2008年7月14日月曜日

リカってば!

  2巻では塚田の妹ミツルの出番までいかなかったので、ちょっと残念かなーと思っているから、是非3巻の出ることを楽しみにしたい、だなんていっていました『リカってば!』。めでたくこの度第3巻が発売されて、しかしこれ二年分なのか。確認してみて、改めて驚いて、でも12編収録されてるわけだから、計算したら隔月ペース。『ポップ』が隔月だったから、掲載の頻度はあんまり変わっていないというのはちょっと意外でした。しかし、第3巻が出たのは素直に嬉しいです。この巻には主人公塚田の妹ミツルと姉ミカちゃんが登場して、でもってこの二人が他の登場人物、強烈な個性を持った女性陣に負けず劣らずのいいキャラしてるものだから、もう大好き。本当に待ち遠しかったのですね。

作者は後書きでこんなこといっています。

『このマンガ…弱気な男しか出てこない!』

けど実際は、個性的な女があんまりに多すぎるのが問題のような気がするんですが、実際のところどうなんでしょう。

いや、問題だなんてとんでもないことです。だって私がこの漫画が好きというのは、基本無神経だったり乱暴だったり大味だったりするくせに、いざという時には妙にかわいい大女のリカや、塚田とリカの恋愛模様、ほぼすべてを把握した上で、リカには同情しめすけれど、塚田に対しては妙に面白がっている中川志保、こうした女性陣のちょっとひどくて、あまりに自由な、その姿勢に魅力があるからだと思うんですね。だから、同様に兄に対してひどいいたずらしかけるミツルもチャーミングだし、弟に支配的というか、強権的に接するミカちゃんも素敵だしで、もう読んでいて楽しいやら嬉しいやら。特にミツルのいたずらは最高でした。兄似のボーイッシュな美少女、けど眼鏡と髪形で兄そのものになるっていうのは、高校生女子としてどうなんだろう。いや、いいのか。そもそも兄がかわいすぎるんだもんな。

出てくる男は妙に気弱というか、はっきりしない、煮え切らないところがあるんだけど、あくまでも女性視点で描かれるからでしょうかね、確かに彼らはかわいいんです。一生懸命さ、頑張りみたいなのが見えるといいますか、あるいは女性の前で強がりたい、背伸びしたいというようなところがもろばれしてるといいますか、ああ、お前ら、かわいすぎだっていう、そんな気持ちになるのは仕方がないんだと思うのですね。けど、たまには君らばりっといけ、なんて思うようなことはあって、しかもそういうことができそうな連中でもあると思うんですが、けどなんか最後にはちょっと冷静になって、しんみりといい人に、物分かりのいい人になってしまう。ああ、もどかしいっ。恋愛ものっていうのは、すべてが見える高みから、喜びや不安とともに右往左往する人たちを眺めて楽しむっていう、そんなジャンルであると思っているのですが、だとしたらこの漫画はまさしくその恋愛ものってやつですよ。そこで押せばいいのに、押せ、押せ、と思いながら読んでいるのに、結局押さずに引いてしまう塚田。ああー、もうっ。けど、そのもうっってのが面白さなんだと思うんです。

この漫画はシリアスなのかコメディなのかといったら、それはもうコメディなんだと思うのだけれども、まれに見えるシリアスな表情がいいんだと思います。またその反対に、コメディ一色というような回もある、そうしたばかばかしさ、勢いの面白さというのも無視できなくて、だから、時に軽く、時にしんみりと、思う様気ままにやってくれるのがよいのだと、そんな風に思っています。

けど、3巻以降はちょっとシリアスめにいくのかな。いずれにしても、この漫画のラストは塚田、リカのカップル成立で終わることが期待されるから、ということは今のふたつの恋は破れるわけで、そうすればやっぱりシリアスは避けられない。はたしてそうした局面が描かれるのはいつの日か、楽しみに待ちたいと思います。

  • 長谷川スズ『リカってば!』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2006年。
  • 長谷川スズ『リカってば!』第2巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2007年。
  • 長谷川スズ『リカってば!』第3巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • 以下続刊

引用

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