2008年7月30日水曜日

Recht — レヒト

  「まんがタイムKRコミックス」は、もともとの四コマ漫画のラインがあって、そこに『まんがタイムきららフォワード』に連載されるコマ割り漫画のラインが増えて、そして今月から『コミックエール』のラインが加わって、ずいぶん大所帯となりました。なんといっても、ひと月に11冊出ましたからね。好きな漫画があれば買う、応援したいものがあれば買うと決めている私には、かなり大変な状況。でも、好きでやってることだものなあ。文句いうのは筋違いですね。さて、おとつい紹介の『ラジオでGO!』はもともとの流れ、四コマでありました。昨日の『御伽楼館』は『エール』掲載作、男の子向け少女マンガの系列でした。そして今日は『Recht』を取り上げようと思います。

『Recht』、これは『フォワード』掲載の漫画。超管理社会における刑事ものであります。レヒト、この世界における警察機構、で働いていた父の後を追って、レヒト入局を決めた主人公カイは、市民に与えられる自律型エージェントCSのアリスをパートナーに、数々の事件に立ち向かいます。今は一番低い階級だけど、いつかは父がかつてあった最上位を目指し、研鑽の日々。と思いきや、レヒトには隠された闇があって、そしてカイもだんだんにレヒトの裏側に気付いていって……。雑駁にいうとこんな感じの話であるのですが、これが本当に面白く、私は毎号の展開を楽しみにして読んでいます。

当初は、CSアリスとカイの、ちょっとちぐはぐなコンビが一生懸命に事件に取り組むという、読み切り色の強い漫画であったのですが、だんだんに中長編的な読み方も求められるようになってきて、ちょっと目が離せない感じなんです。上の階級を目指したいというカイ、しかし純粋で理想家で直情傾向的で甘さも残しているカイにレヒトは向いていないと多くの人から評されていて、しかしそれでもカイはレヒト内で有望視されているらしいという、謎のシチュエーション。階級が上がるほどに権力も強まるレヒトにおいて、上位階級とは権謀術数のめぐらされる剣呑な世界にほかならなくて、しかしそれでもカイが有望視されている? 誰から? そして、なぜ?

実は、このBlogには私の定める緩い禁止事項がありまして、上記及び以前の記事は、その禁止事項に触れています。その禁止事項とはなにかといいますと、先の予想をしないというものです。ところが、前回、自分でもやりすぎたと思ったくらいにごちゃごちゃ書いてしまって、で、外してしまっているところが私の私たる所以だと思うのですが、しかしそれでも私は、ここで展開の予想をするつもりはないし、なかったんです。なのに、やってしまった。そういう方向に進んでしまいがちなのは、それだけ『Recht』に描かれ、匂わされている事々が魅力的で、近寄り、踏み込みたくさせる、そんな性質を持っているからなのだと思うのです。

1巻から2巻にかけても、カイを有望視しているのは誰なんだろう、という疑問がわいていて、だってもしレヒトの上層が腐敗しているのであれば、そこにカイの出る幕などなさそうに思える。しかしそれでも期待されているのは、もしかしたらそんな体質に染まらないというカイの性格に白羽の矢が立ったから、と考えたらそれっぽいなどと思って、ほらまた予測みたいになってしまってる。こうして、与えられた情報を組み立てたくなってしまうのが私の性だとすれば、そうした私をうずうずとさせるのが『Recht』であって、それはやっぱり面白いってことなのです。それからどうなるの!? という問の答えを待ちきれなくて、こうなるの? ああなるの? って、フライング気味、前倒しに答を求めたくなってしまう、これはやっぱりそのものに面白さがあることが大前提。もう、楽しみでしようがないんですよ。

連載ではもう少し話が進んで、シリアス色は強くなっています。正直、ここまでシリアスに踏み込まれるとは思っていなかったから、気分はやられっぱなし。けれど、そのやられたという感覚も嬉しくて、本当にこれからどうなる? 楽しみで仕方のない漫画であります。

どうでもいいこと

カバーをとると、そこには日常四コマが! いやね、1巻で触れられていたのが『逆転裁判』で、これまさに今私のプレイしているゲームであるんですが、私、夜中に一人黙々と「異議アリ!」とかいいながらゲームしていて、自分に異議を唱えたくなったこと、一度もありません……。

真宵ちゃんかわいいなあ、はみちゃんもかわいいなあ、トノサマンのテーマ、耳コピしようかなあ、などと思うばかりの私。駄目の度合いはもう手を付けられないほどであるかも知れません……。

  • 寺本薫『Recht — レヒト』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • 寺本薫『Recht — レヒト』第2巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • 以下続刊

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