲストです。名門合唱部に入部を希望したら、3小節で不合格となったヒロイン。ひばりが、再度合唱部にチャレンジするのではなく、新しく合唱部作っちゃおうと、そういう話みたいです。なんか面白そう。洗礼として一度落とす。そんな恒例は好きじゃない。音楽は楽しいだけじゃない、それは身に沁みてよくわかっているけれど、変に権威ぶるようなもの、そうしたのは大っ嫌いなんです。そうさ、だから、自分の求めるものは自分で作っちゃいなよ。そんな風に思えて、応援したくなるヒロインです。
で、この人、音痴なわけですが、どうも合唱はただ音程正しく上手に歌えればいいっていうものではなく、その前に合唱に溶け込んでいく、そんな能力が必要なんだそうです。ヨーロッパの一部諸国なんかでは、教会はミサに参加して、子供の頃から合唱する機会を持ったりするといいますが、そうした経験が合唱の中で歌う素地を作るんだそうで、だからヨーロッパのコーラスは、日本のコーラスとは随分と違うらしいと聞いたことがあります。音痴でも溶け込んでいく。そういった声も、コーラスの響きに混じっていける。それは、単なる技術とは違うとかなんとか。だから、ひばりもきっと大丈夫だよ! とはいうけれど、それって少人数でも大丈夫なんかな。
『ココロノミカタ』、ずいぶん今に近付いてきて、なんかすごく意外というか、雰囲気もいつもと違ったように思います。ジャージのせいかな? 超可愛いんですが。いや、いつも可愛いんですけど。それはそうとして、ココロさんの目的のようなものが少し語られて、そして物語の核心に踏み込んでいこうという、そんな回なのでしょうか。面白かったです。ギャグというか、そうしたものも面白かった。とてもいい回でした。
『放課後エア部』、ゲストです。ゲストですよね? 女子高生三人組。なんだか楽しそうに、落葉を見立てて遊んでいる。なんだか、一風変わった三人の世界を遠くに見る思いで読み始めたのが、だんだんに身近と思えるようになっていって、面白かった。近付いたと感じられたのではなく、つりこまれたのかも知れませんね。楽しいよ、どう? みたいなノリに、つい覗き込んでしまった。その楽しそうな様、それがよかったんだと思っています。
- 『まんがタイムスペシャル』第19巻第1号(2010年1月号)
引用
- 『まんがタイムスペシャル』第19巻第1号(2010年1月号),1頁。
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