『まんがタイムきららフォワード』2011年10月号、昨日の続きです。
『聖アベリア女学院』、最終回です。撫子が男だった。上半身、裸になった撫子、思った以上に男の子で驚いたのですが、その女の子として育てられた理由。なんというか、悲劇であるよなあ。亡くした子の代わりとして育てられた。けれど、決して代わりにはならず、拒絶され、そして母から離れるため、自らアベリア入学を望んだ。常夏は、撫子に対し望んだことを浅はかであったと悔いるのだけど、けれど撫子にあっては常夏はひとつの希望だったのかも知れないですね。常夏のいう、お母さんの優しさ、それは正直よくわからないのだけど、撫子の、そうありたいと思える自分であれる未来、それを希望として描いてみせたラストはよかったなと思ったのでした。
『トランジスタティーセット — 電気街路図』。すずの父の帰還、というか、リストラなんだ。上司に手が、それから足が出たらしい。飄々とした、そんな雰囲気ただよわせているすずの父。なんか頼りなさそうだなあ、駄目な人っぽいなあ、そう思ってたら、いや、とんでもない、この人すごくちゃんとした人じゃんか。仕事をするというのは、ただ店番してたらいいってわけじゃない。販路を開く、売り込みもすれば同業者との提携も。やり手だ! 結果的に、すずに自分自身を見つめさせるきっかけとなった父。いや、本当にこれは面白い。なんか終わりそうな心配もあるけど、この状況の動いているというところ、大変に読ませます。
『少女素数』。ついに動きだしたすみれ。ぱっクンに気持ちを伝えようとする? その場に居合わせてしまった有美。彼女らの物語がいよいよ動こうというのか? そう思ったら、あらら、意外な人が介入。錦木さん。結果的に水をさしてしまい、場の雰囲気、緊張もゆるんでしまって、そしてすみれのぱっクンにいったこと。これははじめからこれをいうつもりだったのか、いや、おそらくそうだったんだろうな。あんずとの会話でそれがわかる。けど、出し抜こうとしたんだ! これまで自分の中、心の奥にしまって、自分自身でさえそうと知らなかった気持ち。それが明らかになれば、こうも一度に動くのか。すみれという人の、気持ちのぱっと加熱する、その様は確かに以前にも見たことがあったように思います。状況こそは大きく動かなかった今回。しかし、その状況はもう以前とは同じではありえない。ああ、緊張を内包して、読んでいる私の気持ちもざわざわとさざめくようです。
『キスメグルセカイ』。ついにクライマックス、ということは、これ最終回でいいのよね? そうとは書かれてないけど、最終回なのよね? 平行世界をめぐってきた、ヒロインめぐる。ついに自分の元いた世界に帰ることになった。そして、自分の世界の環に自分の気持ちを告げようとする。そんなラスト。ああ、この漫画は、めぐるの、多様な世界やいろいろなありかたを見せる環に出会い、揺れる気持ち、それを見て、思って、感じて — 。こういった楽しみを提供してきたのかも知れないなあ、という感想を持ったのですね。めぐる、彼女の思いの物語。エピソードの積み上げられてきらきらと光る、万華鏡みたいな味わいのある漫画でした。
- 『まんがタイムきららフォワード』第5巻第10号(2011年10月号)
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