2006年9月9日土曜日

ハルコビヨリ

   やっさんとハルコは同棲カップル。アパート暮らしの二人の日常を描いた漫画だというのに、一体なんだ、この色気のなさってのは。もともと色気に関しては絶望的な漫画であるのですが、3巻に至っては風呂上がりバスタオルを巻いたままでコンビニに買い出しにいくという荒技まで持ち出して、それでも壊滅的に色気がないときました。でもそれも、小坂俊史の漫画だからしかたがない。この人の漫画には色気よりも笑いが過剰で、これでもかこれでもかと畳みかけられる登場人物たちの非常識さは、こんなの身近にいたらきっと迷惑きわまりないよねと思いながらも、でも面白くてしかたがないんです。一体なんでなんだろう。こうした破天荒が面白いのは、私のどこかにこうした破天荒に憧れる要素があるからなのでしょうか。

しかし、この人の漫画はどれを読んでもまあ破天荒。それもとにかく主人公が破天荒なのがすごいよね。いや、まれに主人公が常識人というのもあるんだけど、そうしたのはやっぱり少数派で、主人公が破天荒というのも一般なら、登場人物がもれなく非常識というのもあって、やっぱり小坂俊史は破天荒を楽しむための漫画だと思うのです。

というわけで、『ハルコビヨリ』はどうかといいますと、圧倒的にハルコが破天荒、対してやっさんは常識人に近い。だもんで、やっさんはいっつもいっつもハルコにえらい目を見せられているわけなんですが、この人の打たれ強さというのも常人の領域ではないですよね。われ鍋にとじ蓋ではないけれども、よくもまあこんなカップルを成立させてみたものです。まさしく受けの美学が光る漫画で、けど耐えた後に逆転して勝つという訳じゃないのが泣けるよね……。ともあれ、この二人の関係がすでにギャグなのであります。

さて、前段落で少し触れていましたが、この漫画はやっさんがハルコにひどい目に遭わされるというのを基本にしていて、ははーん、道理であんた、この漫画好きなはずよね、と思われたかも知れませんが、実はそうではないのですよ。確かに私は元気な女性が好きで、その女性が理不尽といってもいいくらいに男性をいいように扱うという形式が大好きです。けど、ソコがフシギ発見、なんでかこの漫画に関しては、私のそうした嗜好には引っかからなかったのです。なんでだー!?

それはひとえに私にはハルコがかわいく思われなかったからとしか言い様が……。

3巻110ページの目出し帽かぶったハルコはかわいかったと思います。

  • 小坂俊史『ハルコビヨリ』第1巻 (バンブー・コミックス) 東京:竹書房,2004年。
  • 小坂俊史『ハルコビヨリ』第2巻 (バンブー・コミックス) 東京:竹書房,2005年。
  • 小坂俊史『ハルコビヨリ』第3巻 (バンブー・コミックス) 東京:竹書房,2006年。
  • 以下続刊

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