2008年7月20日日曜日

逆転裁判 蘇る逆転

 先日、思いがけず入手がなった『逆転裁判』、鋭意攻略しているのでありますが、ええと、これ、結構時間かかりますね。第一話なんかだと、もう証拠からなにから揃った状態での審理のみ、わかりやすいつっこみどころに、異議あり!ってやればいいんですから、ああこりゃ楽勝で終わるなと思ったら、それが浅はかってやつです。次の事件からは、自分で捜査しなきゃならないし、審理も一日では終わらないしで、しかも審理も捜査も長い長い。捜査は、現場がどんどん増えるものだから、移動するだけでも大変だし、それでどの現場で誰と会って、またどんな物証を拾ってというのを、まったくなにも知らない状態でやるわけですから、ロスが多い、無駄が多い、捜査だけで疲れ果てます。けど、そうした無駄、迷いが面白いんでしょうね。ちょっと詰まった感じになったら、微妙に泣けてくるんですけど。

ですが、それでも『逆転裁判』はさすがに最近のゲームといえますか、ずいぶん親切な作りになっていてありがたいです。なんといっても、取りこぼしがある間は次のフェイズに進まないのですから。現場Aでの物証を全部揃えないかぎり、現場Bに人物が現れないであるとか、その人物に物証突きつけるなりなんなりして、必要な証言をすべて聞き出さないかぎりには、法廷の場面に移行しないであるとか、こういうところはすごく親切だと思います。もしこれがですよ、私の子供の頃に遊んでいたようなアドヴェンチャーゲームだったら、取りこぼしがあろうと証言の聞き漏らしがあろうと、容赦なく法廷に入ることになったでしょうね。そして、肝心な時に物証がなくてゲームオーバー。けれど、なにが必要で、いつどこで手に入るなどはアナウンスされない、そういうのが普通でしたから、もうトライ&エラー、何度でも何度でも繰り返しプレイして、よっぽど根気のあるやつならこんな悪条件でもクリアするんでしょうが、普通のプレイヤーなら投げ出してしまいます。けど、これが一昔前の普通でした。どう考えても異常、控えめにいっても意地悪な、そんなひっかけがあったりするのも普通だったような気がします。

その点、『逆転裁判』は本当に遊びやすくて助かります。とにかく証拠が揃わないかぎり次に進まない。法廷シーンに入ったということは、手持ちの証拠で戦えるというわけなんですから、腹くくって、矛盾でもなんでもついてやろうという気持ちにもなれるってものです。ちょっと想像してみてください。物証の揃っているかどうかわからない『逆転裁判』法廷シーン。チャレンジするにあたって、不安が残るというか、ほんまにこれで状況をひっくり返せるのかな、いらぬドキドキを味わいそうじゃないですか。まあ、そういうドキドキも楽しいといえば楽しいのかも知れませんけど、『逆転裁判』においてはちょっと違うかも知れないって思います。だってこのゲームは、確かに捜査も大切な要素でありますが、あくまでもメインは法廷シーンです。弁護士と検察の一騎打ちともいえる、そのやりとりを楽しむものであるのに、その前提が揃っているかどうかがはっきりしないでは、やっぱりちょっとね。けど『逆転裁判』は証拠が揃わないと法廷に進まない。つまり、法廷に入ったということは、機が熟したってことなんですよ。いよいよクライマックス、がんばろうって気になろうってものですよ。ええ、この腹をくくる感じがいいですね。

ええと、進捗状況申告します。今日でクリアしてしまうつもりだったんですけどね、けどもう長くて長くて、この審理が終われば決着だろうと思ったら、まだあった! おおー、あと一日残ってたっけ!? 残ってました。なので、決着は明日です。ええ、今やってるエピソードっていうのはDS版の新エピソード『蘇る逆転』です。科学捜査官目指す女子高生茜とともに謎の事件を追う。しかし、この新エピソードは一味違いますね。もともとはゲームボーイアドバンス用に出たものだからでしょう、最初の4エピソードはボタン操作だけでさくさく進めるのに、新エピソードはカガク捜査によって証拠をつかむんですね。ルミノール試薬を用いて血痕を見付ける、アルミ粉を使って指紋をとるなど、最初は面倒くさいなあ、入手した証拠もくるくる回さないといけなくってまどろっこしいし、なんて思っていたんですが、それが結構面白いんですよ。それこそ、初日の審理で血を水で洗い流した云々となったとき、血痕洗い流した程度じゃ消せないよ、だってルミノール反応が云々とこざかしいこと思ったんですよ。そうしたら、まさしくそのルミノール試薬が登場してきて、しかもばっちり隠滅された血痕も発見できて、やるー。いいじゃん、いいじゃん、って面白くなってきたんですね。それよりも、茜のあの眼鏡は、かわいさをアップさせるアイテムじゃなくて、ルミノール反応を見るためのものだったとは、恐れ入りました。などなど、かなり気に入って遊んでいます。

けど、面白さは、初期のエピソードの、シンプルに進んでいくもの、あれでも充分に負けていませんでした。むしろややこしさが少なく、ストレートさがより強く感じられた、そんな風に思っていて、だからあのエンディングにたどり着いた時、ちょっとじんとしましたね。自分は役に立たないと落ち込んだ真宵に、そんなことはないと証拠を突きつける成歩堂。そのプロセスを、他でもないプレイヤー自身ができるというのがいい。物語は、当然、当たり前のこととして、プレイヤーのものでなく、成歩堂たちのものであるのだけど、けれど彼らの物語に関われている、そういう感覚を持てるのはひとえに嬉しくて、だから、揺さぶる時も異議申し立てる時も、そして物証突きつける時も、ただボタン押すだけの手にあれほどに力がこもるのかもなあ、そんな風に思うのですね。

新エピソードに入った時、茜を見て、パートナーは真宵の方がいいなあなんて思っていたんですが、それも最初のうち、だんだん打ち解けていったというか、心に踏み込まれてしまったというか、それぞれにエキセントリックなふたりのヒロインたち、本当になんかいい感じですよ。魅力的だと思います。法廷で、肩を怒らせてこちらを見る真宵、メモを取る茜、そのへんがお気に入りですが、しかし、ここぞという時に驚きの行動を取ってくれるヒロイン、ヒロインだけじゃないか、あの個性的すぎるキャラクターたち、もう大好きです。そして、こうしたキャラクターが奮闘するものだから、こちらもうずうずとしてしまうんでしょう。ええ、うずうずとさせられっぱなし。事件を暴き、そしてともに喜びを分かち合おうと、そう思える魅力がこの人たちにはある。それは、本当に巻き込む力であるなあと思います。

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