2008年2月24日日曜日

「世界樹の迷宮」スーパー・アレンジ・バージョン

 昨日届けられた『世界樹の迷宮』のCD群。早速オリジナル・サウンドトラックを聴き、その後速やかにスーパー・アレンジ・バージョンに移行、そして驚愕です。『スーパー・アレンジ・バージョン』というのは『世界樹の迷宮』のBGMをアレンジしなおして収録したアルバムであるのですが、これが絶品。よくもまあといったらおかしいけれど、奥行きもあれば膨らみもある実に豊潤な音楽世界を作り上げていて、これは本当にすごいと思えるものでした。大幅にアレンジされている、そうかも知れません。ですが、それは間違いなく『世界樹の迷宮』の音楽であり続けています。これぞまさしくアレンジの妙技であるなあとうなりました。

結構なアレンジが加えられて、しかしそれでももとの世界が揺らがずにしっかりとしている。これはアレンジャーの腕の確かさもあろうかと思いますが、また同時に作曲者古代祐三氏の音楽の強さがあるからだろう、そのように思わないではおられません。もとになった曲は、今の時代にあえてFM音源駆使して、往年のゲーム音楽のらしさを強調しようとした意欲作ですが、それでもこうしてアレンジされてしまえば、ゲームという枠にとらわれない広がりがあらわにされてしまう。ゆえにすごいと感心するのです。

アレンジはフュージョン色強いものあれば、オーケストラルな雰囲気色濃いものもあり、実に様々。アレンジャーの個性の違いが多様な質感を生み出して、こうしたところにもまた広がりがあると感じられるのですね。しかし、このアレンジというのも力はいっています。それこそゲームのアルバムなんかには、おざなりなアレンジで誤魔化しているのもあったりするでしょう(買って聴いて泣きそうなのもあったよ)。けれど、このアルバムに関してはそんな感じまったくありません。これはおそらくはゲーム周辺の市場の成熟がある、それに加えて作り手側のよりよいものを作り上げようという意欲があるのでしょうね。実にいいアルバムであります。それこそ『世界樹の迷宮』を知らないという人にすすめてもいいと思えるくらいに。

そして、プレイヤーには特権があります。ゲームを通して積み上げられた記憶、感情、そうしたもろもろが音楽を媒介としてあふれるようですよ。目の前に情景が浮かぶ。音楽の広がりとともに、それはより現実的な感触をともなって立ち上がってくるようです。風に揺れる木の葉の一枚一枚、街の風景、行き交う人々の姿、そして忘れられた廃虚に差し込む光。すべてがまるで自分の立ち会ったことであった、そう思える確かさをもって浮かんでは消える。ああ、こればかりはプレイヤーでないとわかりません。あの迷宮をくぐったものでなければ感じ取れない世界がある — 、まさしく特権であります。

参考

CD

Toy

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