2008年2月29日金曜日

みのりスクランブル!

 今、ペンギンがちょっとしたブームなのでしょうか。たとえば『ペンギン娘』、私この漫画は読んでないのですが、面白いのかな? 映画では『皇帝ペンギン』なんてのもありますね。四コマ周辺を見回しても、『ドボガン天国』、『火星ロボ大決戦!』など、ペンギンが極めて重要なポジションに着いている漫画はいくつも(?)思い出されて、そして今ここに新たなペンギン漫画『みのりスクランブル!』が登場です。これはレーベルこそはまんがタイムKRコミックスだけど、四コマではありません。『フォワード』掲載のコマ割り漫画であります。

ペンギン漫画といいますが、鳥としてのペンギンを愛でようという漫画ではありません。八木山幸博士によって作り出されたペンギン型アンドロイド・ペンギノイドの活躍する、いわばSFもの。ペンギンのペンギンによるペンギンのための王国を築こうと闘争するペンギノイドたちを描いた、感動巨編なのであります。そして地球の海は、巨大ペンギンヴォーテックスにより支配されることとなるのでありました!

ごめん、嘘。けどペンギノイドが活躍するってところまでは本当です。

ペンギン好きが高じてペンギンの研究者となった父にほどこされたエリート教育が災いし、決定的にペンギンを嫌いになってしまった少女、たまきがヒロイン。しかし父は娘にペンギン嫌いを克服させるべく、八木山開発のペンギノイドを投入してきた。それがタイトルロール、みのりであります。

必殺技はフリッパー形態フォームから繰り出される手刀、そして南極海トーピード。けど、あんまり役立ってるとは思えません。むしろペンギノイドは愛玩用というか、手のかかる可愛い妹にしか見えなくて、だからこそペンギン嫌い克服の秘策であったということでしょうか。今ではみのりもたまきのよい友達です。

この漫画の基本形は、八木山博士がトラブルの種を蒔き、それをたまき&みのりが解決する、というものであるのですが、トラブル影響度の微妙さ、ご町内商店街巻き込んで、というそのサイズが絶妙なのです。もともと私には、商店街を中心とするような町内巻き込みものが好きという傾向があったりしまして、すなわち『みのりスクランブル!』の舞台、これが私の好みにドンピシャであったというわけです。

陰謀があるわけではない、悪意なども皆無。実に幸いな展開が楽しい漫画です。登場人物がそろいも揃って元気で、はつらつとしているから読んでいて気分がいいし、絵もよく整理されてわかりやすい。それになによりテンポがいいから、次々とページがめくられていって、だれない、飽きない、読み疲れることなくすいすい読めて、これはあたりの漫画だと思える感触がありました。よくあるパターン、お約束を絡めながら、決して感動の展開に向かおうとしないその意気やよしです。むしろお約束の逆を張る。しかしそれさえもが話を前に進ませる力になって、簡単に逃げず、ただでは終わらず、毎回毎回の舞台をよくよく駆け回ったうえで、きれいに落ちをつけるというのですから、読んで得られる満足感もそれだけ大きなものになるのですね。

ところで、うちにもペンギンのぬいぐるみがいます。

Stuffed penguin

ひとりの時にはテレビを見ていることが多いみたいです。

Penguin watches Nigel Marven

こんな感じにペンギンに参ってしまっている私ですから、二重三重に『みのりスクランブル!』は面白くて、いや、これ、ほんとにいいですよ。読んでいてちょっとしたしあわせ気分です。

あ、そうそう。作者は医者にかかってください。先が読めなくなったりしたら困ります。お願いします。

  • ちはや深影『みのりスクランブル!』第1巻 (まんがタイムKRコミックス) 東京:芳文社,2008年。
  • 以下続刊

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