昔、『まんがタイムポップ』っていう隔月誌があったんですよ。ナチュラルとポップが交互に出ていて、私は断然ポップの方が好きで、それこそ性に合っていたというほかないくらいに好きでした。載っていた漫画が好きだったし、雑誌自体の雰囲気も好きだったし、ちょっと宝物気分でまとめて保管されています。で、ポップは結構ストーリーも充実していまして、あ、ポップは四コマ誌なんですけど、四コマ誌だからといって四コマだけしかないって訳じゃなくて、一般誌でもストーリーの合間に四コマがあるように、おんなじくらいの割合でストーリーも載っているのです。ポップに載っていたストーリーといえば、甘夏柑子の『橘さん家の家事的事情』。好きでした。S@ORIの『日日平安。』。これも好きでした。そして『リカってば!』。好きでした。この中で残っているのは『リカってば!』だけですが、これらは今でも好きな漫画です。
『リカってば!』。身長180センチのリカがヒロイン。ええと、がさつで乱暴で鈍くて、ちょっと自信がないっぽいんだけど全然そんな風に見えなくて、そしてなにより無神経ってところかね。ところがこんな女に惚れた男がいるというわけで、それが塚田。背が小さくてかわいいともっぱら評判の男性で、けれどあかんたれでしかも結構ひどい奴よね。この塚田、連載第一回目の時点ですでにリカのことを好きだったというのに、二年も続いてなんで全然進展してないんだろうってくらい話が進んでない。でもそれがいいんかも知れない。ってのも、一見シリアスだけど、やっぱりこの漫画の肝というのは鈍くさい人たちの不器用な生き方の面白さとか悲しさとか、そういうところにあると思うからなんですが、ほんと、なんでこの人たちこんなに不器用なんだろうって思いながら、でも多かれ少なかれみんな不器用なんだからと、他人事でなく暖かく見守りたい気持ちになったりするから不思議なもんですね。
さて、現在の『リカってば!』では、佐倉リカ、塚田に加えて安曇さん、羽鳥君を加えての恋模様が微妙な具合になってきて、さあ気持ちが通ずるかどうかというところでかわされたりなんとかしたりなんかして、でもこの漫画の本来の趣旨からいけば、佐倉塚田がくっつくんだろうと思うんですが、そうなると安曇さんがかわいそうだなあ。だって、あんなにいい子なのに。でも、『リカってば!』が恋愛ものである限り、いつか決着がつかなければならないわけですから、さてこの状態でいつまで引っ張るのか。それとも一旦着地した後にまた違ったアプローチで見せていくのか、そうした近く起こるだろう急展開も含めて楽しみなのであります。
最後に一点。この漫画、私の好みの形式である、女性が強くて男がひどい目に遭わされるというパターンに見事に合致しています。ああ、そりゃ好きなわけだよ。そりゃ気に入らないわけないじゃないですか。
- 長谷川スズ『リカってば!』第1巻 (まんがタイムコミックス) 東京:芳文社,2006年。
- 以下続刊
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