『ふら・ふろ』は『まんがタイムきららキャラット』に連載中の漫画、けど四コマじゃありません。一見普通のコマ割り漫画、けれど一ページごとに小さなネタの締めがあって、そしてそれらネタを繋ぐ大きな流れが緩やかにある、そうしたタイプの漫画であるんですね。一ページ漫画という呼び方もするみたいですが、最近の四コマにも見られる、ストーリーを小さなネタの連続で繋ぐという話の運び方と、コマ割り漫画の表現方法、それがこの漫画の持ち味にうまくマッチして、読みやすく、面白いです。ページごとにネタが締められることで生まれる、一定のテンポは小気味よく軽快で、一ネタにページまるまる使われることで、ゆったりとした雰囲気はより強まって、このゆったりしながらも軽快という感じがですね、女の子ふたりの、特になにか事件が起こるわけでもなんでもない日常とそこでのおかしみを描くのに、実によくマッチしていると思うのです。
しかしこの漫画、ついこのあいだはじまったと思ったらもう単行本になって、確認してみたら、はじまったのは2007年の11月号。半年で一冊になるのかあ。けど、この単行本化の早さからかんがみると、人気があるんでしょうね。実際、私もこの漫画はなんだかよくわからないんだけど好きで、読みやすさの割に密度が高く読み疲れしやすい四コマ誌の中にあって、格別ののんびりさを発揮しているものだから、消極的にいえば箸休めとして、けど実際には箸休めどころではないですね、もっと積極的に楽しみにしているところがあるのです。『ふら・ふろ』のページにたどり着くと、ほっとするよりも、なんかぱっと嬉しいような気持ちになって、うきうきと読んでしまって — 、もしかしたら、こういうところが受けているのかも知れませんね。強いストーリーがあるわけでもないし、強烈なギャグがあるわけでもないけど、安心して落ち着ける時間、気の合う友人と過ごす楽しみに似た感触があるから、出会うと嬉しいし心地よい。そんな感触にひかれるのだと思います。
けど、ゆったりやらのんびりやらだけの漫画ではないんです。読めばきっと面白い。ナツとハナ、ふたりの女の子、ええと、アパートの管理人なんだそうですが、貧乏生活の中で、貧乏を苦にしながらも、それでも気楽に楽しそうに暮らしている。ふたりで、馬鹿なこといいあったりしながら、ピントのずれたこといったりやったりするハナに、ナツがつっこみ入れたりしながら、楽しくやってる。その楽しさがいいのかも。安心してぼけて、安心して突っ込んでいる。微妙にぎりぎりのところで分解しないコミュニケーション、それはその安心感が支えているのかも知れません。ハナにしてみればナツだから安心、ナツでもそれは一緒。そうした安心がベースにある漫画だから、読む私にも安心感が伝わってくるのかな。安心して読んで、安心して面白がって、安心して笑って、あーもう、こいつらだから仕方ないよね、となんだか変に嬉しそう。そんな雰囲気が嬉しい漫画であります。
- カネコマサル『ふら・ふろ』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
- 以下続刊
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